福岡県出身のR&BシンガーソングライターのCHIHIROが11月6日、配信シングル「My Life」をリリースした。「女の子の気持ち」をテーマに綴る泣きうたが話題となり、20代、30代を中心とした女性に共感を得ているCHIHIRO。「My Life」は自分自身を鼓舞し奮い立たせてくれるミディアムバラードに仕上がった。一つひとつの言葉が格言のように存在感を放っている。インタビューでは、今作の制作背景と歌詞に込めた想い、楽曲をより良くするアレンジへのこだわりなど話を聞いた。【取材=村上順一】
自分で自分を奮い立たせる「My Life
――現在もハワイに住んでいるのですか?
4年間住んでいて、ハワイがほとんどの時期もありましたが、やっと最近日本が多くなりました。
――海外にいてもネットで色々できるので日本にいるのと変わらないですよね。それまではレコーディングやプロモーションで日本にこなければいけなかったりと。
ハワイにもラジオ局があって、そこから日本のFMノースウェーブ、静岡のK-mix、福岡のラジオに発信できるんです。でも、ハワイは住むとなると大変なところもけっこうあって…。
――文化の違いなど?
文化もそうなんですけど、何をするにも物価も高いですし…家賃も東京の1.5倍くらいで。気候は良くて気持ちいいですけど、住むとなると観光とは全く違う部分もあるし、コミュニケーションもそうですし、最初は大変でした! こんな夢のないことを言ってもなんですけど(笑)。
――住むとなると大変なんですね...。ハワイでの4年間で曲への変化はありましたか?
サウンド面では、日本とは流れてくる曲が違うので、その影響はあると思います。ビート重視だったりトラックの作りも全然違うんです。洋楽のサウンドも自然と自分のなかに入ってくるようになって、作る曲も洋楽寄りの曲も入ったりとか、ギターじゃなくてウクレレを使ったりと色々やってみたり。でも切ない曲は変わってないと思います。切ない曲はハワイで作らず、日本に帰って来て作ることが多いです。
――日本でないとそういうモードにならないのでしょうね。
曲によって分けて作ってましたね。切ない曲は必ず日本で。ハワイは常に明るくて陽が気持ち良いので、なかなか切なくならないんです(笑)。夜でも気持ち良い風が流れていますから。だから日本の四季があって切ない感じというのはいいなって改めて思います。
――さて本作についてですが、リリースされて反響はいかがでしょう。
女の子からの反応が多くて、「リアルに重なる」という感想が多かったんです。
――「My Life」は女性だけではなく男性にも通じると思うところがありました。歌詞が格言のようと言いますか。短いセンテンスでもしっかり意味があって響いてくるんです。なぜこういう曲を書こうと思ったのでしょうか。
嬉しいです。自分が次に何を書きたいかと思った時に、色んな所を行き来していて新しい感覚も入ってきたこともあったので、新しいものに挑戦したいというのもありました。自然と女の子のファンの方からくる質問が、恋だけじゃなくて恋に絡んだ夢とか仕事、友達の台詞とか、恋だけじゃない大人になったからこそ出てくる悩みで、悩んでいる子が多いと思って。
――質問や相談にも変化が訪れて。
そうなんです。いつもラブソングで書いていることにも通じるんですけど、自分が届けたい想いとかやりたいことがあったら、それをやりきる、そこに向かって進むというのは、やれば答えが出るんじゃないかなと私はいつも思っています。背中を押して「頑張れ」とは私は言わないですけど、自分で自分を奮い立たせて「頑張りなよ」というメッセージを届けたいと思いました。
――自分自身を鼓舞するような?
そうです。自分で気付いて自分で変わろうと思わないと変わらないので。恋愛もそうじゃないですか。基本誰も助けてくれないですし、変な恋愛にハマっていても、結局自分がやめようと思わないとやめられない。その強い気持ち、まず自分が主人公であって、自分軸でいてほしいし、誰かの人生ではない、というところに気付いてほしいなと思って。
――自分を肯定してくれる歌詞ですよね。ファンの方から恋愛相談は皆さん長文だったりするのでしょうか?
そうですね、色んな方法を試しましたが、インスタのDMとかで長い文章で頂いたほうがとっても答えやすかったりします!かなり真剣に答えるので笑、状況をちゃんと知ったうえで答えたいなと思っちゃいます。
――皆さん知ってほしい、というのがあるのでしょうか。
もしくは誰にも言えないかのどちらかだと思うんです。そこにはまり過ぎてどうしたら良いか自分で答えを出せない。私は言葉で支えてあげられるけど、最後にどうするかは自分自身だから、結局ラブソングを書くのと一緒なんですけど、そこに早く気付くのと気付かないのは凄く違うと思うんです。
――さて、「My Life」の歌詞で気になったのが<女だから? 甘く見られた>という部分なのですが、CHIHIROさんも過去にそういうことがあったのでしょうか。
女だから「早く結婚しなきゃいけないんじゃない? いつまで仕事してるの?」みたいなことを言われることはあります。私にとって一番は音楽なのに、世間からするとそれは結婚だったりするので、それを押し付けるのは違うなと。正解は沢山あって良くて、その正解は自分で決めればいいと思うんです。言われても私はあまり気にしないで生きてきましたけど、やっぱり気にする子も多くて。親や友達とか近い人にそんなことを言われたら凄く揺れるじゃないですか。結局、人が決めた人生って凄い後悔すると思うんです。でも、自分が決めた人生だったら反省はするけど、きっと「あれはあれで良かった」と思えると思うんです。
――人に決められたことって、失敗した時になかなか納得できないというか。自分で決めて失敗したぶんには「次、頑張ろう」という気持ちになれますよね。
「次、同じことしなきゃいいや」って自分で言えるから。「あの人があんなこと言ったから…」というのは凄い嫌だなと思って。
――あと、歌詞の<頑張り抜いた先に答えが待ってるはず>というところは、それが「幸せ」とは断言していないんですよね。答えはでるけど、それが良いことか悪いことかわからないという、そこに一種の現実の厳しさを感じました。
そこは鋭いかも。私が選んだ言葉は「幸せ」じゃなく「答え」なんですよね。人生は辛いことが多いけど、それを乗り越えてこそ答えがみえる。その答えは、もしかするといい結果じゃないかもしれない。でもその経験がその人の花を咲かせる栄養になったらいいんじゃないかなという意味で敢えて「答え」というワードを選びました。
――ほぼ辛い中の一瞬の楽しさを追い求めている感じは確かにあります。あと、<タイムライン見るとため息>という歌詞も共感できます。
実は私そういうのがあまり好きじゃなくて…。女の子は可愛くして、美味しいものをSNSに上げて、いいと思うんですけど「これがこの子の本当の人生なのかな」って、「ちょっと嘘っぽいな」と、ひねくれた見方をしちゃうタイプで。友達に対しては特に思わないんですけど。
――CHIHIROさんはご飯を撮影したりしないんですか。
撮ることもありますけど、あんまり載せないかも笑自分のSNSは音楽のアカウントだから、どちらかというと言葉や音をのせたいタイプ。私はインプットするほうが好きなので、自分のプライベートをアウトプットするのは得意じゃないかもしれないです笑