リーダーから最後のメッセージ、X21　新曲から伝わるグループ愛

１期メンバーの門垣ひかる、山木コハル、籠谷さくら、犬塚しおりが楽曲に込めた想いや、次回作のCD選抜メンバー再編にまつわる気持ちを語った

　全日本国民的美少女コンテスト出身メンバーから成る、アイドルグループのX21が16日に、10枚目となるシングル「現実から逃げるから現実がツラいんだ」をリリース。第13回全日本国民的美少女コンテストのファイナリストで2013年に結成。2014年に選抜メンバー12名によるシングル「明日への卒業」でデビュー。昨年新たに６人を加え、新体制となった。リーダーの吉本実憂（20）を筆頭に、それぞれ女優やモデルなど多彩に活躍している。今作は、９月にグループを卒業する吉本実憂が参加するラストシングルで、その吉本も作詞に参加した「メンバーに向けたメッセージが込められた曲」と話す。１期メンバーの籠谷さくら（17）、山木コハル（18）、２期メンバーの犬塚しおり（15）、門垣ひかる（18）の４人がインタビューに登場。楽曲に込めた想いや、次回作のCD選抜メンバー再編にまつわる気持ちを語った。

順位というはっきりとした現実

籠谷さくら

――「現実から逃げるから現実がツラいんだ」は、まずタイトルのインパクトが強いですね。

山木コハル　長いので「現ツラ」と呼んでいます。でも、タイトルを見てドキッとさせられますよね。

　レコーディングでは、自分自身に語りかけるパターン、誰かに語りかけるパターン、メンバーに語りかけるパターン、そしてそれぞれで考えて来たパターンと、全員４パターンずつ録って。その中から良いテイクを選んで収録しました。自分に語りかけるパターンを録った時は、本当に自分自身が励まされました。

籠谷さくら　私は、「現実」という言葉が胸に刺さりました。

――どういう意味だと思いましたか？

山木コハル　この歌詞は、リーダーである吉本実憂のラストシングルで、作詞には吉本自身も携わっています。彼女から「現実逃避しない曲にした」と話を聞いた時は、そうは言っても、現実から逃げたい時もあるじゃん？　と思ったのも本音です（笑）。タイトルは重いですが、それをやさしく人に伝えようとしている感じが、彼女らしくて素敵だなと思いました。

籠谷さくら　タイトルはヘビーですが、曲調としては、めちゃくちゃバラードというわけではなくて。爽やかで落ち着いたポップ感があるので、タイトルとのギャップですごく良いなと思います。

――今、それぞれの中で“逃げずに向き合わなくちゃいけない”と思っていることはありますか？

犬塚しおり　私はダンスです。もともとダンスが苦手で、覚えるのも遅いので、人の倍やらないといけなくて。今は、次の選抜メンバー再編成に向けた選考がおこなわれているところです。みんなに遅れを取りたくないので、苦手も克服出来るようにと、頑張っています。

門垣ひかる　私は、もっとしっかりと先輩方について行けるようにしたいと思っていて。そのためには、２期生の他の５人それぞれと向き合って、結束力を高めたいと思っています。

山木コハル　私とさくらは、言うことは決まっています。順位と向き合うことです。ファンのみなさんに投票してもらって順位が決まるシステムになっているので。

籠谷さくら　順位というはっきりとした現実が突きつけられているので、それとしっかり向き合わないといけなくて。

山木コハル　先日のニコニコ生放送で中間発表がおこなわれた時は、暫定順位が発表されて。私は今こういう状況なんだ！　と、現実を目の当たりにした瞬間でした。

籠谷さくら　だからこそ、この曲はリーダー（吉本実憂）からの「しっかり現実を見なさい！」というメッセージだと受け取りました。

――メンバー同士では、選抜再編について、いろいろ話し合ったりしますか？

籠谷さくら　コハルには、心配事の話はしますね。コハルは、隠れリーダー的な存在なので。だから、コハルは相談に乗る側だよね。

山木コハル　不安を感じているメンバーがいたら、話を聞くようにしていますね。例えばさくらは、いつも元気ハツラツで明るいので「さくらは大丈夫だね」と思われがちですが、人間誰しも悩む時はあるので。そういう時は、誰かが支えてあげないといけない。そういう部分で、グループに貢献出来たら良いなと思います。

――ライバルであり、同志でもあるわけですね。

門垣ひかる　そうですね。普通にみんな仲が良いですし、ライバルとか、そういうピリピリしたものは感じません。

山木コハル　ライバルはライバルですが、仲間同士でバチバチしてまでというのは無いです。それぞれが、自分の中で頑張るという意識が強いと思います。

籠谷さくら　グループであると同時に、個々が女優とかモデルとか目標を持っているので、それぞれの目標のために頑張るだけです。

大切なものを受け継いだ気持ち

山木コハル

――「現実から逃げるから現実がツラいんだ」は、すでにライブで歌っているそうですが、歌っている時の雰囲気とか、お互いを見て何か感じることはありますか？

門垣ひかる　定期ライブで初披露した時は、私たち２期のメンバーは舞台袖から見ていました。その時に感じたのは、すごく芯が通っていて、絶対にやってやる！　という気迫です。本当に圧倒されました。

犬塚しおり　すごく客観的に見ることが出来たのですが、ダンスがすごく激しくて、それが曲とも合っていると思ったし。それを迫力と共に表現されている先輩達が、とても誇らしく思えました。

――２期のお二人も次は選抜に入って、そういうパフォーマンスをすることを目指しているわけですよね。

犬塚しおり　だからこそ、現実から逃げちゃダメだなと。

門垣ひかる　今のうちからしっかり向き合っておこうと。

――実際にステージで歌っているお二人は、どんな気持ちで歌っていますか？

籠谷さくら　この曲に限らずですが、悔いが残らないように、毎回一つひとつの言葉を大切に歌うように心がけています。

山木コハル　もし選抜に入れなかった時のことを想像すると、何が悲しいって、曲を歌えなくなることが悲しいので。

――また、今回のシングルで吉本実憂さんが卒業するわけですが、それについて、何かバトンを受け渡されるような話はされましたか？

山木コハル　直接というのは無いですけど、この「現ツラ」がそのバトンなのだろうと思います。吉本実憂が作詞に参加して、この曲を通じて彼女の言いたいことを伝えていると思います。彼女は、大きく声をあげて自分の意見を言うようなタイプではなくて、自ら行動で見せてくれたり、いつも見守ってくれるような人です。きっと言いたいことはたくさんあったと思うので、それを歌詞に込めてくれています。

籠谷さくら　あまりガツンと言うタイプではないので、こうして歌で伝えてくれているのが、すごく格好良くて、よしもッティー（吉本実憂）っぽいですね。特に最後の＜きっと大丈夫＞というフレーズは、ジワっときます。

山木コハル　私の解釈では＜きっと大丈夫＞の前に、「私がいなくても」と、本当は入っているのかな？　と思って。振り付けでは、吉本実憂が最後に一人中央で踊る部分があって、そのパートではいつも私は涙を我慢しています。

犬塚しおり　そこの振り付けは、胸を押さえる仕草なので、それがすごく胸に響きますね。

門垣ひかる　自分の心と向き合って行こうという気持ちが、すごく込められていると思います。

――２期のお二人は、吉本実憂さんとは何かお話をしましたか？

門垣ひかる　一緒に練習をする機会は少ないのですが、いつも気に掛けてくれるし、尊敬する先輩です。

犬塚しおり　最近は、振り付けを教えていただく機会があって。私たちとしては、その時に何か大切なものを受け継いだような気持ちです。

籠谷さくら　２期メンバーと接している時のよしもッティーは、担任の先生みたいですよ（笑）。

――MVは、ホールで歌って踊っている映像。見どころは？

籠谷さくら　音楽ホールで撮影させていただきました。X21は、これまであまりがっつり踊るような振り付けがありませんでしたが、今回はスピード感のあるダンスをしているので、そこも注目してもらえたら嬉しいです。

山木コハル　私たち自身、現実から逃げずに頑張って、汗をかいてダンスしている姿を見てもらいたいです。だから、聴いてくださったみなさんも現実から逃げないで欲しいというメッセージも込めています。

EASTとWESTで、刺激を与え合っている

門垣ひかる

――今回のシングルには、チームEASTとチームWESTに分かれて歌ったカップリング曲を収録していて。どちらも夏をテーマにした曲で、ライブで盛り上がりそうですね。

山木コハル　チームEASTの「君と僕の夏」は、ファンのみなさんとのかけ合いがあって、実際にライブでとても盛り上がっています。初披露した時も、初めてなのにすぐにノってくださって。

門垣ひかる　初めて聴いたとは思えないくらい、お客さんからのコールもばっちりでしたね。

山木コハル　かけ合いや、一緒に歌うところも分かりやすい英語でノリやすくて。歌詞の内容も、例えば海で麦わら帽子が風で飛ばされる様子が出てくるなど、誰もが経験したことがあるような夏の思い出を歌っているので、共感してもらいやすいと思います。

――チームWESTは「アサガオ」という曲で、ポップでかわいらしい曲ですね。

犬塚しおり　小学校の時とか、夏休みにアサガオの観察日記を付けたことを思い出します。

籠谷さくら　私もやりました。ペットボトルに水を入れて挿したりして。

――お祭りの思い出も歌詞に含まれていて、最後に花火のドーンという音が入っているのがポイントですね。

門垣ひかる　関西は、大阪とか京都で有名なお祭りがたくさんあるので、お祭りの情景を思い浮かべながら歌いました。

山木コハル　あの、EASTから質問しても良いですか？　お祭りの歌なのに、何でタイトルが「アサガオ」なの？

犬塚しおり　夏の風物詩と言うことで。それに、アサガオの花言葉が、めっちゃ良くて。

門垣ひかる　「愛情と絆」です。歌詞が、届きそうで届かない、甘酸っぱい恋のお話で。それと、アサガオのつるがお互いに絡まって支え合っている様子を、WESTのメンバーの強い絆に重ねています。

犬塚しおり　逆にEASTの「君と僕の夏」は、どうしてこういうタイトルになったのですか？

門垣ひかる　何で「僕」なんですか？

山木コハル　X21の曲は、基本的には「仮想少女X」を主人公にしているので、今までは「僕」と歌っている曲はなかったので、新しい一面が表現できるのではないかと思って、こういう機会にチャレンジしました。

――「アサガオ」には、告白が花火の音にかき消されてしまう、少女マンガ的な展開もありますね。

犬塚しおり

犬塚しおり　それが２番の歌詞です。聞こえていたのか、聞こえていなかったのか。最終的にこの２人は付き合うのか、付き合わないのか。その行方は、歌詞では描かれていないので、聴いた人それぞれで妄想して欲しいです。

　レコーディングでは、告白が聞こえていたパターンと聞こえていなかったパターンで、両方レコーディングしました。聴いてくださる方は、「どっちなのかな？」と想像して、ドキドキしながら聴いてほしいです。

門垣ひかる　１つの曲で、どっちにも楽しめるようになっています。

――これらカップリング曲も、選抜12名の再編に向けた対決の一つになっていますね。

山木コハル　そうです。初披露した時に、ニコニコ生放送で投票していただいたのですが、その時はWESTの勝利でした。

門垣ひかる　52対48で、僅差でしたが。

山木コハル　お互い気持ちを込めて作ったし、私たち自身どちらも好きな曲なので、どちらも聴いて楽しんでいただけたら嬉しいです。

――そういうEASTとWESTの対決も、選抜を目指すものとは少し違ったやりがいになっているのでは？

籠谷さくら　そうですね。以前は全員で同じステージに立って踊っていたので、パフォーマンス中のコハルの表情をじっくり見る機会がありませんでした。でもEASTとWESTに分かれることで、「こんな表情をするんだ」とか、「こんなにニコニコ笑うんだ」とか、「大人っぽい表情をするな〜」とか、みんなの新たな一面を見ることが出来て、たくさん発見があります。

山木コハル　それぞれのメンバーの魅力とか、その子の人気の要因はこういうところにあるなとか、今まで気づかなかったところに気づけて、すごく勉強になっています。

犬塚しおり　自分でも見習うべきところが見つかったりしますし。

門垣ひかる　お互いに、すごく刺激を与え合っていると思います。

（取材・撮影＝榑林史章）

　◆X21とは　2012年に開催された「第13回全日本国民的美少女コンテスト」で10万人から選ばれたファイナリストで、2013年に結成。2014年に選抜メンバー12名によるシングル「明日への卒業」でデビュー。昨年「第14回全日本国民的美少女コンテスト」のファイナリスト６人を加え、新体制となって活動。リーダーの吉本実憂の卒業発表を機に、次作となる11枚目以降のCD選抜メンバー12人を決定するためのCD選抜メンバー再編中。