初の野外ワンマンをおこなった欅坂46

 欅坂46が23日、山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで初の野外ワンマンライブ『欅共和国 2017』をおこなった。19日に1stアルバム『真っ白なものは汚したくなる』のリリースを記念したもの。22日と23日の2日間開催された。ホースによる放水や会場上空に打ち上げられた花火など、野外公演ならではの演出で観客を魅了。ダブルアンコールまで全21曲を様々な派生グループの個性あふれるパフォーマンスで披露。初めての野外とは言え、完成度の高いステージを見せ、これからの更なる活躍に大きな期待を持てる一夜となった。

欅坂のライブを一番にしたい

ライブの模様

 あいにく雨のパラつく天気となったが、雲の切れ間から見える富士山のふもとに特設された、野外ステージ前の会場には彼女たちの名前の入ったタオルを肩から掛けた観客が詰めかけていた。開演前には、メンバーによるライブの注意事項が放送され、観客は威勢の良い返事を返していた。

 パラついていた雨は上がり、高らかなファンファーレとともに中世ヨーロッパの要塞を模したステージがライトアップされてマーチのリズムが鳴り響く中、欅坂46のメンバーが白を基調とした赤と青のラインの入った旗を持ち登場。会場の椅子に腰かけていた観客が総立ちでメンバーを迎える。

 旗を使った統率されたダンスパフォーマンスを披露。大きな発破音とともに今宵のライブの開会が告げられる。デビュー曲の「サイレントマジョリティー」の前奏に合わせ、観客も合唱し、初めから会場のボルテージは急激に上がった。その熱を冷ますかのように高さ10メートル近く吹き上がった水柱が、初の野外ステージを涼しげに演出。

 「世界には愛しかない」では、あらかじめ観客に配られていた、色とりどりのジェット風船を志田愛佳(18)が「ジェット風船を膨らましておいて、合図とともに飛ばして下さい! 楽しみましょー」と呼びかける。ステージ前にせり出している花道の中央からメンバーがホースで放水する場面も。そして、「せーのっ! 飛ばせー」の合図でたくさんのジェット風船が空へと舞い、野外ステージならではの大胆な演出で序盤から会場の一体感を高める。

 メンバーが花道中央に輪になった状態から「二人セゾン」へ。サビ前のBメロでは、「フーフー」と観客の合いの手が入り、楽曲を盛り立てる。平手友梨奈(16)のキレのあるソロダンスも披露され歓声が上がった。

 MCでは、守屋茜(19)が唐突に「皆さーん、私の嫌いな言葉、知っていますか?」と尋ね、「それは“敗北”です。私、絶対に負けたくないんです! この夏、どのイベントより欅坂のライブを一番にしたいんです。そのために皆さん、協力してくれますか? 大きな声出せますかー!?」と煽り、「今日は最高のライブにしましょう!」と呼びかけた。観客も大きな歓声を上げこれに応えた。

個性的な派生グループ

ライブの模様

 青、赤、白の大きなゴムボールが会場の観客席に放たれ、志田、守屋、菅井友香(21)、渡辺梨加(22)、渡邉理佐(18)による派生グループ、青空とMARRYによる「青空が違う」では、これまで披露されたキレのある統率力のあるダンスとは違った、可愛らしい仕草が印象的なパフォーマンスを見せた。

 渡辺、渡邉、上村莉菜(20)、土生瑞穂(20)、長沢菜々香(20)から成るFIVE CARDSと欅坂46による「僕たちの戦争」では、ステージと花道をいっぱいに使い、水鉄砲やホースで放水しながらパフォーマンス。続く「渋谷からPARCOが消えた日」では、平手がハーレーのタンデムシートにまたがり登場。赤い光沢のあるスーツ姿で大人びた妖艶さを醸し出しながら歌唱する姿に観客も魅入られている様子だった。

 ネイビーブルーの衣装を着た、けやき坂46のメンバーがステージに登場し「ひらがなけやき」を歌唱。「私たち大自然の中でライブができて超うれしい!」とはしゃぐメンバーの姿が印象的だった。その中で、虫が苦手だと言う齊藤京子(19)は「私、虫がどこにいるか分からなくて、草原を歩くことが出来ないんです」と告白。佐々木久美(21)がやまびこに挑戦にして齊藤に自然の良さを知ってもらおうと提案、「ひらがな最高ー!!」と叫び、観客がやまびこ風に返すというやり取りで、和やかな雰囲気に包まれた。

 欅坂46、けやき坂46の長濱ねる(18)のソロナンバー「また会ってください」では長濱が片思いのもどかしさを可愛らしく歌い上げた。そして、青空とMARRYによる「割れたスマホ」では5人が絡みあうような振り付けで、大人の世界観を表現。それぞれ派生グループによる違った魅力を存分に見せた。

 守屋と菅井がカップル役を演じ、ステージと花道を駆け回る「手を繋いで帰ろうか」では欅坂46の世界観に、演劇の物語性を導入した新たな試みを見せる。曲の世界観をより視覚的にすることで観客がより深く曲の持つ世界観に入り込めている様子だった。

 本編最後は再びマーチングパフォーマンスで、ステージの統一感を演出。最後に一人ステージに残った、平手による合図で会場上空に花火が打ちあがり、壮大に彼女たちの初の野外ワンマンを彩った。

ライブの模様

 空はすっかり暗くなり、観客のペンライトの光が艶やかに会場を照らす。観客の声援に応え再び登場した、欅坂46はアンコールで「不協和音」などを披露。長濱は「初めての野外でみんなテンション上がっていて。お祭りみたいで楽しかった」と笑顔を見せた。

 そしてメンバーもペンライトを持ち、「W-KEYAKIZAKAの詩」で全メンバーが勢ぞろいしパフォーマンス。観客のペンライトと相まって一体感のあるステージを見せた。この日は、さらにダブルアンコールで「危なっかしい計画」を披露。メンバーは手にタオルを持ちながら歌唱し、ステージを締めくくった。

 最後に平手は「本日は本当にありがとうございました」と感謝の気持ちを述べ、メンバー全員で深々とお辞儀。手を振りながらステージを去った。全21曲、様々な演出と派生グループの個性的なそれぞれの魅力であっという間に彼女たちの初の野外ワンマンは終幕した。8月からは全国アリーナツアーも控える彼女たち。まだまだ大きなポテンシャルを秘めていることは間違いない。これからライブとそれに伴う経験を重ね、彼女たちの表現力がさらに広がっていくことを楽しみにしたい。

(取材=松尾模糊)
 

セットリスト

01.サイレントマジョリティー 欅坂46
02.世界には愛しかない 欅坂46
03.二人セゾン 欅坂46
04.青空が違う 青空とMARRY 欅坂46
05.僕たちの戦争 FIVE CARDS
06.渋谷からPARCOが消えた日 平手友梨奈
07.ひらがなけやき けやき坂46
08.僕たちは付き合っている けやき坂46
09.大人は信じてくれない 欅坂46
10.エキセントリック 欅坂46
11.また会ってください 長濱ねる
12.制服と太陽 欅坂46
13.微笑みが悲しい 平手友梨奈/長濱ねる
14.割れたスマホ 青空とMARRY
15.語るなら未来を… 欅坂46
16.誰よりも高く飛べ! けやき坂46
17.手を繋いで帰ろうか 欅坂46

Encore

18.誰のことを一番 愛してる? 欅坂46
19.不協和音 欅坂46
20.W-KEYAKIZAKAの詩 欅坂46/けやき坂46

W‐encore

21.危なっかしい計画 欅坂46

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