出てくるものは必ずある、川嶋あい 幾多の恋愛歌に秘めた物語
INTERVIEW

出てくるものは必ずある、川嶋あい 幾多の恋愛歌に秘めた物語


記者:榑林史章

撮影:

掲載:17年06月17日

読了時間:約10分

気持ちの進化や変化を楽しむ

「シンクロ」初回盤

――来年デビュー15周年を迎えるということで、振り返っていかがですか?

 まだまだやりたいことがいっぱいあるので、道の途中だなという感覚です。

――思い出に残っていることは?

 やはり路上ライブ1000回を達成したことです。3年かけてほぼ毎日路上に立ったことは今でも覚えていますね。

――当時は、CD手売り5000枚、路上ライブ1000回、渋谷公会堂ワンマンと、目標を定めて活動していましたね。現在目標としていることは?

 今は、そういう分かりやすく具体的なものではなく、リリースしていく楽曲ごとにあると言うか。その都度生まれる、こういう曲を書きたいという自分のイメージを、曲として具現化していくことが目標です。

――デビューからずっと、同じ事務所、同じレーベル、同じスタッフで活動されていますが、15年の間でスタッフとぶつかったりとか、関係性が変わったりということはありましたか?

 路上でやっていた頃に出会ったスタッフと一緒に作ったのが、「つばさレコーズ」で、その時のメンバーは、強い絆で結ばれた誰よりも信頼している人たちです。そのメンバーと、これからも変わらずにやって行きたいと言うのが、私の一番の願いなのですが…。

 きっと昔のほうが、常に一緒にいたと思います。年を経るごとに、ミーティングとかレコーディング以外で会う回数が減りましたけど、そこはお互い信頼し合っていると分かっているし、お互いに元気で健康であればベストだよねという、一つ何かを越えたところでの関係性が出来上がっていると思います。

――そういう信頼関係を築く上で大切にすることは?

 相手をどれだけ楽しませるかじゃないですが、どうやったら相手が喜ぶか、相手の笑顔を見られるかを、常に考えることだと思います。常にと言うのは、四六時中という意味ではなく、会う前とか会っている時などで良いと思いますが。きっとそれが、言動にも表れると思っていて。お互いにそう思っていれば、「こんなことを言ってくれた」「こんなことをしてくれた」と、気づきます。たまに会うならなおさらで、家族や友だちとか最愛の人とか、相手とどういう関係であっても、そういう気づかいが一番大切だと思っています。

――近ければ近いほど、相手に甘えてそういう気持ちを忘れてしまうこともあるでしょうし。

 そういうことがあるたびに、「これではいけないな」と自分たちで気づいて、今の関係を築いて来たと思います。

 でも、この関係性もきっと、どんどん変わって行くと思いますね。20周年の時に同じことを聞かれたら、きっと「気づかい」とは違うワードが出てくると思うし、そういう関係性の進化や変化を楽しむことも、この「シンクロ」という曲の伝えたいことに繋がっています。

――「シンクロ」の歌詞の最後には、<この気持ちの先をゆけるよ>と綴られていますね。

 今のこの気持ちがゴールではなく、まだまだ行けるという。もっと進化や変化をして、相手のことを考えたり思ったりできることは、すごく幸せで恵まれていることだと思います。それを続けて行ける人生が、一番幸せじゃないかなと思います。

 私自身、自分を応援してくださる人たちの笑顔が、自分の幸福感に繋がっています。自分を支えてくださる人たちの笑顔を一つでも多く見るためには、これからも自分はどうしたら良いかを常に考えて、一生懸命にそれを実現して行きたいです。

(取材=榑林史章)

◆川嶋あいとは 15歳の時に福岡から上京し、16歳で路上ライブを始め、17歳のときにCD手売り5000枚と渋谷公会堂ワンマンライブという目標を達成。同年デビューシングル「天使たちのメロディー/旅立ちの朝」をリリース。2005年には、路上ライブ1000回の目標を達成した。ソロ活動と並行して、2003年に2人組ユニット=I WiSHのaiとして「明日への扉」でデビューしており、2005年にソロ活動への専念のためI WiSHを解散。2006年からソロ活動をスタート。これまでに「旅立ちの日に…」や「My Love」など数多くのヒット曲をリリース。近年は、声優の東山奈央が歌うアニメ『月がきれい』オープニングテーマ「イマココ」に作詞提供するなど幅広く活動。音楽活動以外でも、アフリカやアジアの貧困地域の学校建設に対する支援活動などもおこなっている。

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