ガールズバンド・チャットモンチーが4日、大阪市住之江区のインテックス大阪で開催中のお笑いと音楽のフェス『KOYABU SONIC 2017』に出演。同フェスを主宰する吉本新喜劇座長の小籔千豊が“大阪支部”としてドラムスを担当する異色のステージとなり、音楽と笑いの融合をテーマにした“コヤソニ”の魅力を存分に発揮した。

小籔千豊、音楽のきっかけはチャットモンチー

 チャットモンチーの橋本絵莉子(Vo)と福岡晃子(B)がスタンバイする中、観客席から「小籔さ~ん」と声が飛ぶ。なんとドラム席に座っていたのは小籔で、“コヤソニ”主宰者はこの日、チャットモンチーの“大阪支部”としてドラムを担当した。

ステージ上の小籔千豊とチャットモンチー

 立ち上がり、「真夜中遊園地」「Last Love Letter」を披露した後、橋本は「今日は大阪支部のメンバーと一緒にやってきました。“こやびん”です」と小籔を紹介。福岡は「今日は頭から最後まで“こやびん”とやります。“こやびん”がやってみたい曲が多く、久しぶりにする曲も多いので、笑顔で見守って」と要望すると、観客は笑顔と歓声で応じた。

 「バスロマンス」を演奏したのに続き、「染まるよ」でしっとりとした空間を演出したチャットモンチー(大阪支部)。MCで小籔は「ここ10年で一番、緊張しています」と言葉を寄せた。過去にチャットモンチーが主催する音楽フェスに出演した経験があるが、「あの時が一番かなって思ってましたが、軽く超えましたね。自分のフェスでめちゃめちゃ緊張してる」と自虐的に心境を伝えた。

 そして、「音楽活動のきっかけを作ってくれた」とチャットモンチーに感謝する小籔は、2011年に脱退したチャットモンチーの元ドラマーで、作家として活動する高橋久美子さんが「一番の先生かもしれない」とリスペクト。その上で、高橋さんの霊を憑依させて演奏したいとの願望を口にすると、橋本と福岡は強烈なツッコミを入れ、会場には爆笑が訪れた。

 福岡は演奏する楽曲が残り2曲であることを告げたが、観客は「えー」の大合唱。すかさず小籔は「『えー』言われても、俺、6曲しかできへんから」と残念がる声を笑いに変え、残り2曲への気合を入れるかのように「クミコちゃん、カモン!」とドラムに対じした。

 チャットモンチーの中でも人気楽曲として知られる「風吹けば恋」を演奏し終えると、会場には“ドッドッドッドッ”と地響きのような音が鳴り、観客は興奮。最後に登場したのは「シャングリラ」だ。小籔がドラムを最初に練習したというキラーチューンで会場に一体感をもたらし、チャットモンチー(大阪支部)の演奏は終幕した。

久々の全曲3ピース

 演奏後にはチャットモンチーと小籔が囲み取材に応じた。

囲み取材に応じる小籔千豊とチャットモンチー

 福岡は「“こやびん”とは、リズム隊として長く一緒にやらせてもらってるんですが、6曲もやれるのは初めてだった。すっごい楽しかったし、後ろで支えてもらってる感じがめちゃくちゃバンドマンで、“こやびん”はこれからバンドマンとしてやっていくんだろうなって思いました」と語った。

 一方の橋本は「チャットモンチーとしては、3ピースの形態で全部やるっていうライブが久しぶりだった。とっても楽しくて、頑張ってる“こやびん”を見て頑張ろうと思ったし、もうちょっとやりたかったな」と称賛の言葉を寄せた。

 2人の言葉を聞いた小籔は「素敵な機会をくれるお2人。体は小ちゃくて細いけど、僕にとってはたくましいお姉さん。お2人に両脇を支えてもらって、ドラムとは、チャットモンチーとは、人間とは、世界平和とは、なんてことも考えながら」などとボケを絡ませながら、「すごく緊張しましたけど、こんな機会をもらえて良かった」と言葉にリスペクトを込めた。

 練習には多くの時間を費やしたと話す小籔は、2012年からほとんどチャットモンチーの楽曲を練習してきたという。

 その姿を見た橋本は「学生の時からずっとバンドをやってますけど、改めて音楽にのめり込んでいく人を間近で見るようで、『なんか、ええな』ってめっちゃ思いました。『緊張する』って言ってましたけど、全然、いけてました」と“ドラマー小籔”を絶賛。

 福岡は「ドラムの上達ももちろんですけど、ふだんから舞台に出ているだけあって、私らよりもどっしりしてた。緊張してたらあんなにしゃべれへん」と、自身のライブとは異なる小籔のMCぶりに驚嘆しきりだ。

 小籔は「MCの時だけ極楽でした。永久にしゃべったろうかと。次の曲に行きたくない気持ちも半分あったんですよ」とも語り、チャットモンチーの2人を笑わせていた。【取材・撮影=小野眞三】

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