男装界の異端児として常に新しさ求め、Vipera 諦めず掴んだ夢
INTERVIEW

男装界の異端児として常に新しさ求め、Vipera 諦めず掴んだ夢


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年06月21日

読了時間:約14分

男装界の異端児とも呼ばれるVipera

 男装パフォーマンスグループのVipera(ヴァイパー)が6月7日に、メジャーデビューアルバム『Viper』をリリースした。メンバーは優弥、春月、いちる、麟太郎、神とSEACRET SAPORTのダンスティーチャー未来の6人。怪盗をモチーフに2013年に結成され、ライブをメインに活動。初期の頃はメンバーよりも少ない観客のなかでライブをおこなうこともあったという。今作ではインディーズ時代の楽曲も含めた全8曲を収録し、アルバムのオープニングを飾る「We’re the Vipera」は結束力の表れだと語る。ハイタッチ会ならぬ“パイタッチ会”をおこなうなど、男装界の異端児と呼ばれるViperaの歴史を紐解くとともに、男装シーンについてや今作に込められた想いなどダンスティーチャー未来以外の、メンバー5人に話を聞いた。

2.2次元くらいにいきたい

いちる

――みなさんはViperaの中でどういった役割を持った方達なのでしょうか。現在どんなことに興味がありますか?

春月 セクシー担当の春月です。Viperaはメンバーカラーが決まっていて、私はヴァイオレットです。フランスを愛している“Viperaの美しい花”だと思っております。美しいものや耽美なものに凄く惹かれています。

――具体的にはどういった“耽美なもの”に惹かれますか?

春月 「人間が手を加えた美しさ」と「人間が手を加えない美しさ」の両方といいますか…。具体的に言えば「絵画」です。自分も5、600年後には絵画になって「この人綺麗ね」と言われたいです。

――デカダンス的な感じですね。いちるさんはいかがですか。

いちる Viperaのギルティ王子・いちるです。メンバーカラーはモルガナイトピンクです。今、“中二病”的なものにハマっています。吸血鬼とか黒魔術とか十字架とか魔法陣とか、そういったものです。

――メンバーカラーのモルガナイトとは?

いちる 「モルガナイト石」という薄ピンク色の綺麗な石があるんです。

――石の色なんですね。それでは優弥さんお願いします。

優弥 リーダーの優弥です。メンバーカラーは赤です!

――リーダーの色は普通なんですね。

優弥 俺だけ普通です! ハマっていることは、総合的におっぱいです。「Viperaパイタッチ会」もやったんです。最近特にハマっているのは“下乳”です。あとはボイスパーカッションをやったりとか。まあ、ほとんどおっぱいです(笑)。

――男性的でいいですね。それでは麟太郎さんお願いします。

麟太郎 Viperaの弟担当の麟太郎です。メンバーカラーはひよこ色です。でも鳥が苦手で、鳩が一番苦手です。かわいいぬいぐるみが好きなので、ぬいぐるみ同士で会話させることにハマっています。

――それはかわいいですね。何故、鳩が苦手?

麟太郎 追っかけてくるからです。

初回盤

――それは鳩になつかれてるのでは?

麟太郎 嫌です! こわいです。

――鶏肉も駄目?

麟太郎 お肉は食べます(笑)。

――完全にダメというわけではないみたいですね。神さんはいかがですか?

神 Viperaの突っ込み役、神です。三度の飯よりBL(ボーイズラブ)好きです。基本的に漫画やアニメが好きなんですが、その中でもBLが好きで、暇さえあれば見ています。最終的に二次元になりたいです。

――今「2.5次元」という世界観が流行っていますよね。

神 そうですね。我々もたまに2.5次元と言って頂ける事もあります。生身に近いので2.7〜2.8くらいかと思うので、2.2次元くらいにいきたいなと思っています。

「俺たちの毒でみんなを酔わせてやるぜ!」

Vipera

――Viperaのユニット名の由来は?

優弥 意味は“毒蛇”です。最初4人で色んな案を出し合って、その中から一番格好良いものを選びました。

神 結成した2013年が巳年だったということもあります。

優弥 「俺たちの毒でみんなを酔わせてやるぜ!」と。

――“怪盗”をモチーフにしたのは何故でしょう。

優弥 このメンバーを見て、爽やかとか正義のヒーローといった感じはないと思いまして。

神 最初にユニットの方向性を決める時に、元気でポップなホワイト系よりも、「格好良くてクールなブラックがいいよね」という話になりました。悪者ではないけど、色気のあるイメージが怪盗にはあると思いました。

春月 “泥棒”だと色気がないですもんね。

――確かに怪盗だと紳士的なイメージもありますね。メジャーデビューは当初から目指していた?

優弥 面白いこともしていますが、歌を真剣にやっているので、いつかメジャーに行きたいとは思っていました。本当に拾って頂けるなんて…。曲が凄く良いので、色んな方々に聴いて頂きたいという想いもありまして。

――結成から4年が経ちますが、Viperaはこれまでどういった活動をされてきましたか?

優弥 グループとしては、“男装界の異端児”という位置づけだと思います。

――今、男装シーンはブーム?

神 どうなんでしょうか? 多分、局地的なブームなのではないかと思います。特に男性の方でこのブームを知っている方はそんなにいないと思います。活動としてはライブをメインにやってきました。最初の方はそんなに本数も多くなくて、オリジナル楽曲も1曲だけで、あとはカバー曲をずっとやってきました。

優弥 曲中で「ポッキーゲーム」的な「うまい棒ゲーム」をしたりもしてましたね。今、曲を書いていただいている作曲家さんに出会って、格好良い曲を書いて頂いてライブハウスの活動も増えてきました。

神 曲のファンも増えました。男装が根底ではあるんですけど、そこにあまり囚われていないというか、表現手法の一つでしかないんです。

――BL要素を強く打ち出した、インディーズ時代の「グラジオラス」のMVがとても人気がありますね。

優弥 ちょっと変わったことをしようと考えて、「とにかく肌色率が高いものを撮ろう」と思いました。

麟太郎 より2次元に近いような、「とにかく美しく撮る」ということにこだわりました。観る人の度肝を抜くような、中途半端ではないものにしようと思いまして。

春月 当初はまさか今くらいの再生回数までいくとは思っていませんでした。

――現在66万回ですね。

春月 ファンの方以外にも、同業者の方が観てくれてまして。「観たよ!」ってたくさんの方に言われました。

優弥 びっくりさせてやろうとは思ったのですが、ここまでびっくりされるとは思わなくて。撮影している時はハイテンションになっていたので、「大したことないんじゃない?」っと思っていたのですが。

――それでスピンオフもどんどん作っていった?

神 あれは同時に出しまして。

優弥 1つのMVにストーリーがたくさん入ってしまうと訳が分からなくなってしまうので。

神 当時はまだ4人組で、いちるがまだいなかったので「4人全員が片想い一方通行BL」というテーマです。割とみんなこじらせているというか、かぶらない方向でという感じで。あと、必ずキスは入れようねというコンセプトでした。

――その後にいちるさんが入ったのですか?

いちる そうです。去年の9月くらいです。共演者の一人として、あの動画を観た側だったんですけど、衝撃が凄過ぎて!

麟太郎 だから色んな人に言われ過ぎて、僕達もだんだん恥ずかしくなってきて(笑)。

優弥 そんなに観ないと思っていたので。

神 一部の方が、観る人だけ観ると思っていたら意外と…。 

――ニッチな方面に発信したつもりが、かなり広がってしまったんですね。

優弥 でもありがたいことに、それで色んな層に知ってもらえました。

――いちるさんが加入した経緯は?

いちる 人数を増やしたいという話がありまして。

神 その前は何度か共演をしていて、「実力も申し分ない」というか。

――いちるさんもいずれは「グラジオラス」のようなMVを撮ると思いましたか?

いちる Viperaに入る時に、そういうMVを撮る覚悟をしなければいけないなと思いました(笑)。でも入った時に僕が一番思ったのは「このユニットは凄く面白いな」ということなんです。面白いしキラキラしているから、唯一無二のユニットだなと思いました。

神 「グラジオラス」に限らずなのですが、我々はいつもファンをびっくりさせたい、いつも新鮮な気持ちで驚いてもらいたいと思って、色々なことをやっています。

優弥 マンネリ化している時間なんて与えないぜ、とね。

神 ワンマンライブの時には必ず重大発表をしたい、みたいな。その仕掛けの一つとしてBLがあったりとか、パイタッチがあったりとか、とにかく変なことをやり続けるグループだなと、みんながそこに引っかかってくれたらいいなと思っています。

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