V8エンジンのサウンド好き、奥田民生 「エンジン」で表現したもの
INTERVIEW

V8エンジンのサウンド好き、奥田民生 「エンジン」で表現したもの


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年07月14日

読了時間:約5分

子供が見たら渋い子供になるかな

奥田民生

――『カーズ』をご覧になっていかがでしたか? 一見、子供向け作品という印象もありますが。

 全然、子供だけに向けた作品とは思いませんでした。1作品目も子供だけが盛り上がる作品というわけでもありませんでしたし、大人が見ても感動できます。深い映画だと思っていました。今回さらに人生というテーマが強くなっているので、子供が見たら“渋い子供”になるかなと(笑)。

――楽曲を制作するにあたって、作品のどこにポイントをおかれましたか?

 作品を観させていただいて、大人の考え方の作品ですし、レースの作品でもあるのでそういったシーンはたくさん出てくるのですが、僕はそこではなく普段の道を走っている、レースとレースの間の旅をしているシーンのイメージの方が強くありました。割とエンジンの回転をあげているところではなく、落ち着いて走っている感じです。

――それでアコースティックギターから始まるようなアレンジに?

 あれは打ち合わせの中で「アコギから始まるのが良いのでは」という案が出まして(笑)。僕の中で楽曲とアレンジのイメージはまだなかったので、初めからアコギ始まりを前提に制作していきました。

――「エンジン」のアコギは奥田さん自身が弾かれている?

 はい、自分です。GIBSONのアコギで弾いています。

――普段の楽曲作りと映画作品の主題歌ではアプローチの仕方は変わって来ますか?

 何もないところから作ることもありますし、状況によって作り方は変わりますが、ストーリーを見てイメージして作るというのは自然にできやすいです。それを皆さんから良いと言ってもらえるかは別として、作りやすいですね。

「もう俺の曲が流れないんじゃないか!?」

――「エンジン」がエンドソングとして挿入された完成作品をご覧になっていかがでした?

 率直な感想は、エンドロールのクレジットがすごく長い(笑)。何人がこの作品に関わっているのだろう、すごいなと。エンディングの前半は(米女性歌手の)ZZ Wardさんの「Ride」が流れるのですが、丸々一曲流れたので、「もう俺の曲が流れないんじゃないか!?」ということを一瞬考えました(笑)。

 でもエンドロールが長いので、そんなことはなかったのですが。映画も終幕に向かって落ち着いたところで流れるので、なかなか悪くないなと思いました。『カーズ』は本当に好きなので、ありがたいです。オファーを頂いた時から嬉しかったですし、反面、適当にやってはいけないとプレッシャーもありました。

――登場キャラクターでは誰がお好きですか。「ドック・ハドソン」のような年配のキャラもたくさん登場されますが。

 あの辺りは確かに渋くていいですね。「ジャクソン・ストーム」のようなフォルムよりは、「ライトニング・マックィーン」のようなフォルムの方がグラマーで、自分で乗るならこっちです。メーターもありだけど、ちょっと東京では(笑)。

――やっぱり広島カープファンということもあり、マックィーンのような赤がお好き?

 もちろん赤という色は好きですが、車は割と「クルーズ・ラミレス」のような黄色や青も好きです。ほっとくと何でも赤になってしまうので、逆に赤い車を避けたりなんかしてね(笑)。

――今作のレースシーンはいかがでしたか?

 実際のレースもたまに見るのですが、今作の画に関しては、もう実写よりもいいですよね(笑)。もちろん画なのですが、そういうことを忘れさせてしまうクオリティーです。本当のレースではありえないカメラアングルもあって、実写よりも迫力がある部分もありますから。

(取材・撮影=村上順一)

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