BAND-MAID「かかってこいや」怒涛の17年初お給仕、赤坂で“初夢”
ライブのもよう(撮影・Shingo Tamai)
メイドがロックする女性5人組バンドのBAND-MAID(バンドメイド)が9日に、東京・赤坂BLITZでワンマン公演『1st Full Album「Just Bring It」Pre-Release One-man 〜新年 初お給仕はじめます〜』を開催。11日発売のメジャー1stフルアルバム『Just Bring It』プレリリースを記念しておこなわれた。代表曲「Thrill(スリル)」やニューアルバムから「Don't you tell ME」など全20曲をハードロックサウンドで届けた。5月10日から初のワンマンツアーを開催することも発表された。
「Just Bring It」“かかってこいや™と頑張っていきたい!
開演時間が迫るなか、会場は多くのオーディエンスで埋め尽くされていた。ステージ後方の壁にはニューアルバム『Just Bring It』のアートワークが存在感を放っていた。現代音楽のBGMがこれから始まる“お給仕”への期待感を高めていく。
定刻を少々過ぎたところで暗転すると、オープニングSEとともに5人が登場。同時に前方へ押し寄せるオーディエンス。彩姫(Vo)の「お給仕(ライブ)始めます」のクールなセリフから、ハード&ヘビーなリフが興奮度を煽る「REAL EXISTENCE」でライブの幕は開けた。早くもクラウドサーフィングが起きるほどの盛り上がりを見せ、続いての「Thrill(スリル)」ではエッジの効いたギターと、タイトなドラムとベースの重低音をで赤坂BLITZを満たしていく。
テクニカル演奏が魅力的な「Unfair game」では、女性とは思えないパワーと、女性ならではのエモーションでオーディエンスを揺さぶっていく。彩姫と小鳩ミク(Gt/Vo)のツインボーカルも冴え渡った「FREEZER」、オーディエンスの掛け声が楽曲にさらなる息吹を与えた「Shake That!!」とハードサウンドにライブならではのアクセントを加え展開していく。
ここでMC。小鳩によるBAND-MAID初心者へのお給仕についての説明を挟む。激しい楽曲とキュートなMCとのギャップも魅力のひとつ。小鳩は「今年は何年かご存知ですっぽ?」とオーディエンスに尋ねると会場からは「“鳩年”!」と投げかけられ、「そうなんです! これから1年は酉年。そう、小鳩年〜。今年も小鳩が「Just Bring It」“かかってこいや”と頑張っていきたい!」と意気込みを語り、「くるっぽ〜!」と会場全体で合唱。彩姫は「この日のために年末から練習してきました。5人でこのステージに立つのを楽しみにしていたので頑張りたいと思います。みんなはついてこれますか!?」とニューアルバムから「secret My lips」を披露した。
KANAMI(Gt)のけたたましいギターリフが響き渡り、AKANE(Dr)のツーバスが弾丸のように会場を突き抜けていく。そこにMISA(Ba)のメロディアスなベースが絡み合う。立て続けに力強いサビが魅力の「LOOK AT ME」に突入。後半での3連セクションでは拳を上げ盛り上がるオーディエンス。KANAMIによるドラマチックにエモーショナルなギターソロは高揚感を煽っていく。
そして、切ないメロディにハードサウンドがマッチした「Before Yesterday」、エキサイティングでスピーディーな、アドレナリン全開の「the non-fiction days」とつけいる隙のないセットリストで魅せる。バンドの放つサウンドに呼応するかのようにオーディエンスも怒涛の盛り上がりを見せた。
嬉しすぎて涙が出るかと思ったっぽ
しばしの静寂の後、後半戦はキャッチーさとヘビーさが絶妙にブレンドされた「ORDER」を披露。彩姫の歌声も伸びやかにそして力強さを増していく。バウンスしたリズムで体を弾ませずにはいられない「Brand-New Road」、オーディエンスによる一体感のある声が印象的だった「Don't apply the brake」と畳み掛ける。小鳩は「こんなにたくさんご主人様やお嬢様がいるのに、まだまだ全然足りないっぽ!イケるかっぽ?かかってこいっぽ!!」と煽り今夜初披露となる「Take me higher!!」に突入。洗練されたハードナンバーで、バンドも更なる高みへと昇っていく。
彩姫の「腹から声出せんのか!?かかってこいよ!!」と力強い煽りから「FREEDOM」へ。オーディエンスのあげた拳は自由への意思表示かと思わせる。終盤にきてドーピングとも言えるサウンドでテンションは更に上がっていく。そして、エネルギッシュなAKANEの2ビートで脳を揺さぶりかけてきた「Don't let me down」でボルテージは最高潮に。
小鳩は「2017年1発目を素敵なお給仕を迎えられて嬉しく思います。私たちBAND-MAIDだけで出来たわけではなくて、スタッフやマネージャー、そしてなによりご主人様、お嬢様がこうやって曲を聴いてくれて、お給仕に来たいと言ってくれて、『くるっぽ〜』っと一緒に言ってくださっているからですっぽ! 嬉しすぎて涙が出るかと思ったっぽ」と感謝を告げた。
そして、ここで恒例の小鳩による「おまじないコーナー」へ。“萌え萌えキュンキュン”とメイドカフェのような空間を作り出し、オーディエンスとの一体感は更に高まっていく。
その“萌え萌えキュンキュン”でついた勢いからニューアルバムのリード曲「Don't you tell ME」へ。バンドの真骨頂とも言える攻めの部分をさらに強調したナンバーは感情を揺さぶる。そして、代表曲のひとつである「alone」でツインボーカルをフィーチャー。彩姫の低音と小鳩の高音によるハーモニーで魅せる。
ラストは昨年11月にリリースされたシングル「YOLO」へ突入。アメリカのスラングで“人生一度きり”という意味を持つ楽曲は、悩みや葛藤を吹き飛ばすかのごとく、情熱的なサウンドで駆け抜けていく。演奏が終了するとメンバーの顔にはキラキラとした清々しさが溢れていた。小鳩の「いってらっしゃいませ。ご主人様、お嬢様」の言葉とともに2017年一発目のお給仕の幕は閉じた。
『Just Bring It』の“かかってこい”というメッセージに偽りのないアグレッシブなセットリストで、怒涛のお給仕を見せつけ、昨年よりも更にエネルギーの密度が高まっているのを感じた。この日に掛ける想いが強く反映し、それにオーディエンスもフィードバックした結果と言えるだろう。5月から始まる初のワンマンツアーでどのような進化を見せてくれるのだろうか。(取材・村上順一)
セットリスト
『1st Full Album「Just Bring It」Pre-Release One-man 〜新年 初お給仕はじめます〜』 1月9日 東京・赤坂BLITZ 01.REAL EXISTENCE |