オトゴト
音楽家のパブリック・イメージの裏側
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<記者コラム:オトゴト>
Do As Infinityの大渡亮さんは取材で、最近のフェイバリットとして、Beck(米・歌手)を挙げていた。
Beckはアコースティック作品を数年おきに挟み、Beckならではのポップで実験的な作品を期待するリスナーを困惑させるのだが、大渡亮さんはアコースティックサウンドのアルバム『SEA CHANGE』(2002年)を高く評価していた。
同アルバムは、ポップで前衛的で、常に攻めの姿勢のBeckの作品としては変わり種であり、おとなし過ぎて面食らう感じの作品だった。現に、それまでのアルバムやそれからのアルバムに比べ、少なくとも国内でのセールスは賑わなかったのだ。
Beckに限らず、“パブリック・イメージ”から外れたことを世間に出す、ということは大きな意味があると思われる。
音楽の本質を追求するという結果が表れたアプローチは、ときにパブリック・イメージから大きく外れることもあるかもしれない。しかし、それがあってこそ、自身の強固な音楽性が滲み出るのだろう。それは作品の節々に表れ、多角的に音楽を楽しませてくれる。
また、そこから掘り返して、そのミュージシャンのバックボーンに出会えるように導いてくれることもあるのだろう。【平吉賢治】
■Beck - 「The Golden Age」 アルバム『SEA CHANGE』(2002年)より
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