GReeeeN、10年記念公演で歌った2度の「キセキ」感謝の思い直に
アンコールでは公の場では初めて本人たちがステージに登場し直接感謝のメッセージを届けた。
4人組ボーカルグループのGReeeeNが7日に、埼玉・さいたまスーパーアリーナで、メジャーデビュー10周年を記念した特別公演『あっ、リーナ、ども。はじめまして。「クリビツテンギョウ!? ル~デル~デ♪」』をおこなった。オープンニングアクトには、GReeeeN を題材にした映画『キセキ -あの日のソビト-』(28日公開)で松坂桃李(ジン役)とW主演を務める菅田将暉(ヒデ役)ら4人が、劇中で結成したグリーンボーイズが登場し会場を盛り上げた。一方のGReeeeNはヒット曲「キセキ」や初披露となる同映画主題歌の「ソビト」など全24曲を披露。アンコールでは、公の場では初めて本人たちがステージに登場。大歓声を受けてこれまので歩みや想いなどを語り、1万6千人を熱狂させた。今回のライブの模様は、1月28日の午後8時からWOWOWで放送される。
大運動会や文化祭“ルーデルーデ学園”をテーマにしたステージ
定刻を少々過ぎたところで暗転すると、花道から伸びるステージにグリーンボーイズの4人が登場。会場からは大歓声が巻き起こった。グリーンボーイズは映画劇中で結成されたグループで、菅田と横浜流星(navi)、成田凌(92)、杉野遥亮(SOH)の4人で構成。24日発売の『グリーンボーイズ』でCDデビューすることが決まっている。
今回はGReeeeNのカバー曲「キセキ」「声」を初々しいエネルギーに満ちた歌声で届けた。グリーンのペンライトで会場が埋め尽くされるのを目の当たりにした菅田は、1万6千人のパワーに圧倒され、間奏中に「ヤバイね」と思わず言葉を漏らす場面もあった。グリーンボーイズは大いに盛り上げ、GReeeeNへとバトンを渡した。
この日は“ルーデルーデ学園”という架空の学校をコンセプトに進行していった。学園長である緑川縁(みどりかわえにし)が登場。ライブの注意事項など説明。物語が始まるかのように、チャイムをモチーフにしたオープニングSEが響き渡った。スクリーンにはCDのアートワークなどが映し出された。SEを引き継ぐように大ヒット曲「キセキ」で10周年記念ライブの幕は開けた。序盤から感情を叩きつけたような凜とした歌声を届ける4人。続いてキッズダンサーを起用し「パリピポ」でさいたまスーパーアリーナをダンスフロアへと変貌させていった。
今も現役の歯科医師として勤務しているため、顔を出さずに音楽活動をしているGReeeeNのライブは、メンバーの動きをデータ化するモーションキャプチャー技術により、会場に設置されたスクリーンにメンバーが映し出されるといったバーチャルライブとして展開された。本人たちはステージ上にはいないが、そんなことは感じさせない演出でオーディエンスのテンションをヒートアップさせていく。スクリーンには歌詞も表示され、言葉がリアルに音ともに降り注ぐようだ。そして、MCではそのバーチャルの特性を生かした演出や「ソラシド」ではデフォルメした可愛らしいキャラクターに変身したりと観るものを楽しませた。
ライブ中盤では映画『キセキ -あの日のソビト-』の主題歌である「ソビト」を初披露した。10年間の想いがたっぷりと込められた歌を1万6千人に届けていく。4人の歌声のコントラストと壮大な楽曲のスケールで紡がれていく楽曲はオーディエンスの琴線に触れた。エンディングの熱いエネルギッシュな歌声は圧巻だった。
ここで、大運動会を開催。オーディエンスを交え大玉転がしを実施。赤、青、緑、黄色、とカラフルな大玉を花道の先にあるステージに届けるというもの。先に届いた玉によって披露される楽曲が決まるという参加型のゲームで盛り上がった。赤は「アイコメテ」、青は「SAKAMOTO」、緑は「またね。」と楽曲が割り当てられ、一番最初に到着した玉は黄色。披露される楽曲は23枚目のシングル「僕らの物語」となった。美しいバイオリンの音色からディストーションの効いたエレクトリックギターが印象的なアッパーチューンで、会場はエキサイティング。
そして、大運動会に続いて文化祭へ突入。メンバーによる振り付けのレクチャーから「遠くの空 指さすんだ」を披露。オーディエンスと一体となったパフォーマンスで、会場はハッピーでポジティブな空間に。HIDEの「この歌をみんなで歌っていきましょう」と投げかけ、ヒット曲「愛唄」へ。この10年間で成長してきた楽曲の一つだ。愛に満ちた歌声がスーパーアリーナの隅々まで広がっていくようだった。
「暁の君に」では暁の意味である“1日の生まれる瞬間”と掛けて、生まれたての姿である赤ちゃんとなって歌唱するが、なんとも締まりが悪いため、通常状態に戻って仕切り直すという楽しい演出も見られた。ここから「虹」「花唄」「イカロス」「旅人」「笑顔」とノンストップで畳み掛けていった。
「今日の良い思い出を持って帰ってもらって、日常生活の中で楽しんでいってもらえたら」という言葉から「卒業の唄」を届けた。「今日皆さんに出会えたことに感謝します」とHIDE。サビでは会場全体で腕を掲げ左右に手を振る姿は、“バイバイ”とサヨナラを告げているようにも見えた。
本編ラストとなった「遥か」では天井から桜の花びらのようなものが舞い落ちてきた。楽曲の世界観とリンクした演出で、ゆっくりと舞い落ちる花びらを眺めながら、4人の歌声に酔いしれ本編を終了した。
GReeeeNはいつも一緒にいる影でありたい
すぐさまアンコールを求める手拍子と声が鳴り響いた。ブルーのライトが点滅する幻想的な空間が広がる中、メンバーがステージに登場。遠くからでは、顔は確認できないが、ステージ上にはヴァーチャルのメンバーではなく、生身の本人たち。そして「BE FREE」を歌唱。ステージ後方のスクリーンに映し出された神秘的な映像に溶けこむように、情緒豊かに歌い上げていく。naviは「素敵なメンバー達に出会えた奇跡、皆様に出会えた奇跡、ここにいる全員で大きな奇跡を起こして帰りましょう!」と投げかけ、再び「キセキ」を披露した。オープニングの時とはまた違った趣で届ける。
そして、メンバ−1人ずつメッセージを届ける。
92は「この曲が出た時にこんなに大勢の人の前で歌えるなんて思っていなかった。宝物になったと思います。これからも皆さんの日常の生活の中で、僕たちの音楽が聞こえてきたりとか、心のどこかで寄り添えたりしていけるように今後も頑張っていきます」と未来への意気込みを述べた。
SOHは「このステージに立てることをずっと心待ちにしていました。なぜなら皆さんを目の前にしてこのことを一番言いたかったからです。デビューから10年間本当にありがとうございます! 歯科医とアーティスト両立なんて出来やしないなんて言われた時もありましたが、ここまで続けてこれて、このステージに立っていられるのも皆さんのおかげです」とこの10年間を支えてくれたファンに感謝を告げた。
naviは「胸がいっぱいですね。本当にありがとうございます。いつも皆さんの温かい応援に励まされて、ここまで走り続けてこれたと思っています。これからもこの4人で前に進んで、時には皆さんを引っ張ったり、皆さんに愛をもらったりしてGReeeeNを続けていきたいと思ってていますので、応援宜しくお願いします」とこれからもより一層頑張っていくことを誓った。
HIDEは「僕らがそれぞれ歩いて来た道があって、その1本の道が合わさって、大きな太い1本の道として、皆様に見て頂けるようにこの10年走ってきました。これから先もこの道は続いていきます。それは多分みなさんも一緒で、人生の中で自分という真っ直ぐな道を歩いて行く時に、交差したり一緒になったりする道があって、その進むべき道の先には未来や希望という光が当たっていると思うんです」。
「皆様が照らした希望が後ろに影をつくります。GReeeeNはそんないつも一緒にいる影でありたいと思っています。そして、時に皆さんが道を見失い、希望の光が後ろにあるような時には、目の前に影として現れ“こっちじゃないの”って先に歩きます。そうやってこれからも一緒に歩いていけたらと思います」と想いを話し、「1本の指を掲げて下さい!この曲をすべての人に捧げます」と投げかけ、ラストはデビュー曲「道」を10年分の情感を込め届けた。
歌い終わった後、4人は寄り添い肩を組む。そして、手を繋ぎ高く掲げた。その姿からは充実した1日となったことが伝わってきた。キラキラとした清々しい空気に包まれながら、10周年記念ライブの幕は閉じた。
顔を出さずに音だけで勝負してきたこの10年間の重みが、ひしひしと伝わってきたライブであった。姿は見えずとも歌と曲に込められたエネルギーは何も変わることはない。むしろ、見えないことによって何倍にも楽曲の力が増している感覚さえも与えてくれたステージだった。菅田将暉も話していたが、こんなエンターテイメントがあるんだと新たに気づかせてくれた。(取材・村上順一)
セットリスト
あっ、リーナ、ども。はじめまして。「クリビツテンギョウ!? ル~デル~デ♪」 1月7日・さいたまスーパーアリーナ ▽グリーンボーイズ ▽GReeeeN ENCORE EN1.BE FREE |
今回のライブの模様は1月28日の午後8時からWOWOWで放送予定。