武道館はあくまでも通過点と決意を固めたキラーチューン祭りツアーファイナル

武道館はあくまでも通過点と決意を固めたキラーチューン祭りツアーファイナル

 4人組ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが11月22日、東京・Zepp Tokyoで東名阪ツアー『唇ワンマン TOUR 2016〜キラーチューン祭り東名阪ワンマンの巻〜』のファイナル公演をおこなった。16日にリリースしたシングル「5150」を引っさげ、名古屋、大阪、東京と3カ所を廻った。このうち東京公演では、メジャーデビューシングル「起死回生STORY」や「狂乱 Hey Kids!!」などアンコール含め全17曲を迫真の歌と演奏で届けた。オーラルは来年2月1日に3rdアルバム『UNOFFICIAL』をリリース。それに伴って4月からワンマンツアー、6月16日にはバンド初の日本武道館ワンマンも決定。山中はこの日、武道館はあくまでも通過点であるとし「20年、30年と絶対に続くバンド。約束する」と想いを伝えた。

腹を割って話したい

ライブの模様(撮影・Viola Kam /V’z Twinkle Photography))

ライブの模様(撮影・Viola Kam /V’z Twinkle Photography))

 会場は超満員。ワンマンツアーファイナルということもあり、既に会場は熱気に満ち溢れていた。定刻を少々過ぎたところで暗転すると、山中拓也(Vo.Gt)のアナウンスによる恒例の4本打ちから、「DIP-BAP」でライブの幕は開けた。<オオオ オオオオー♪>と盛大なシンガロングがZeppに響き渡る。1曲目からバンドとオーディエンスのシンクロ率は100%。「お前ら死ぬ気で来たんだろう? キラーチューン祭りがどういうことか教えてやるよ」と山中が煽ると「CATCH ME」へ突入。カンフル剤を注入されたかのように、さらにオーディエンスはヒートアップ。そこに「STARGET」、「Mr.ファントム」と畳み掛け、序盤からアクセル全開で盛り上げていく。

 あきらかにあきら(Ba.Cho)のスラップ奏法が会場に鳴り響き、そこに鈴木重伸(Gt)のカッティングがグルーヴィーに絡み合い、そのまま「気づけよBaby」が始まった。中西雅哉(Dr)の叩き出すパワフルなリズムに合わせ、サビではオーディエンスの腕がメトロノームのように左右に揺れる美しい光景が広がった。「まだまだ行こうか!」と山中が投げかけ「GET BACK」を披露。休む暇など与えない、“一度踏んだアクセルは緩めない”という、意思表示のようなセットリストに応えるかのように、フロアではクラウド・サーフィングも起きる。

 山中は「キラーチューン祭りは激しいだけじゃない」と語り始めたのは「嫌い」。そして、「マナーモード」とここからはさっきまでとは趣を変えたキラーチューンで攻める。感情を奮い立たせるようなダイナミックな楽曲展開でオーディエンスのテンションをどんどん上げていく。

 ここで、山中が一旦ステージを去り、鈴木、あきら、中西によるインストナンバーを披露。出だしは重戦車のようなドッシリとしたテンポで展開。あきらの「もうちょっとみんなが興奮するやつがいいよな!? どのくらいのテンポがいい?」とオーディエンスに問いかけ、会場の手拍子に合わせ徐々に速度を上げていく。「これでやったら大分テンションが上がるよな!?」とあきらが投げかけ、メンバー各々がアグレッシブなソロを回していく。楽器で会話するかのように、お互いのフレーズにコールアンドレスポンス。このセクションはライブの良いフックとなり後半戦へ。

 山中がステージに再び登場し、鈴木のギターフレーズの後に続けと<Oi!Oi!!>とコールアンドレスポンスをオーディエンスに要求。「声が小さい!」と山中が煽り立て一体感が高まったところで「モンスターエフェクト」へ。<1つ1つ伝わっていって 1つ1つ繋がってくんだ♪>と歌詞とリンクするように、バンドの放った熱がフロアにも伝染していくようだった。「大魔王参上」でバンドのグルーヴ感をさらに押し出していく。4つ打ちのリズムは会場をダンスホールのような雰囲気に変えていく。あきらのリズムに合わせたハイキックで視覚的にも楽しませてくれる。

 MCでは来年6月16日におこなわれる、日本武道館単独公演について山中が胸中を語った。「俺らとみんなで腹割って話すか。みんなの意見を聞きたい」と山中。「嬉しいことだけど(日本武道館が)そこまで特別なことではなくなったような気がするんです。神聖な場所に違いはないけど、捉え方を変えていっても良いんじゃないかなと思っています。渋谷クワトロやZeppと同じような気持ちで喜んでほしいんです」と場所隔てなく喜んでほしいと話し、オーディエンスへ問いかけた。会場からは「やっぱり特別な場所」や「ロックの聖地」、「もっと大きいところもある」、「通過点」など様々な言葉が飛び交った。

 それを聞いて安堵する山中。「武道館がゴールみたいになってる雰囲気が、2016年はあったと周りから見ていて思ってしまった。オーラルにとってはゴールではありません。横浜アリーナでもさいたまスーパーアリーナでも横浜スタジアムでもやりたい。なんなら海外の一番大きいところまでみんなを連れて行くわ」と宣言。「偉大な先輩たちにも追いつきたい。日本のバンドTHE ORAL CIGARETTESだと胸張って言いたい。それを達成したとしても20年、30年ずっと応援していただきたい」とアティチュードを示し、その言葉に大きな拍手が響き渡たった。

あなたたちを守っていこうと心から決意した曲「5150」

ライブの模様(撮影・Viola Kam /V’z Twinkle Photography)

ライブの模様(撮影・Viola Kam /V’z Twinkle Photography)

 「もっと高く上がっていくために、みんなの声がもっと聞きたい」と山中が投げかけ、<オーラルワッショイ!唇ワッショイ!ワンマンワッショイ!Zepp Tokyoワッショイ!>のコールアンドレスポンスから「A-E-U-I」へ。オーディエンスの声はさらに大きく会場を包み込んでいった。その反応に山中も笑みを浮かべた。「mist...」、「カンタンナコト」とラストスパートとも言えるスピーディーなナンバーで扇情させる。そして、駄目押しとも言える「狂乱 Hey Kids!!」に突入。縦横無尽に飛び交うレーザー光線が楽曲をさらに盛り立て、会場はまさに狂乱。

 山中は「20年、30年と絶対に続くバンドです。約束する。みんなが歳を取っても目の前にあるのがTHE ORAL CIGARETTESであって欲しい。そのためにしっかりその手を掴んでいきますから。僕らに対して手を伸ばしてくれる人たちはずっと握っていきたいと感じました。いつもは『狂乱 Hey Kids!!』で終わっていたけど、このツアーだけはみんなとメジャーデビューから歌ってきたこの曲で終わりたい」と思いを述べ、「起死回生STORY」へ。気持ちをぶつけ合うような迫真の演奏と歌で本編を終了した。

 アンコールでは恒例のツアーグッズを紹介する、まさやんショッピングコーナーやメンバーの家族の話で盛り上がった。そして、11月16日にリリースされたばかりの「5150」を披露。「あなたたちを守っていこうと心から決意した曲」だという「5150」は、激しさの中にも憂いを帯びた、THE ORAL CIGARETTESにありそうでなかったナンバー。この楽曲のメッセージはオーディエンスの心にきっと届いたはず。全17曲、キラーチューン祭りの幕は閉じた。

 今年の全てをぶつけたと言っても過言ではない爽快なライブであった。それは訪れたオーディエンスの表情もそれを物語っていた。来年2月1日には3rdアルバム『UNOFFICIAL』をリリースすることも発表。このアルバムで魅せる進化とは。そして、4月からツアーを経て6月16日には日本武道館と、2017年はTHE ORAL CIGARETTESの年になりそうだ。(取材・村上順一)

セットリスト

THE ORAL CIGARETTES
『唇ワンマン TOUR 2016〜キラーチューン祭り東名阪ワンマンの巻〜』
11月16日 東京・Zepp Tokyo

01.DIP-BAP
02.CATCH ME
03.STARGET
04.Mr.ファントム
05.気づけよBaby
06.GET BACK
07.嫌い
08.マナーモード
09.モンスターエフェクト
10.MIRROR
11.大魔王参上
12.A-E-U-I
13.mist...
14.カンタンナコト
15.狂乱 Hey Kids!!
16.起死回生STORY

ENCORE
EN1.5150

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