ワンマンライブ『~仮想日本武道館!?センターステージに挑戦!!の巻~』を開催したフラチナリズム(撮影=カメラ小僧)

 ポップロックバンドのフラチナリズムが6月24日に、東京・ディファ有明でワンマンライブ『~仮想日本武道館!?センターステージに挑戦!!の巻~』をおこなった。この日のステージは、観客がステージの周囲を囲む形で実施。まさに、同じような客席を持つ仮想日本武道館でのライブスタイルを再現した。コミカルな寸劇を挟みながら「恋愛レボリューション21」などのカバー曲を含むバラエティ豊かなラインアップで観客を魅了。モリナオフミ(ボーカル&エンターテイナー)は「日本武道館の夢は絶対にあきらめません」と武道館への夢を語り、これからの活動について意気込んだ。

伝説の目撃者となる

モリナオフミ(Vo&Ent)(撮影=カメラ小僧)

 ディファ有明はプロレスの聖地ということから、フラチナリズムは、この会場ならではの演出を最初に用意。それがプロレスの実況解説者とゲストによる、これから始まる試合(ライブ)へ向けた期待を煽るトークという設定での芝居。古舘伊知郎を真似る司会者が、ゲストで登場した。B'zや桑田佳祐、福山雅治をものまねする人たちの歌真似を会話の中に折り込みながら寸劇を展開。メンバーの登場も、プロレスの選手入場と同じ設定でおこなわれた。

 「今宵、この会場へ訪れたすべての人たちが伝説の目撃者となる」というアナウンスがおこなわれ、メンバーひとり一人が入場のコールを受け、それぞれに入場曲を背負いながら銘々にポーズを決め、颯爽と舞台へ登場。メンバー自身が、これから試合を始める選手に成りきって入場していた。徹底してプロレス風の舞台設定を作り、ドラマチックに盛り上げていく。

 「フラチナリズムここに見参!!」ゴングの音が鳴るのを合図に、彼らは力強く勢いを持った「ズコ☆バコ」を演奏。凛々しく逞しい楽曲を、これから観客たちへ試合へ挑むような姿勢でモリは歌唱する。

 勢いを持って演奏はパワフルなナンバー「やってらんねぇ」へ。会場中の人たちが〈やってらんねぇ〉の掛け声に合わせ、両手を大きく振り、会場はヒートアップ。途中のブレイクでは、なかなかモリが歌わないことから「モリ、歌えー!!」の声も場内には飛び交っていた。コミカルな演出も、彼らのライブの醍醐味だろう。

 気持ちをウキウキ弾ませる演奏が、会場中の観客を笑顔にする。軽快なナンバー「なんてファンタスティック」にノッて会場中の人たちが身体を激しく動かし、汗をかいていた。

 ファンクな「愛knowダンスhole」で力強い演奏が、フロアーにいる人たちを熱狂の渦へ巻き込む。メンバー紹介では、各パートで演奏しアピールするのではなく、トークでアピールしていくところが彼らの姿勢。各自がラップや歌で半生を紹介。

タケウチカズヒロ(Ba)(撮影=カメラ小僧)

 そのまま演奏は、フラチナリズム流超ダンサフルなEDMナンバー「We gotta MUSIC」から「Don't Stop My Love~あいつはドスマラ~」へ突入。甘い歌声に観客も酔いしれていた。

 ここからはカバー曲コーナーへ。モーニング娘。の「恋愛レボリューション21」では、サビでのやり取りや掛け合いを観客たちまで巻き込み実施。〈超超超超いい感じ〉の空気を作り、次の工藤静香「MUGO・ん…色っぽい」へ繋げていった。ねっとり絡みつくファンキー歌謡なムードにアレンジされた楽曲によって、会場はノスタルジックな雰囲気に包まれた。

 続く米米CLUBの「君がいるだけで」では、モリが〈君がいるだけで〉と歌おうとしたところ、タケウチカズヒロ(Ba)がいきなり歌いだすというコミカルな演出も。モリナオフミは、メンバーらに「絶対に歌うなよ」と釘を刺し、再び演奏。歌のパートへ突入した途端、マネージャーのチップ氏が歌い出した。この二段落ちを仕掛けていくところも、彼ららしさ。

これじゃ売れないメドレー

田村優太 (Gt)(撮影=カメラ小僧)

 続いて彼らが用意したのが、フラチナリズムへ改名する前のバンド時代に演奏していた曲たちを集めたというメドレーコーナー。当時はまったく売れていなかったことから名付けたのが、「これじゃ売れないメドレー」。

 ファンキーでスタイリッシュな「Tambourine day」、ラテンビートが心地好く身体を揺らすアダルトな「セクレリア・ディジレリア」、解放感満載なお洒落ソウルな「ガナトゥーヤ」、腰をズンズンとシェイクさせる「HEAVENLY TIME」、どっぷりムーディに浸れたメロウな「U.V.B」、「Ride on time」も織り混ぜながら、最後は楽しいパーティソウルチューンの「あ・く・ま・でナイトフィーバー」へ。

 続く「アイアイアイラブユー」も、フラチナリズム時代以前から存在していた、彼らを支え続けてきた楽曲。〈アイアイアイイラブーだけでも〉〈ベビーベビーもっとこっちおいで〉とメンバーと観客たちとの歌のやり取りから演奏はスタート。サビではメンバーと観客たちとのシンガロングも。

 ここでバラードの「懐かしき友よ」を、モリはいつにも壊れそうな感情を持って優しく歌いかけてきた。その切々とした空気を優しく膨らませるように、フラチナリズムは「帰っておいで」を披露。その歌声と演奏は触れた人たちの心に、いろんな温かい想いの物語を描き出していった。

 「みなさんが幸せであるように」、触れた人たちの心を優しく軽やかに癒すよう「幸せのキセキ」が流れだした。サビでは大勢の人たちが大きく手を振り、舞台上へ温かく幸せな気持ちを返していた。いいね、こういう歌を通した心の握手…いや、ハグしあえる関係って。終盤に生まれた<ラララ>の大きな合唱が、愛しき互いの関係を示していた。まさに、“素晴らしい幸せ”を交わすように。

都築聡二(Dr)(撮影=カメラ小僧)

 モリは「紆余曲折いろんなことがありましたけど、一度言った日本武道館の夢は絶対にあきらめませんので、これからもみんなついて来てください。今回は日本武道館公演へ向けての“その1”やぞ、600までやるからな。日本武道館目指して俺らやっていますんで」と武道館公演実現の夢を語った。

 「ここからは魂の交換戦だ」の言葉に続き、後半戦は、飛び跳ねずにいれないファンキーなパーティチューンの「ひな壇芸人行進曲」から始まった。クルクルとまわるタオルが会場を覆い尽くした。ダンサブルなポップチューンの「プラネタガール」へ突入。

 モリが「まだまだ踊りましょうか!」と煽り、「大江戸ディスコ」を演奏。会場中の人たちが手にした扇子を振りかざし圧巻の光景が広がった。モリは客席を練り歩き、祭り気分をとことん盛り上げていった。

 盛り上がりすぎて足をつってしまった、モリだが、さらにひと盛り上がりしようと、フラチナリズムは最後に「KAN&PAI-THE GENESIS-」を披露。場内には<KAN&PAI>の掛け声が響き渡った。誰もが親指と小指を立てた乾杯ポーズを振りかざし、超情熱ファンキーな乾杯パーティナンバーに合わせ、全力の笑顔で楽しんでいた。

ライブのもよう(撮影=カメラ小僧)

 アンコールの声を受け、ふたたびメンバーはステージへ。披露したのが東京工学院のスタッフたちと一緒に作りあげた、卒業へ向けた想いを綴ったバラードの「テトテ」。この日のライブも、東京工学院の生徒たちが全面協力。この時間だけは、愛すべき東京工学院のスタッフたちへの感謝の想いを込め、フラチナリズムは「テトテ」をしっとり歌い上げた。

 最後は、モリの生きざまを描いた演歌風ナンバー「ふんどし男の夢花道」を熱唱。フラチナリズムらしいバカ騒ぎのもと、徹底してふざけ倒しながら、今宵の宴を締めくくっていった。

 彼らも言っていたが、この日のワンマン公演は何時か訪れる予定の日本武道館公演へ向けての第一歩。この道が、これからどんな風に大きく広がってゆくのか、非常に楽しみである。(取材=長澤智典)

セットリスト

『~仮想日本武道館!?センターステージに挑戦1!!の巻~』
6月24日 東京・ディファ有明

M-1 ズコ☆バコ
M-2 やってらんねぇ
M-3 なんてファンタスティック
M-4 愛knowダンスhole
M-5 We gotta MUSIC(メンバー紹介曲)
M-6 Don’t Stop My Love〜あいつはドスマラ〜
M-7 恋愛レボリューション21
M-8 MUGO・ん…色っぽい
M-9 君がいるだけで
M-10 これじゃ売れないメドレー(Tambourine day〜セクレリア・ディジレリア〜ガナトゥーヤ〜HEAVENLY TIME〜U.V.B〜Ride on time〜あ・く・ま・でナイトフィーバー)
M-11 アイアイアイラブユー
M-12 懐かしき友よ
M-13 帰っておいで
M-14 幸せのキセキ
M-15 ひな壇芸人行進曲
M-16 プラネタガール
M-17 大江戸ディスコ
M-18 KAN&PAI -THE GENESIS-

EN-1 テトテ
EN-2 ふんどし男の夢花道

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