ミオヤマザキ、日比谷の空に響く鮮烈なタブー 初の野音ワンマン

LEDパネルを使用した映像演出と楽曲との融合で独特の世界観で魅了したミオヤマザキ
4人組ロックバンドのミオヤマザキが4月1日に、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『重大告白』をおこなった。チケットはソールドアウト。LEDパネルを使用した映像演出と楽曲との融合で、独特の世界観で「メンヘラ」など全18曲を披露した。楽曲「バンドマン」では3人組ユニットのWHITE JAMのメンバー、GASHIMAがサプライズ登場し、攻撃力のあるラップで盛り上げた。終演後には“重大告白”として7月にニューシングル「ノイズ」のリリースと、赤坂BLITZでのワンマン公演、10月にリリースされるニューアルバムに伴う全国ツアーも発表した。
何ができるか見せてやるよ
この日は4月にしては寒い空気。気温は一ケタ台で午前中は雨も降っていた。午後になり雨は止み曇り空が広がるなか、会場となった日比谷野外大音楽堂には、多くのオーディエンスで埋め尽くされていた。
ステージ中央の後方に設置されたスクリーンには、カウントダウンが刻まれる。10分毎にお腹に響くような低音がなる。その音を聞くたびにざわつく会場。1分前になると、オーディエンスは立ち上がり、“ミオコール”があちらこちらから聞こえる。10秒を切ると、9、8、7とオーディエンスも声を出しカウントダウン。期待が高まるなかカウントがゼロになりライブの幕は開けた。
「今日ここで見たことを一生自慢できる1日にします」とコメントがスクリーンに映し出され、SEが流れるなか、taka(Gt)、Shunkichi(Ba)、Hang-Chang(Dr)の3人がステージに登場。定位置に着くと、最後にゆっくりとmio(Vo)がステージに。その姿に大歓声が上がった。
「たった3千人のライブハウスで歌っているやつに何ができるか見せてやるよ」とmioの言葉から、「正義の歌」を届けた。強烈な歌詞がスクリーンに映し出されるなか、叫びにも似た歌声を響かせていく。そして、mioが「降りていいかな!?」とステージを降り、オーディエンスと近距離で「婚活ハンター」をパフォーマンスした。サビでは早くも回転するタオルで会場が埋め尽くされた。
続いて、けたたましいShunkichiのスラップ奏法から、Hang-Changの高速2ビートがオーディエンスをヘッドバンギングへ導いた「叫ビ」、そして、mioが「お前らのことだよ!」と投げかけ始まった「ド・エ・ム」と、序盤からアッパーチューンで畳み掛ける。踏んだアクセルは緩めないと言わんばかりに「メンヘラ」に突入。<死にたい>という言葉が野音に響き渡る、ミオヤマザキの世界観ならではの展開に、テンションは上がり続けていく。途中うなだれるように歌うmioの姿は、ただならぬものを感じずにはいられない。
mioの突き抜けるハイトーンボイスが響き割った「Dawn of the Felines」、サウンドもドメスティックな「DV」とラウドナンバーで聴くものの感情を揺さぶり続けていった。鮮烈な歌詞の内容とは裏腹に、LEDパネルに投影されたお花畑のようなメルヘンな世界観がほっこりとさせた「芸能界」。高ぶった感情を落ち着かせるように歌い上げるmio。歌に包まれるような感覚だ。
もっと自分を解放しろ!!
ここで新曲の「鬱鬱」を披露。mioとピアノによるバラードナンバー。下方から照らし出す照明を受け、情感を込め歌い上げるmio。<鬱なんだ 躁なんだ♪>という言葉が耳に残る。続いて、「季節と雨と涙と」を挟み、しばしの静寂から新曲の「最愛」を披露。軽快なロックナンバーで<愛すことは少し痛いから♪>と、サウンドのイメージとはまたちがう言葉が発せられていく。
歓声が飛ぶなか、takaの叙情的なギターアルペジオが奏でられる。mioは「ずっと楽しみにしていた日比谷野音のワンマンスレ(ライブ)。皆さん昨日の夜どうでしたか? 私は超絶“テン(ション)”上げで全然眠れませんでした。そして今みなさんのおかげもあって、やっと緊張がほぐれてきました。今日は花粉と戦う予定でしたが、絶賛極寒と格闘中です。こんな時期に野外のスレを組んだウチの社長を恨みたいと思います」と今の気持ちを語ると会場からは笑いが起こる。
その後、「避妊は大切です! 女の子を大切にしろ!!」と力強く投げかけ「Hのすゝめ」へ。会場中が胸から右斜めに上げる手の振りが、一体感のある美しい光景を作る。
続いての「バンドマン」ではゲストに、音楽ユニットのWHITE JAMからGASHIMAが登場。アグレッシブなラップを繰り出し、会場のテンションをさらにブーストさせていった。GASHIMAは「HIP HOPもRockもどうでもいいんだ! 本気でやれる奴いこうぜ!!」と、捲したて嵐のように去っていった。ゲストも加わり更に盛り上がったところで、メジャーデビューシングル「民法第709条」を叩きつけた。「不倫は犯罪だ!」と放ち、歌い上げていくmioからは、ただならぬロック魂を感じさせた瞬間だった。
そして、爽快な折りたたみ式のヘッドバンギングで会場が埋め尽くされた「バカアホドジマヌケ死ね」に突入。3000人が一斉にヘッドバンギングする光景は圧巻。mioは、「せっかく野音でやっているんだからもっとスゴイの見せてくれよ! もっと自分を解放しろ!!」とサビの部分を何度もリフレインし、一体感をこれでもかと作り上げていった。さらにライブはラストスパート。「童貞ハンター」ではバキバキとしたベースサウンドと、ハードエッジなギター、ラウドなドラムが絡み合い、轟音の渦を作り出す。そこに<ドーテイ♪>のコールアンドレスポンスで、壮絶な空間に。Hang-Changもリズムを叩きながら「超気持ちいい〜!」と叫ぶほどの快感を得た。
続いて、横揺れのビートが頭をシェイクさせた「水商売」を披露。<金 金 金 金♪>と強欲なフレーズをシンガロング。スレ(ライブ)ではありのままを晒せと言わんばかりの、パフォーマンスで魅せる。演奏が終了し、mioがライトを手に持ち客席を照らすと、その光に呼応するかのように、オーディエンスは手持ちのスマートフォンのライトを使用し、ステージに向ける。会場に灯った白い光が趣ある景色を見せた。
そのまま「TOKYO」へ。リズムに合わせ左右に振られるライトによって、神秘的な空間を作り上げた。情景が見えるかのような、歌と演奏。このスレのエピローグとも言えるラストナンバーは、オーディエンスの心に何かを残していくようだった。takaのギターアルペジオが響くなか、mioは深いお辞儀をし、ステージを後にした。
メンバーがステージを去った後、スクリーンに重大告白として、7月12日にシングル「ノイズ」のリリースと8月27日に赤坂BLITZでのワンマン、さらに10月25日にニューアルバムのリリースと、それに伴ったツアーが10月より開始されることが発表された。最後にスクリーンには「明日もどうにか生き延びよう」というメッセージを残し、野音でのライブに幕を閉じた。
(取材=村上順一)
- ライブのもよう
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セットリスト
『重大告白』
4月1日 東京・日比谷野外大音楽堂
01.正義の歌
02.婚活ハンター
03.叫ビ
04.ド・エ・ム
05.メンヘラ
06.Dawn of the Felines
07.DV
08.芸能界
09.鬱鬱(新曲)
10.季節と雨と涙と
11.最愛(新曲)
12.Hのすゝめ
13.バンドマン feat.GASHIMA from WHITE JAM
14.民法第709条
15.バカアホドジマヌケ死ね
16.童貞ハンター
17.水商売
18.TOKYO