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冬の音楽の祭典『毎日がクリスマス2016』に出演したスキマスイッチ×平原綾香

 スキマスイッチと平原綾香が12月13日に、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールで開催された、冬の音楽の祭典『毎日がクリスマス2016』に出演した。2014年に始まった同イベントは今年、12月11日から25日までの15日間にわたり30組のアーティストが出演、クリスマスシーズンを音楽で彩る。この日はクリスマスラッピングのような雰囲気での2マン。平原は代表曲「Jupiter」や「おひさま~大切なあなたへ」などを父・平原まこと(Sax)とともに全5曲を、スキマスイッチは「冬の口笛」や「奏(かなで)」など6曲を披露。アンコールではフランク・シナトラの「The Christmas Song」と「全力少年」を平原とデュエットした。クリスマスにふさわしい趣のなか、時にしっとり、時に熱く歌い上げ、会場をクリスマス一色に染め上げた。

密度の高い歌声を響かせた平原綾香

平原綾香

 定刻を少々過ぎたところで、ステージにバンドメンバーが登場。ピアノの音色に導かれるように平原綾香がステージに登場した。スポットライトを浴びながらプロローグのようにアカペラで雅に歌声を会場に響かせた。その姿と歌声は一気に現実から観客を引き離した。

 カウントから「マスカット」でライブの幕は開けた。玉置浩二作詞・作曲による大人のラブソングを情感を込めながら歌い上げる。前日にオファーし、出演が決まった父の平原まことのサックスの音色が、歌声に寄り添うように旋律を奏でる。

 MCではこの日の衣装について、スキマスイッチの常田真太郎(Key)から「ひな鳥みたいだね」と言われ、そして、今回このライブの企画をおこなった元キマグレンのISEKIからも「今にも飛び立ちそうだね」とツッコまれたことを報告すると、会場は笑いに包まれる。

 そんなエピソードに続いて披露されたのは「おひさま~大切なあなたへ」。ステージ後方から平原を照らすライティングが、まさに“おひさま”のような幻想的で温かい空間を演出。丁寧に優しく、そして伸びやかに歌う声に観客も静かに耳を傾ける。

平原綾香

 「HAPPY」ではミラーボールも回転し、力強い歌声は会場の世界観を一気に変えた。ピアノによるリズミックな演奏と、心地よいカウンターメロディを奏でるサックスに、観客も総立ちとなり、手拍子や手を使った振り付けで盛り上げていく。聴いているだけで幸せな気分にさせた。

 平原はデビューからの13年間で歌に対する意識が変わったことを「最初は歌というものがどういうものか全然わからなかったんです。この13年間、歌と向き合って少しずつ歌が楽しいなと思えるようになってきた」と語った。

 そんな自分へのエールになるという楽曲「アリア -Air-」を披露。大地をイメージさせる力強い低音が、気力を湧き上がらせてくれるようだった。エンディングの高い音域で表現したフェイクにも鳥肌が立つ。

 「この曲のおかげで皆さんに知ってもらえたので凄く感謝しています」と告げ、ラストはデビュー曲で代表曲でもあるホルストの「Jupiter」。数え切れないほど歌ってきたであろう、壮大なスケールで送るこの曲の表現力は、群を抜いていた。歌の持つ可能性を広げているようで、圧倒的な存在感で紡いだ。会場全体が歌に包み込まれ、抱かれているかのような感覚。聴く者の感情を揺さぶる歌声に酔いしれたステージであった。

冬の歌で彩ったスキマスイッチ

大橋卓弥

 BGMが流れるなか、スキマスイッチの2人とバンドメンバーがステージに登場。歓声と拍手が会場に響き渡るなか、ステージに置かれた椅子に座る大橋卓弥とキーボードの前に座る常田真太郎。

 村石雅行(Dr)のフィルインから始まったのは「Andersen」。この時期にピッタリの楽曲でスキマスイッチのライブは幕を開けた。本間将人(Sax)のサックスの音色がきらびやかに彩り、ホーリーナイトを感じさせる。大橋の歌声も伸びやかに赤レンガの会場に響き渡った。

 続いて、「冬の口笛」を披露。常田のオルガンの音色が時折、口笛のように高く突き抜ける。目を閉じれば、情景が目の前に広がるような歌で観客を魅了していく。エンディングでのスキャットも力強く鮮やかに決めた。

 ガットギターの優しいアルペジオから始まったのは「目が覚めて」。ナイロン弦による温かいサウンドに触発されるかのように、大橋の歌も優しく丁寧に歌い紡いでいく。そこに少し控えめに入ってくる常田のピアノがわびさびを演出。そんな、情緒あふれるサウンドに観客も静かに一音一音を感じるように聴き入っていた。

 常田のイントロを、膝を抱えながら見守る大橋が印象的だった「奏(かなで)」。言葉を噛み締めながら情感豊かに歌い上げる大橋。<突然ふいに鳴り響くベルの音♪>からそれまで座っていた大橋が立ち上がり、張り裂けそうに情熱的な歌声を響かせた。

常田真太郎

 MCでは大橋が「奏(かなで)」の後半で思わず立ち上がってしまったことに「お客さんとの距離が近いからレスポンスが良くて…」と、込み上げてきた感情を抑えきれなかったと告げた。そして、春にリリースした「奏(かなで)」が秋の歌ランキングに入っていてびっくりしたこと、大橋は「季節ごとにそれっぽく歌っていく」と歌い方のバリエーションで1年を通して歌っていこうという冗談で会場を沸かせた。

 そして、「後半戦いきますか!」と「螺旋」へ。常田のリズミカルなピアノに観客もスタンディングで手拍子。大橋もアコギを弾きながら、ソウルフルな歌で会場を一つにしていく。エンディングの楽器陣によるソロ回しも興奮度を高めていた。「ヨッシャ! このまま行くぜ!!」とその勢いのまま「ガラナ」へ突入。定番アッパーチューンで、観客とエネルギーを交換していくような熱い空間を作り上げていく。大橋もなりふり構わぬ勢いで会場を盛り上げ本編を終了した。

デュエットで魅せた「全力少年」

大橋卓弥と平原綾香

 アンコールに応え、ステージに戻ってきたスキマスイッチと平原。ここで2組でトークを展開。大橋のファッションの話題で盛り上がった。「PARIS」と書かれた帽子をハワイで被っていて、芸能リポーターの井上公造氏に「ハワイでPARISって」とツッコまれたことを話すと平原も「もうPARISという新曲作れば…」と会場は大爆笑。トークの切れ味も抜群だった。

 そんな和やかな雰囲気の中、アンコール1曲目はフランク・シナトラの「The Christmas Song」をデュエットで届けた。互いに向き合いながら歌う大橋と平原。常田の叙情的なピアノサウンドと本間のサックスをバックに、存在感のある歌声で一足早いクリスマスを感じさせた。2人の芳醇な歌声に大きな拍手が会場にこだました。

 ラストは平原まことも呼び込み、バンドサウンドで「全力少年」を披露。再び観客も立ち上がり、イントロで観客と<オーオオオオ〜♪>とコールアンドレスポンス。アドリブのようにフレーズを紡いでいく大橋に平原は「こんなの聞いてないよ。難しいよ(笑)」と大橋のメロディラインに難色見せるが、その歌についてくる観客に感心する場面も。平原の歌とブラスサウンドも加わり、何ともゴージャスな、普段とは一味違う「全力少年」に会場のボルテージは最高潮。大盛り上がりの中、同時期にデビューしたスキマスイッチと平原綾香による豪華な一夜は幕を閉じた。

 クリスマスにふさわしい贅沢な空間であった。それぞれベクトルの違う歌の表現力を堪能できた貴重なイベントは、音楽の持つ可能性を強く感じ取れた。何より、ライブハウスというオーディエンスとの距離が近いこともあって臨場感は抜群。訪れた観客たちにちょっと早めのクリスマスプレゼントとなったことだろう。スキマスイッチと平原綾香のコラボも、もっと観て見たいと思わせる公演だった。(取材/撮影・村上順一)

セットリスト

毎日がクリスマス2016
12月13日 神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール

▽平原綾香

01.マスカット
02.おひさま~大切なあなたへ
03.HAPPY
04.アリア -Air-
05.Jupiter

▽スキマスイッチ

01.Andersen
02.冬の口笛
03.目が覚めて
04.奏(かなで)
05.螺旋
06.ガラナ

Encore
EN1.The Christmas Song(フランク・シナトラ)
EN2.全力少年

作品情報

スキマスイッチ

New Album

「re:Action」

2017年2月15日(水)発売

スキマスイッチの名曲が、音楽シーンを代表するアーティストの手によって、新たに生まれかわる。奥田民生、小田和正、KAN、GRAPEVINE、澤野弘之、SPECIAL OTHERS、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、TRICERATOPS、フラワーカンパニーズ、BENNY SINGS、真心ブラザーズ、RHYMESTER、彼らが敬愛する全12組のアーティストをプロデューサーに迎え制作された、リアレンジ・リプロデュースアルバム。さらに不朽のラブソング「奏(かなで)」(映画「一週間フレンズ。」主題歌)をスキマスイッチ、セルフリアレンジバージョンで収録。

初回生産限定盤[2DISCS:Blu-spec CD2]:AUCL-30040~1 3611円+税 全24曲
通常盤[CD]:AUCL-218 3000円+税 全13曲
【初回特典(初回生産限定盤)】
*スリーブケース+高品質CD:Blu-spec CD2
*リアレンジ楽曲のオリジナル音源(全11曲)を収録したボーナスCD付属

<収録曲(初回生産限定盤/通常盤共通)>
【DISC1】
M1.全力少年 produced by 奥田民生
M2.僕と傘と日曜日 produced by田島貴男(ORIGINAL LOVE)
M3.フィクション produced by フラワーカンパニーズ
M4.ユリーカ produced by GRAPEVINE
M5.マリンスノウ produced by TRICERATOPS
M6.Ah Yeah!! produced by 澤野弘之
M7.奏(かなで)re:produced by スキマスイッチ
M8.晴ときどき曇 produced by BENNY SINGS 
M9.君のとなり produced by 小田和正
M10.ふれて未来を produced by 真心ブラザーズ
M11.ゴールデンタイムラバー produced by RHYMESTER
M12.冬の口笛 produced by SPECIAL OTHERS
M13.回奏パズル produced by KAN

■BONUS CD(初回生産限定盤のみ)
【DISC2】
M1.全力少年
M2.僕と傘と日曜日
M3.フィクション
M4.ユリーカ
M5.マリンスノウ
M6.Ah Yeah!!
M7.奏(かなで)
M8.晴ときどき曇
M9.ふれて未来を
M10.ゴールデンタイムラバー
M11.冬の口笛

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