その日しかない音に面白さ、OKAMOTO’S　ライヴバンドとしての美学

頑固であれば正解にはなる

オカモトレイジ

――CDとライヴの意味合いが逆転してきていると感じているんです。ライヴがあって音源が売れると言いますか。ここ何年か前まではCDを買って予習をしてからライヴへ行くというスタイルが主流だったと思うんです。その辺りの変化についてどう思われますか？

オカモトレイジ　買わなくても音楽が聴ける世の中になってきていますから。

オカモトショウ　チャンス・ザ・ラッパー（※アメリカの男性ヒップホップアーティスト）が随分前から「僕は音源を売らない」と言って、ライヴの収益でやっていくというスタイルでヒットしたという事例もあります。そういう考え方の方が自然になってきているんだなとも思います。

――レディオヘッドやナイン・インチ・ネイルズなどもそういった事を先駆けてやっていましたね。

オカモトレイジ　音楽業界自体がけっこう遅れをとってしまってますからね。

――それが正解かどうかまだ分からないというのもありますよね。

オカモトレイジ　頑固であれば正解にはなると思うんですけど、意外と頑固じゃない。あるレコード会社はiTunesには配信しないというスタンスだったのに、何年かしたら結局配信で出してしまった、あれでいまだに配信をしていなかったらCDの売れ行きも下がっていなかったと思ったり。音楽が求められていない世の中になっている訳ではなく、聴く行為に対してそのシステムがどうなっていくかという話だと思います。

オカモトショウ　どんどん新しく流れていっているから、ここからまたどうなるかですね。俺らはビジネスに興味があって音楽をやっている訳ではないので、基本は音楽を作り続けるという事と、そういった新しいスタイルにも若者らしくアンテナを張って、バンドマンとしてどう対応していくかという真面目な話を４人でする事もあります。

――届け方というのは重要なんですね。

オカモトショウ　そうです。他より面白い届け方。例えば小説と一緒に出したり、自分達なりの作品に対する必然性で、そういうものが思いついたらどんどん挑戦していきたいと思います。前回やったレコードと配信だけのリリースなどやりたい事を提案して、チームで動いていくということは物を作るという上では凄く良いなと思っています。ここからどうなっていくのか楽しみです。

Blu-rayの見所

「LIVE」ジャケ写

――今作では映像は、DVDはなくBlu-rayのみですか？

オカモトレイジ　打合せの時にBlu-rayプレーヤーを持っていなかった人が一人もいなかったんです。多分、もう全員持っているんじゃないかな。

オカモトショウ　基本的に、全ての人がどうにかしたらBlu-rayを観られる状態になっているという事を４人で話し合って。

オカモトコウキ　プレーヤー無かったら僕が買ってあげます！

ハマ･オカモト　破産するぞ（笑）。

――画像も音質も良い方にシフトした方が良いのかもしれませんね。DVDはもう過去の産物かもしれません。

ハマ･オカモト　今一番良い状態のものがそれならばBlu-rayが良いし。「Blu-rayだと観られない」と言われたら「ではこれを機に…」という感じです（笑）。

――ある種の買う決断力にもなりますしね。より良いものを届けたいという思いが大きい訳ですよね？

オカモトコウキ　そうですね。

オカモトショウ　本当はスピーカーごと届けたいくらいです。

――Blu-rayの野音公演はフル収録ですが、各々が思う見所は？

ハマ･オカモト　僕は「Sing A Song Together」の間奏で両側のお立ち台に行き来して中央に戻るという演出があったのですが、コウキさんが全然戻って来なくて。

オカモトコウキ　ごめんなさい。

ハマ･オカモト　僕が戻ろうと焦って転びそうになるのですが、そこがばっちり映っています。それが、一番思い入れがあります

オカモトレイジ　僕は髪の毛があるという事です。

ハマ･オカモト　レイジに髪の毛がある最後のオフィシャル映像だね。

オカモトレイジ　当分は坊主でいこうかと。

――どういった心境の変化で坊主に？

オカモトレイジ　ブッダ・ブランド（日本のHIP HOPユニット）のドキュメンタリーを観て影響を受けました。次のアルバムに向かって行く気合いを入れるためにも。

――ということは、アルバムはHIP HOP要素も強くなる？

オカモトショウ　そうかもしれないですね。どうかな（笑）。

オカモトレイジ　ブッダ・ブランドは単純にミュージシャンとして尊敬しているので。

オカモトコウキ　きっとザ・フーを観てSGギターが欲しくなるような感じだよね。

オカモトレイジ　そうそう。

――コウキさんは野音映像の見所は？

オカモトコウキ　「Lagoon」で凄く長いギターソロを弾いていて、野音ではそのソロの47都道府県集大成なので、是非観て欲しいです。

オカモトショウ　CD音源では違うテイクのだからソロの聴き比べも出来るよね。

オカモトコウキ　それ良いね。CD収録の方の宇都宮のテイクではツアー中盤戦くらいで、そこはそこで煮詰まっていない衝動がある感じを受けます。その２本を聴き比べてもらうのも面白いと思います。

――生で拝見しておりましたが素晴らしかったです。こんなに長くギターソロを弾くバンドは今あまりいないなとも思いました。

オカモトコウキ　そうなんです。その点は僕も良いなと思っていて。ONE OK ROCKと対バンした時も、あまりにもソロが長いのでお客さんから新鮮なものを見る目を受けました。

――昔は自然な事だったんですけど一周して新しいし、今は貴重だと思います。

オカモトコウキ　今時珍しいですよね。引き続きやって行きたいです！

――ショウさんの見所は？

オカモトショウ　ステージをはけた後も撮影チームがカメラを回してくれていて、「ROCKY」をお客さん全員で合唱してくれているシーンが入っています。個人的にはそこがすごく泣けましたね。「ROCKY」に対して自分たちの様々な想いがあった事がお客さんに伝わっていたんだということが分かった瞬間でした。見所はそのラストシーンです。

――それでは最後にツアーの東北編に向けての意気込みをお願いします。

オカモトショウ　去年は全都道府県ワンマンをひたすらやっていたので、今年はSuchmosやONE OK ROCKなど色々なバンドに対バンを誘ってもらって、色々な所でやらせてもらっているのが凄く楽しい。夏に新しいアルバムを出そうと思っているので「次の僕達」を楽しみにしていて欲しいです。

――東北編という事は、関東編や中部編もある？

オカモトショウ　ゆっくり何年かかけてやっていけたらいいなと思っています。全都道府県でどの会場もきちんとお客さんが来てくれて凄く自信にもなりましたし、これっきりにしたくないので、また全国を回って行きたいという事の一環だと思ってもらいたいです。

ハマ･オカモト　東北ツアーは凄く楽しみですね。今年は対バンツアーもやるし、アルバムもリリースしますし、ワンマンライヴもやらないという事はないと思うので、出来る限りの全部をやるつもりです。

オカモトレイジ　既に海外レコーディングもライヴもやってるしね。

ハマ･オカモト　今年が一番、やれる事をおさえる年になると思います。何かとニュースには困った事は無いので嬉しい事です。全体的に今年は楽しみなことが多いですね。

（取材＝村上順一／撮影＝冨田味我）