全国ツアー『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』の初日公演(撮影=aoku)

 5人組ビジュアル系ロックバンドのSuGが去る7月5日、東京・渋谷WWW Xで全国ツアー『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』の初日公演を開催した。9月2日におこなわれる日本武道館公演に向けて全国を回った。初日公演は最新シングル「AGAKU」の発売日。同曲や収録されている「CUT」、「赤春」を初披露。さらに、今まで披露したことがないとされている5thのシングル「☆ギミギミ☆」のカップリング「契約彼女、生贄彼氏」も初披露。ファンにはお馴染みの曲も盛り込み、今年結成から10周年を迎えたSuGが、10年間に培ってきたものを大いに発揮したステージとなった。

思いっきり踊っていこうぜ

(撮影=aoku)

 SuGは3月11日の松本ALECXを皮切りに、3月8日に発売したベストアルバム『MIXTAPE』を引っ提げ、『39 LIVE ADDICT chapter1 THE BEST TOUR』と銘打ち、第1弾のツアーを実施。今回は、第2弾となるツアーで、14枚目のシングル曲「AGAKU」(7月5日発売)を引っ提げ、7月29日の広島・Cave-Be公演までおこなった。

 初日公演がおこなわれた5日は、日本武道館に向けて制作されたSuGの10年間への想いが詰まった14枚目のシングル「AGAKU」のリリース日。その影響もあってか、平日にも関わらず、会場には多くのSuG充(ファンの名称)が詰め掛けておりライブが始まる前から熱気に満ち溢れていた。

 定刻を過ぎると新SEでもある「mark」が鳴り響き、「AGAKU」ジャケットの衣装に身を包んだ武瑠(Vo)、yuji(Gt)、masato(Gt)、Chiyu(Ba)、shinpei(Dr)がステージに登場。その姿にフロアから黄色い歓声が飛び交い、新曲「AGAKU」で幕を開けた。ヒップホップや、R&B、ダンスロックなどを織り混ぜたSuGにとっての10年の答えを示したナンバーで、SuG充も両腕を大きく振って盛り上がる。ピンクと紫のライトがきらきらと彼らを照らし、武瑠は満面の笑みで「東京ー!!」と大きな声で叫び声をあげる。

 その後も、SuGのライブでお馴染みのダンスチューンを披露したあと、yujiのカッティングが印象的で、現代病がテーマの「SICK'S」へ。SuGらしさを感じられるメロディアスなナンバーで、それに拍車をかけるようにChiyuは「オイオイ!!」と拳を振り、更にフロアを煽る。

 MCでは武瑠が「10年間活動してきてインディーズのときは、こう言われました。『SuGはビジュアル系じゃない』、そしてメジャーデビューしました。『SuGはビジュアル系です』知らねえ!! 今日はSuGにしか出来ない音楽で思いっきり踊っていこうぜ? いいかー!?」と威勢の良い言葉を放った。

 この日の天気は雨模様。武瑠は「渋谷だけ、大雨説っていう話を聞いたんですけど本当ですか? どんなに盛り上がっても、外に出ればシャワー浴びれます! 良かったね!」と茶目っ気たっぷりに言葉を投げていた。

 ライブ中盤では、「SuGが一度もお届けしたことがない曲を歌います」と言い、「☆ギミギミ☆」のカップリング曲「契約彼女、生贄彼氏」を初披露。一度も披露されていないナンバーだけあって、会場からは喜びの声が上がっていた。甘い甘い歌詞が印象的で、その言の葉に重ねるように、サビではmasatoとyujiのギターがうねりを上げていた。

 shinpeiのドラムプレイが会場に轟くと、続けてChiyuがスラップ奏法でグルーヴを巻き起こす。そして続いたのは、「AGAKU」のカップリング曲でサウンドが目まぐるしく変動する「CUT」。武瑠が「飛べ!!」とフロアを煽ると、会場が揺れ動く程SuG充が豪快に飛び回る光景が広がり、会場の熱気が上昇していく。

自分たち自身誇りを持ってます

(撮影=aoku)

 後半戦のMCではChiyuが言葉を届ける。「AGAKUツアー初日ということで、気合いが入っているんですが、渋谷のみなさん初日とは思えない程元気で嬉しいです。ありがとうございます! 大体初日へこむからね…みんなも様子見やもんね(笑)」と初日公演の思い出を振り返る。それに加えて、武瑠は「俺もうさ、様子見ないで全力で行きすぎたせいでさ、5曲目でウォレットチェーンが壊れました(笑)。皆さんここにいる人たちで、クラウドファンディングして買ってくださいっ」といたずらに微笑む。

 「新曲、昔の曲、やったことのない曲、色々織り交ぜてAGAKUツアー戦っていこうと思います。全員で最高に繋げていこうぜ!! いいかー!!」と叫び、懐かしのハードチューンを届けたあと、「AGAKU」に収録されているChiyu作曲のナンバー「赤春」を披露。SuGにとって、新境地を開いたと言える駆け抜けるエモーショナルなロックナンバーで、SuG充も力強く拳を振りかざしていた。

 終盤では、SuGお馴染みのポップでキャッチ―な心躍る楽曲が畳みかけられ、本編は終了。

 フロアからはSuG充の「アンコール! アンコール!」という声が鳴り響く。数分経つと、その想いに応えAGAKUのツアーTシャツに着替えたメンバーが登場。

 武瑠は「アンコールありがとう。ベストツアーやって、120本やって、すぐツアーだったからどうするよ? 何やるよ? ってみんなで話し合いました。俺たちは、本当に色んな音楽が好きで、色んなジャンルに属したりとか、色んな所に行ったりとかもした。俺らはビジュアル系じゃないとか、どっちでも良いとか、何度も何度も色んな所で言ってきましたけど、それは多分孤独で。SuGってなんなんだろう? って悩みながら、足掻いて曲を作ってきました。インディーズの時とか、自分たちが影響を受けたダンスミュージック的なものをぶっこむと、『こいつら何?』みたいな。棒立ちになる訳ですよ? それで、挫けて曲を封印もしてきました」と今まで感じてきた音楽に対する想いを語る。

 続けて「今日は『AGAKU』の発売日です。例えば人気な曲ができて、同じような曲を次出そうとか、そういうことを一切やらなかった不器用なバンドでね。『☆ギミギミ☆』とか、それっぽい奴を出せば良いのに、凄いパンクっぽくなったりとかして。そういうことを一個一個不器用ながらも、その時、その時のカッコいいことを出してきた上で、この10年で一番SuGらしいってどんな曲だ? っていうのが、選曲会の中で答えが出ました。『AGAKU』という名曲が生まれたことに、自分たち自身誇りを持ってます。それを受け取ってくれてありがとうございます」と胸の内を明かすとともに、ファンに向けて感謝の言葉を述べた。

 ラストはSuGの初期衝動がふんだんに詰まったミニアルバム『VIRGIN』収録曲「Smells Like Virgin Spirit」を披露。5人で制作したナンバーに乗せ、SuG充とのシンガロングが生まれた瞬間だった。

 最後に武瑠は「最高のバトンを繋いでいきたいと思います。初日、渋谷WWW X! SuGでした! ありがとうバイバイ!!」と告げ、初日公演は幕を閉じた。(取材=橋本美波)

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