SMAP「華麗なる逆襲」は何かの暗示か?MVや歌詞とリンクする姿勢
12月19日放送の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系、よる10時〜)で、番組のコーナーである「BISTRO SMAP」(ビストロスマップ)が最終回となった。90分の拡大スペシャルで、ゲストにタモリを迎えて放送された。
「S-LIVE」には椎名林檎が登場し、東京事変のライブでも披露した楽曲「青春の瞬き」をテレビ初披露、そしてSMAPとの初共演を果たした。
椎名林檎はSMAPに楽曲を提供しており、2012年発売のアルバム『GIFT of SMAP』に収録の「真夏の脱獄者」、2015年発売の両A面シングル「華麗なる逆襲/ユーモアしちゃうよ」のうちの「華麗なる逆襲」と、2曲がある。
「真夏の脱獄者」は、夏を感じる軽快な楽曲に、どこかハラハラさせられるエッヂの効いた歌詞をのせたサマーソング。「華麗なる逆襲」は草なぎ剛主演のドラマ『銭の戦争』(フジテレビ系、2015年1月〜3月)主題歌として起用されており、ドラマのストーリーともリンクしていたが、現在のSMAPの境遇と重ねて聴くファンも多い。
「華麗なる逆襲」のミュージックビデオ(MV)はショートストーリー仕立てで進行する。タバコに火をつける木村拓哉、靴を磨きに出したり鏡の前でストールを巻いたり、身なりを整えるメンバー。ピストルを手にする草なぎの姿もある。
準備を終えるとそれぞれが歩き出し、バーに集まった。店内はダンスフロアと化して、ダンスバトルのように代わる代わる挑発気味に踊っていく。個性あふれるスタイリッシュなジャケットスタイルで踊る5人はしびれるくらいにカッコ良い。
音楽が一旦止まり、ドラムの音と共に再開。最後は5人がピストルを真上に向けて一発鳴らすと、大きなシャンデリアがゆっくりと落ちる。静と動が交わる映画のようなスリリングな映像だ。
最終回となったこの日の「BISTRO SMAP」では、タモリとの共演の歴史を振り返っていたが、生放送の歌番組で緊張する木村と中居正広、テレフォンショッキングで一言も喋れずに怒られた草なぎと、新人時代を経て、アイドルとしての枠を大きく超えた活動でSMAPは国民的アイドルの名にふさわしいグループへと成長を遂げた。
<未開拓な世界>――。「華麗なる逆襲」にあるこの一節に限らず、歌詞の節々とSMAPの歴史とが重なる。先のMVでは、争おうとする若者を阻止して余裕の表情をみせる稲垣吾郎、そして、手にした武器で人を攻撃しない戦い方を選んだSMAPが描かれている。その映像の端々からも彼らの姿勢と重なって見える。
8月の解散発表以降、メンバーが出演するラジオ番組などを通してそれぞれの言葉を耳にしてきたが、発言の影響範囲を考慮してか、どこか明言を避けているように思えてならない。今回、「S-LIVE」で椎名林檎との共演をしたのには何か意味やメッセージが込められているのではないかと、SMAPらしい「華麗なる逆襲」を期待してしまう。
来週12月26日の放送で最終回を迎える『SMAP×SMAP』。20年9カ月続いた番組を締めくくる回にはどんな映像がつまっているのか、最後まで見守りたい。(文・柚月裕実)
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