新旧織り交ぜた豪華セットリストのもと、寒さを吹き飛ばすステージングでオーディエンスの心身を熱くさせたJUN SKY WALKER(S)

新旧織り交ぜた豪華セットリストのもと、寒さを吹き飛ばすステージングでオーディエンスの心身を熱くさせたJUN SKY WALKER(S)

 4人組ロックバンドのJUN SKY WALKER(S)が10月30日、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ『JUN SKY WALKER(S)の野音 2016 〜FANFARE SPECIAL〜』を開催した。9月7日にリリースしたニューアルバム『FANFARE』を引っさげて全国16公演を展開。11月5日・6日には沖縄で追加公演もおこなった。この日、本編ツアーのファイナルを迎えた。都内は薄暗い雲が空を覆うひんやりとした気候だったが、彼らは「START」や「全部このままで」など新旧織り交ぜた豪華セットリストのもと、寒さを吹き飛ばすステージングでオーディエンスの心身を熱くさせた。再演を求める鳴り止まない歓声に、ダブルアンコールにも応え「すてきな夜空」を歌い捧げ、野音の夜空にジュンスカサウンドを響かせた。

「ファンファーレ」でライブはスタート

宮田和弥(Vo)と森純太(Gt)

宮田和弥(Vo)と森純太(Gt)

 ファンが続々と日比谷野外大音楽堂に向かって歩みを進めていく。メンバーの森純太(Gt)は以前のインタビューで、この野音を「僕らにとって特別なところ」と語っていた。その特別な場所で奏でられるサウンド、そして、歌声を身体全体で受け止めようと多くのファンがこの日、集結したのである。

 定刻を少々過ぎたところで暗転、ライブの始まりを告げるブラスのファンファーレが野音に響き渡った。勢いよく森純太(Gt)がステージに登場する。森のあとに続くように、寺岡呼人(Ba)と小林雅之(Dr)がゆっくりとした足取りで定位置についた。そして、最後に宮田和弥(Vo)が気合いの入った面持ちでステージの前に立つ。

 イントロが奏でられ、宮田が「日比谷〜! 行くぞ〜!!」と叫ぶ。ライブは、ニューアルバム『FANFARE』のタイトルナンバー「ファンファーレ」で幕を開けた。ジュンスカの真骨頂とも言えるビートの効いたナンバーで、一気にオーディエンスを彼らの世界観へ引き込む。

 続けて代表曲のひとつ「START」、「歩いて行こう」を披露。ライブ序盤からオーディエンスのテンションはマックスになった。「青春」では、<あの時おまえに出会わなきゃ 今の僕はここにはいないんだ♪>の歌詞で寺岡を指差す宮田。それに応えるように寺岡もベースのヘッドを宮田に向ける場面も。オーディエンスよる<シャララ...>のシンガロングも盛大に響き渡った。

 宮田が「今日のコンサートの流れを聴いてもらえれば、きっとまた愛する一枚になると思います」とニューアルバムへの想いを語り、「マリーゴールド」へと続けた。叙情的なメロディと歌詞、そこにクリスピーなリズムがアクセントになり、楽曲の情景を鮮やかに映し出した。

僕たちも転がり続けていきたいと思います

 ここで、宮田と森の2人によるアコースティックコーナーへ。森が作詞・作曲した「夏の花」。夜空にベルのように凛としたギターアルペジオが響き渡る。さっきとは趣を変え、優しい歌声でしっとりと感情を込め歌う宮田。演奏が終わりガッチリと手を握り合う2人の姿から、長年の絆を感じさせた。「声がなくなるまで」、「裸の太陽」と再び、寺岡と小林のリズム隊も加わり熱い演奏で届ける。

 そして、森がメインボーカルを務める「あきらめたくない」を披露。宮田とは違った直球勝負の歌声でオーディエンスを盛り上げていく。その熱い歌声にオーディエンスもサビでシンガロング。森らしいロックンロールを届けた。ジュンスカの中でも新しい挑戦となった曲、スカテイストを全面に押し出した「スターマン」へ。小林が叩き出す心地よいビートによって体が弾む。エンディングの森のギターと宮田のブルースハープのデッドヒートも圧巻。その勢いをさらに加速させるように2ビートの「Runaway Boy」突入。疾走感溢れる演奏でさらにギアを上げていった。

 MCで宮田は、過去の野音公演で、雨の日だったことと靴が脱げないように針金を巻きつけていたことから、寺岡が感電したことがあったことを明かした。このエピソードには会場からも驚きの声が上がった。そして、宮田は「28年目にこうやってみんなと拳を上げて歌えるというのは嬉しい」「ジュンスカのファンも2世代になってきた。まだまだ先にはローリングストーンズみたいにおじいちゃんやおばあちゃんが来てる世代もありますので、そこに向けて僕たちも転がり続けていきたいと思います」と喜びと決意を語った。

 MCに続いて、自身の音楽が生まれたという地元の歌「Let's Go Hibari-hills」を披露。タオル回しで野音が埋め尽くされ、圧巻の光景が広がった。エンディングで風車のように、腕を回しギターをかきむしる姿は昔と何も変わらない。後半はクラップの一体感が高揚感を高めた「ロックンロール☆ミュージック」、「希望の詩」、「BAD MORNING」、「MY GENERATION」とアグレッシブなキラーチューンで休む間も無く畳み掛け、一体感が高まるなか、宮田の助走をつけた大ジャンプで本編を終了した。

ダブルアンコールで「すてきな夜空」

ライブの模様

ライブの模様

 アンコールを求める手拍子が鳴り響くなか、宮田が一人ステージへ。「一体感が足りない」とオーディエンスのアンコールに茶化すようにダメ出し。自らが指揮をとりレクチャーするという一風変わったユーモアあふれる場面も。さらに「今のJUN SKY WALKER(S)も素敵だなと感じています」とこの全国ツアーを振り返り、マイクを置き生声で「ありがとう!!」と感謝の言葉を届けた。そして、宮田はメンバーを呼び込む。メンバーの、野音で最初に見たアーティストの話などで盛り上がり、最後に「60歳、70歳と生きてる限り転がり続けていきたいと思います」と決意を語り、アンコールは「バイバイ」、「NO FUTURE」、そして「全部このままで」を全力で熱演。ボルテージは最高潮まで高まり、訪れたファンに感謝を伝え、ステージを去った。

 アンコールの3曲を終えてもなお鳴り止まないダブルアンコール。ファンの声援に押されるように、再びステージにメンバーが登場。「このアンコール良かった!ありがとう〜もう一発いくかい!?日比谷の夜空に送ります」と宮田が投げかけ、「すてきな夜空」をもう一曲プレゼント。もう何百回も演奏しているだろう森、寺岡、小林の奏でるエモーショルなサウンドに乗り、宮田のどこまでも突き抜けていく存在感のある歌声が野音の夜空に広がっていった。ファンと共に作り上げたそんな素敵な夜空の中、ライブは大団円を迎えた。

 キャリアが生み出すこのメンバーにしか出せない唯一無二のサウンド。そして、この野音で魅せたいつまでも変わらない4人の姿からは、30周年に向け、さらにジュンスカらしいサウンドを追い求めていくことを確信させた一夜であった。(取材・村上順一)

セットリスト

JUN SKY WALKER(S)の野音 2016 〜FANFARE SPECIAL〜
10月30日 日比谷野外大音楽堂

01.ファンファーレ
02.START
03.歩いて行こう
04.青春
05.マリーゴールド
06.明日が来なくても
07.It's Alright!
08.いつもここにいるよ
09.夏の花
10.声がなくなるまで
11.裸の太陽
12.あきらめたくない
13.HAPPY?
14.スターマン
15.Runaway Boy
16.風見鶏
17.Let's Go Hibari-hills
18.ロックンロール☆ミュージック
19.希望の詩
20.BAD MORNING
21.MY GENERATION

ENCORE
EN1.バイバイ
EN2.NO FUTURE
EN3.全部このままで

W.ENCORE
EN1.すてきな夜空

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