GLIM SPANKYとして突き出る方法を常に探しています
――3rdミニアルバム『I STAND ALONE』についてお聞きしたいと思います。
松尾レミ 1stアルバム『SUNRISE JOURNEY』と2ndアルバム『Next One』までの作品で、「GLIM SPANKYはロックが好きだ」というのをまず世間に提示したいと思っていました。これまでは基本的なロック、私たちが表現する一番の土台のシンプルなロックを表現したつもりです。
なので3rdでは「もっと踏み入れた表現をしたい」とずっと思っていて。前作を録り終えてから、すぐに計画を立てていました。土台はできたから、自分たちのもっと深い部分を知ってもらおうということで。
例えば今回の「アイスタンドアローン」のような、サイケデリックでオリエンタルな感じを取り入れてみたりだとか。歌詞表現でも、もっと私の好きな詩的で幻想文学が混ざった表現をしてみたり。
30年から40年代のアメリカ映画音楽が好きなんですけど、そういう雰囲気を醸し出す様な、ストリングスが沢山入った子守歌みたいな曲も入れたりもしています。今までよりも、ちょっと奥に入った曲を出来る様に考えながら作りました。
リード曲の「美しい棘」もライブではやってはいませんでしたが、ずっと温めていた曲です。『Next One』を出した頃には既にありました。でも世に出すタイミングを凄く考えるんです。タイミング的に今だと思い、今回のリードとしてこの曲を選びました。この「美しい棘」と「アイスタンドアローン」が2本の柱になって、その柱の周りに何が必要かということを考えて、曲を作り出していったという流れでした。
亀本寛貴 僕らはCD盤を制作しているだけなので、あまりリード曲とかは関係ないんですよ。「ラジオでかける曲はこれ」とか「入り口になってくれる曲はこれですよ」というだけであって。盤で全曲を通して聴いて頂く事を推奨してます。
松尾レミ まったくその通りで、全部リード曲の様なものなんです。ただリードとした曲を4曲目に持ってきたというのも意味もあるんです。リード曲は大体1、2曲目にあって、あとはおまけみたいになりがちなんですよね。
だからミニアルバムと言えど、フルアルバムぐらいの気力で作ったというのがわかる様に1曲目に「アイスタンドアローン」を持ってきて、アルバムタイトルもリード曲でないものにしました。それで「美しい棘」を4曲目に置いて、「5曲でしっかり構成されている」という見え方にしたかったんです。だから曲順もかなり考えました。
――アルバムタイトルの発想はどこからでしょうか。
松尾レミ 高校生の頃、GLIM SPANKYは4人編成だったんです。それで活動していた時に、私1人でアコースティックライブをやる時の名義が「I stand alone」でした。「コーネリアス」みたいな感じで1人だけどグループ名があるみたいな。「1人で孤高に立っている」という意味合いが個人的に気に入っていました。
それから大学上京を機に4人バンドから2人になったんですけど、2人だとアコースティックやる時も2人でできちゃうじゃないですか。だから「I stand alone」でやる意味が無くなっちゃって、使わなくなったんです。
でもこの言葉と私の心は繋がっているし、いつかこの言葉で曲を書けたらいいなってずっと思っていました。だから、それを書ける時がやっと来たという感じで、想い入れのある言葉だから、それをタイトルにしました。
「皆が孤高で闘っていて、尖っていて、自分の旗を突き刺している」という表現なので、今のGLIM SPANKYにも合っている言葉だと思うんです。前作はタイアップが沢山ありましたけど、次に出す作品でもそれに甘えずに尖っていたいと思っていたし。いつでも私たちは戦っているし、環境が良くてもそこで何もしなかったら終わりだし、環境が悪くてもそこで何かを巻き起こせばいい。だから「どこにいるかよりも、自分が何をするかが大事」という事を伝えたかったんです。
――現在は何と戦っているのでしょうか。
松尾レミ 世間の中で自分がいちロックミュージシャンとして、「人にどう勇気を伝えるのか」という方法を見つけるために戦っています。でもそれはポジティブな戦いです。自分との戦いや世界との戦いと言ってしまえば聞こえが良いけど、私たちは日本だけで表現している訳でもなくて、地球の中で表現していると思っています。その中で何か抜きんでる、私の音楽表現だったり、総合的な表現がGLIM SPANKYとして突き出る方法を常に探しています。
きっと突き出た時により多くの人に勇気を与えられるだろうなって。ロックはそういうものだと思っていて、表現者として常に戦っています。きっと皆も会社の中で戦っていたりとか、学校の中で戦っていたり、そういう事もあるでしょう。だから「戦う」という事の答えを私は言うべきではないなと。隙を生む事によって、皆が自分の物として捉えられるようにしたいです。


















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