自分もある程度は決断をして進むようにしている
――リード曲の「君がいない世界は切なくて」でKEN THE 390さんとのコラボですね。フィーチャリングされた経緯は?
KEN THE 390さんとは初対面でした。HIP HOPやラップは大好きで聴いていたので、いつかコラボができたらいいなと思っていたんです。この曲のデモの世界観に合うなと思ってオファーさせて頂きました。
――この曲の歌詞の解釈としては、相手が亡くなってしまったと捉えてもい良いのでしょうか?
相手にもう会えない悲しみを表現した歌なので、色々な別れに重ねて聴いてもらえたら嬉しいです。別れの後、苦しくて切なくて、もがいている気持ちからどう前に進んでいけばいいのかを
この曲を聴いてくれた人と一緒に考えられたらって思って書きました。
――楽曲の雰囲気も相まってめちゃくちゃ切ないですよね。特に気になったのが<未完成なまるでPurpleなWorld>という歌詞は、どのような状態を書かれたのでしょうか。
この曲でイメージしていたのは、過去になってしまった切なさと、その日がくれた温かさと、その両方を表現したかったんです。切なさが青で温かさが赤だとしたら、混じって紫色という意味です。それを“PurpleなWorld”という表現をしたんです。空が自分の心の象徴というか、MV(ミュージックビデオ)もそういう感じにイメージで作ってもらいました。「混沌とした混じった色をそのまま抱えて生きて行かなければいけないんだよね」というメッセージで作ったんです。
――やや重い感じもありますね。
そうなんです(笑)。
――「君がいない世界は切なくて feat. KEN THE 390」のMVでは、CHIHIROさんがガラスケースに閉じ込められています。
あれは監督さんがこだわって作ってくれたシーンです。閉じ込められた想いや、会えない悔しさを表現しました。
――そして、<この君がいない空と世界は温かくて>という最後の歌詞は希望を象徴していると感じました。これはある種、自身に言い聞かせるというような側面もありますか?
そう思わなきゃなというところもあります。ずっと泣いてばっかりでは進めないし、「温もり」と言うとポジティブになれるから、同じ起こってしまった現実でも「温かさがあったな」と思って生きた方が前を向けると思って、最後の希望の光のような言葉を入れたかったんです。
――ちなみにCHIHIROさんは引きずるタイプ?
引きずる事は引きずりますけど、どうだろう…。
――切り替えるのは得意?
「アイマイな二人」もそうですし、「片恋」も「ただのトモダチ」もそうなんですけど、“切ない”ということに浸ってはいけないと思うんです。浸る時期はあっても良いと思うんですけど、どこかで自分が変わらないと前を向けないし、どこかで気付かないと新しい自分に出会えないと思うんです。女の子は「この切ない恋に浸っている自分が素敵」となったりするから…。
――悲劇のヒロイン的な?
そうです。私も浸る事はあるんですけど、「それでは駄目だ」という事を全ての歌詞に入れているので、自分もある程度は決断をして進むようにしています。
聴き方も変えて欲しかった
――「大好き」は凄くポジティブな曲ですね。「好きになっちゃいけない人」からの流れから、曲順も効果的でこの楽曲をさらに。
そうですね。「大好き」は振り切って明るくしましたね。
――では「大好き」はアプローチとしては珍しい方ですか?
そうですね。自分がハッピーではない時はそういう曲は書けないですね。
――ということは切ない曲を書く時は落ち込んでいる時?
切ない曲はハッピーな時も切ない時もどちらの精神状態でも書けるんですけど、ハッピーな気持ちに自分を持っていく事が自分の中で時間がかかります(笑)。
――確かに、落ち込んでいる時にハッピーな曲を書くのは大変かもしれませんね。7曲目にインタールード(間奏曲)の「Lips」が入っていますが、CHIHIROさんのアルバムにはインタールードが入っている印象があります。これは場面転換の役割でしょうか?
インタールードはその曲に入る前の世界をつくるものなので、今回は切ないキスを想い出しながら、「Champagne Love」に入ってほしかったので、シーンが見えるインタールードづくりを心掛けてました。