ベッキーのラジオ生放送を密着取材、NakamuraEmiの生歌聴き入る
INTERVIEW

ベッキーのラジオ生放送を密着取材、NakamuraEmiの生歌聴き入る


記者:村上順一

撮影:

掲載:17年03月06日

読了時間:約6分

ベッキーを挟んで、NakamuraEmi(右)とカワムラヒロシ

 歌手でタレントのベッキーが3月4日に、JFM系列FMラジオでメインパーソナリティを務める番組『ミッドナイト・ダイバーシティ― ~正気のSaturday Night~』の生放送をおこなった。10月1日から開始となった同番組は、毎週4組のパーソナリティを変えながら放送。毎月第1土曜日はベッキーが担当する。3月6日に誕生日を迎え、この日は32歳最後の放送日。ゲストにはベッキーが大ファンで文通友達だというNakamuraEmiが登場し、生演奏で代表曲「YAMABIKO」と「めしあがれ」を披露。出身地が同じ神奈川ということもあり、地元の話にも花が咲いていた。その一部始終を本媒体が密着。放送終了後には単独インタビューをおこなった。その模様をインタビューを交えて紹介する。

 深夜0時の放送開始30分前に、スタジオのフロアに姿を現したベッキーは、笑顔で関係者やスタッフに挨拶。そのまま収録ブースに入り、定位置の椅子に着座すると台本などを改めてチェックし、マイクテストなど確認をおこなっていく。フロアは放送開始が近づくにつれて、慌ただしくなる。

 ベッキーは後におこなった、本記者の取材で「基本的にはスタート3時間前にはスタジオ入りして、入念に段取りをチェックします」と話していたが、この日はいつもとは勝手が違った。前日から福岡でイベントがあり、当日も神戸でおこなわれた『神戸コレクション 2017 SPRING&SUMMER』に出演。よってこの日は、福岡―神戸―東京を新幹線で横断してのスタジオ入り。それもあってか、空気感も少しピリッとしたものが感じられた。

 また、ラジオの生放送とテレビとではまた違ったスキルが求められるという。

 「ラジオの生放送には決まったピリオドがあって、ある程度自分で計算して組み立てて喋らないといけないんです。テレビの生放送の場合は時間を計算してくれるスタッフさんがいて、あと何秒とかを出してくれるのですが、もちろんスタッフさんに頼っている部分もあるんですけど、ラジオはそれも自分でやる比率が高いんです」(ベッキー、インタビュー談)

 0時になり番組はスタート。3月6日が自身の誕生日ということもあり、番組のテーマは「誕生日 嬉し悲しエピソード」。リスナーから送られてくるエピソードをベッキーが読み上げ、コメントしていくというもの。メッセージを募集し、それをリアルタイムでチェックしていく。

 曲が流れている間もメッセージや台本をチェックするベッキー。番組ではシンガーソングライターの山下達郎に、局のビルでバッタリ会ったことを報告。業界人でもなかなか会えないという山下達郎と話ができたことを興奮気味に話していた姿が印象的であった。

 放送の折り返し地点である午前1時、シンガーであるAmeri(エメ)の「六等星の夜」が流れるとその歌を口ずさんでいる姿も見られた。音楽や歌が大好きだということが伝わってくる瞬間だった。インタビューでも「新幹線の移動中もずっと音楽を聴いていました」と話し、仮眠などは取らずに「音楽やゲームなどをやってしまうんです。スケジュールがハードになるほどそういう傾向があります」と驚きのバイタリティをみせた。

ベッキーとNakamuraEmi

 番組はハプニングもなく無事に進行。本日のゲストのNakamuraEmiと、プロデューサーでギタリストのカワムラヒロシが登場。ベッキーがNakamuraEmiファンになった経緯などを伝える。さらに奇遇にも2人とも神奈川在住ということで、地元の話などで盛り上がっていった。そして、CM中や曲が流れている最中も、楽しそうに談笑する2人の姿が見られた。

 ここで、ベッキーの番組では初となる生演奏のコーナーに。座っていたNakamuraEmiは立ち上がり、自前のマイクを手に取りスタンバイ。ちなみに、このマイクの手を握るボディはダークブラウンのウッド仕立てだった。披露されたのは、昨年リリースされたメジャー1枚目のアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』から彼女の代表曲でもある「YAMABIKO」。機材などが所狭しと置いてあるため、決して広くはないブースの中ではあるが、ライブさながらのテンションで歌い上げていく。スタジオを一瞬にしてNakamuraEmiの世界観に変えてしまった。

 それを目の前で体を揺らし、リズムにノリながら聴き入るベッキー。声には出していないが、口ずさんでいる様子も見られた。インタビューでもそのことに触れると「好きな曲は自分で勝手にハモリパートを作って歌ってしまうんです」と音楽スキルの高さをうかがわせる発言もあった。それを番組内で流していたNakamuraEmiの曲でハモっていると、カワムラが「すごい! ハモってる!」と驚きを見せた。さらに放送ではベッキーがカラオケで「YAMABIKO」を歌ったが、息継ぎが大変で難しかったと歌唱の大変さを語る場面もあった。

 続いて披露されたは、3月8日にリリースされるメジャー2枚目となるニューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』から家族のことを歌ったという「めしあがれ」。今度は椅子に座ったまま、目を閉じしっとりと歌い上げるNakamuraEmi。カワムラのギターアルペジオがNakamuraEmiの歌に寄り添うように優しい空間が広がっていった。ベッキーもCDのブックレットの歌詞とNakamuraEmiを見つめながら、その言葉を浴びるように聴き入っている姿も見られた。

 NakamuraEmiの歌詞の魅力を、ベッキーは「心の痛みとか、苦しみをはっきりと言葉にしてくれている。応援ソングのような曲もあるけど、ただ『頑張ってね』という背中を押すタイプではなく、『こういう痛みがあるよね、でもこういう風に頑張らなくちゃいけない』という、お尻を叩くタイプの歌詞がいいんです。聴くと“よっしゃやったるか”と気合が入ります」と語った。

 そして、ラジオでの生演奏について「生演奏で聴くとより一層その人を好きになりますし、音源ももっと聴きたくなりますね。こういう機会がもっと増えたらいいなと思いました」と、ラジオでの生ライブをもっとリスナーにも届けたいという想いを話していた。

 午前1時55分頃、32歳最後のラジオ生放送番組は無事終了。ホッとしリラックスした安堵の表情も見られた。その後もゲストのNakamuraEmiと記念撮影をしたりと、和気あいあいとした時間がしばし流れた。

 10月の放送開始から約5カ月経って変わったことは? という本記者の問いにベッキーは、「最初の頃は復帰後の番組ということもあり、聞いてくれる皆さんが不快にならないように、いつも以上に言葉選びなど神経をものすごく使っていました。あまり冗談なども言えない空気感だったんです。5カ月経ってやっと少しづつ、より自分らしくいられるようになったと思います」と当時の心境とともに話した。

 ベッキーは過去にも音楽作品を発表している。今回の姿をみて、改めて歌への愛着、音楽へのスキルの高さを感じ、今後の音楽活動への期待が記者のなかで高まった。そこでズバリ聞いてみた。「今後の音楽活動は?」

 「番組やライブで呼ばれて歌ってはいますけど、そういった予定などは全然ないんです。後輩から『歌手ベッキーのファンでもあるので、ライブもしてほしいしリリースもしてほしい』と涙ながらに伝えられて、こういう方もいるんだったら考えたほうがいいかなと思いました。でも今は、頂いた目の前のお仕事を一生懸命にやらさせて頂くことが大事だと思っています」

 ちなみに、ベッキーは放送中に、NakamuraEmiの歌声の印象を「鼓膜に“ピタッ”と張り付くように言葉がはっきりしていて、耳に残る」と語っていた。ベッキーの歌声も記者の耳にいまだに残っている。いつしか、その歌声を聴かせてくれる日が来ることを願いたい。

(取材=村上順一、撮影=編集班)

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