歩みも一緒に収録したい、フレデリック ツアー名冠した初フルAL
INTERVIEW

歩みも一緒に収録したい、フレデリック ツアー名冠した初フルAL


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年10月19日

読了時間:約18分

フレデリックの過去と未来、そして挑戦が詰まった全15曲を収録した初のフルアルバム

フレデリックの過去と未来、そして挑戦が詰まった全15曲を収録した初のフルアルバム

 神戸出身3人組ロックバンドのフレデリックが10月19日に、1stフルアルバム『フレデリズム』をリリースした。メジャーデビューから2年。この間に生まれた、彼らの代表曲「オドループ」や「オワラセナイト」「オンリーワンダー」を始め、インディーズ時代からの楽曲など全15曲を収録した。「挑戦的なことが好き」とも語った今作には、どことなく80年代を感じさせる楽曲もあり、バラエティーに富んでいる。彼らの活動を物語る上で重要なツアーとなった『フレデリズムツアー』という名前を踏襲していることからも、この作品に懸ける思いは伝わってくる。楽曲にまつわる背景や意図、今作で挑戦したこと、根底にある音楽ルーツ、今後の展望など、三原健司、三原康司、赤頭隆児の3人に話を聞いた。

“歩み”も一緒に収録したいなと思ったんです

神戸出身3ピースバンドのフレデリック

神戸出身3ピースバンドのフレデリック

――7月2日にZepp DiverCity(TOKYO)でおこなった『フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド』東京公演。いま振り返っていかがですか。

三原健司 単純に、自分達の事を好きでいてくれる人がこんなにいたんだという事への喜びと、「この人達をどこへ連れていってあげようか」という、自分らへのある意味のプレッシャーと、これからの期待を背負って行こうという、自分達の道筋がまた一本増えたなという瞬間でもありました。

 自分達がオンリーワンだという事を提示して「オンリーワンダー」を発売してからのワンマンライブなので、他のJ-ROCKシーン、J-POPシーンの中でもまた違うバンドとして一つの島を作って、「ここで一緒に遊ぼうよ」と言っているバンドだと思っているので、それをより拡大していけるきっかけが出来たんじゃないかと思っているんです。そういった意味では節目になったワンマンライブになったと思います。

――メジャーデビューから2年、ついにフルアルバムですね。

三原康司 ついに来ましたね。

――アルバムの制作期間は?

三原健司 もともと、「フルアルバムを作りましょう」という話が出たのは今年に入ってからなんです。それに対して「オンリーワンダー」をシングルで出すという予定で。そこから始まっているので、少しずつタイミングを見て、フェスの合間にレコーディングをしました。一応、始まりとしては今年の3月、4月からくらいですかね。夏フェス前の7月に、8、9曲を一気に録ったり。

――ミニアルバムのリリースがこれまで多かったのですが、フルアルバムを出すタイミングは結構慎重に考えていたのでしょうか?

三原康司 タイミングはそんなに考えていなかったのですが、やはり曲がたくさん出来てくるし、やりたい曲や聴いてもらいたい曲がたくさん出て来るバンドなので。色んな振り幅の曲を作っていくうちに、ミニアルバム3枚、シングルが1枚ときて、15曲入りというすごいボリューミーなアルバムが出来ました。

――「オドループ」「オワラセナイト」は収録されていますが、「トウメイニンゲン」や「FUTURE ICE CREAM」を収録しなかった訳は?

三原健司 メジャーデビューしてから今までの自分達の歩み方が楽曲にはあったと思っていて、それが「オドループ」から始まって、「オワラセナイト」がきて、その後にメンバーの脱退があっての次のミニアルバムの曲が色々ある中で、自分のターニングポイントになった曲が「ハローグッバイ」だったんです。そこはメジャー1stフルアルバムに入れるとしたら、その“歩み”も一緒に収録したいなと思ったんです。

――15曲収録にあたって選曲は苦労しましたか?

三原康司 バンドの中では「コレだろ」という曲が決まっていたので。けっこう悩むかなと思っていたのですが、サクッと決まりました。

――アルバムタイトルはもうこれしかないという感じですね。

三原康司 『フレデリズム』というタイトル自体もだいぶ前から決まっていた事なんです。僕らにとって1stシングルの「オンリーワンダー」もそうですけど、フルアルバムとなったら「フレデリック」という入り口があって、そこに入っていったら奥深いものがあるという、その部分というのは自分達の中で決まった楽曲があって、それら15曲を入れる事が出来たなと思います。

――今までのミニアルバムから漏れた曲も入っているのでしょうか?

三原健司 当時のミニアルバムを出すタイミングで出ていた曲もありますね。

三原康司 「POOLSIDE DOG」「レプリカパプリカ」など。インディーズ時代からデモとしてある楽曲ですね。

――ライブでは披露していたのでしょうか?

三原健司 ライブでもやっていないですね。デモとしてあって、いつかフルアルバムで収録する時の為に置いておこうという話をしていましたね。“温存”ですかね(笑)。

――15曲というボリュームですが、曲順については悩みましたか?

三原健司 悩みました。1曲目の「オンリーワンダー」は割とマストで考えていましたが。

三原康司 『フレデリズムツアー』で自分達なりのライブの組み立て方、「どう伝えていくか」という事に対して、よりバンドで考えていくようになっていったんです。ライブと音源は違うので、それぞれどういった楽しみ方があるかという事を自分達が築き上げてきた。そういうドラマがあるんです。

 そのストーリーの中で、「じゃあこの選曲だ」という事で1曲目が「オンリーワンダー」。「リリリピート」と「レプリカパプリカ」は並べたいという個人的な思いもありました。メンバー内でも話し合ったりして「ハローグッバイ」はラストにもってこようかなど。

――「POOLSIDE DOG」から「オドループ」の流れは、一気に断ち切られて弾ける印象がありました。

三原康司 長いと絶対に飽きちゃうと思ったんです。ひとつどこかで目を覚まさせたいと思った部分があったんです。

――今作の中で「POOLSIDE DOG」は趣があるというか、今までとは違う雰囲気を感じました。この楽曲はどういった心境の中で生まれたのでしょうか?

三原康司 僕の妄想の世界という感じです。夏にプールサイドで熱中症になったことがあって、そういう時とかって、自分がそこにいるのか、その自分を見ている自分がいる感じがするんです。そういうゆらゆら感とか、熱がジリジリした時の感覚というのは皆の共感なのかなと思ったんです。あの雰囲気を音にしたくて作った曲なんです。知らなくてもみんなが知っている空気というのが描かれた曲が出来たと思います。

――蜃気楼のようなアンビエントが強いギターの中をベースが縫っていく、それがゆらゆら感とジリジリ感を演出しています。音作りには苦労しましたか?

赤頭隆児 真夏のイメージはあって、これをダビングしていった時のエンジニアさんと2人で録ったんです。その人はギターやバンドが好きというよりも、違うジャンルを好む方なんです。客観的に聴いてもらって「これは夏っぽい」とか「それだと秋寄りかな」など、イメージを大切にして作りました。

三原康司 あまり頭を使いながら計画的に作った曲ってあんまり面白くなくて。「今、海が見えている」とか「空を飛んでいる」とか。

赤頭隆児 そうそう、そういう会話してた。

――インディーズ時代の曲を今回新たに歌うにあたって、曲に対しての意識や捉え方などの違いはありましたか?

三原健司 当時感じていた自分の夏のイメージと、2、3年経ってからの夏のイメージは自分の中でも変わっていると思うし、その思った時の自分の声の出し方も違っていると思うんです。無意識のもとでは絶対に変わっていると思います。

――そんなに表面上で意識している事はない?

三原健司 はい。でも、聴き直してみると意外に全然違うなと思う事はあります。

赤頭隆児 アレンジがけっこう変わったもんね。

三原健司 そうそう。それなので自然と歌い方も変わってしまうんだと思います。

忘れてもらいたくないんです

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

――「リリリピート」はリード・トラックとしてMVも発表されていますが、この楽曲が出来たのは最近ですか?

三原康司 そうですね。割と新しいです。

――言葉のはめ方など、これぞフレデリックといった感じで気持ち良いですね。

三原康司 「オドループ」や「オワラセナイト」など、僕らってカタカナの曲が多くて。“リピート”とか“リズム”とか“ステップ”とか、そういう言葉に硬い印象がないんです。その言葉自体に思い入れを強く持っているんです。そのリズムがあって、進んでいった自分達がいて。だから、リピートする事で、一つ一つちゃんと変わっていってる部分を気持ちとして乗せたかったんです。それと、音楽に対する愛情を重ね合わせて作った曲なんです。

――フレデリックの曲は同じ言葉を3回繰り返すという事が多い印象があります。そこには何か法則などがあったりするのでしょうか?

三原康司 法則というより、忘れてもらいたくないんです。だから何度も何度も言っていきたいんです。何度も印象づけると言うか、呪文みたいに言う事って、音楽を聴いていなくてもふとした瞬間に出て来る時があると思うんです。「あの曲!」みたいに。それが一番の愛情だと思っているんです。全然意識していない状況なのに、ふと音楽が出て来るというのは本当に好きだからだと思うんです。その人が好きと気付いていなくても。「それが大事」「面白い」と思っているからこそ出て来るのだと思うんです。

――「リリリピート」のMV撮影のエピソードなどありますか?

三原康司 やっぱり映像監督のスミスさんが良かったですね。映像が出来上がって観た時に、やっぱりこの監督で間違いなかったなという感動がありました。自分が想像していた事が絵になっていて。クルクル回っていたり、繰り返したりとか。

――楽曲の世界観にばっちりハマっていましたね。

三原康司 そこを理解してくれる監督さんなんです。それだけ愛情をもって僕らの作品を手がけてくれるんだなと思いました。

――続いての「レプリカパプリカ」はフレデリック流の「ドナドナ」?

三原康司 そうですね(笑)。最初、「ドナドナ」みたいな曲を作りたいと話していたんです。でも自分の中でけっこう思う面があって、電車に乗っていて疲れているサラリーマンって、同じようなスーツを着ていたりすると、みんな同じ人に見える人はそう見えると思うんです。でも、もしかしたら、その人はその夜にライブハウスでギターを弾いたりして輝いているかもしれないじゃないですか? 普通はその先まであまり考えないと思うんです。

 野菜とか魚、パプリカとか食べられる生物や植物の中にそういった選択権はないじゃないですか? 例えば、捕まって水族館に行く魚もいるじゃないですか?人って選択権があると思うんです。だったら自分の思う道をちゃんと進んで行きたいなと凄く思ったんです。同じじゃなくてそう思える気持ちと、自分はやっぱり特別なんだという気持ちみたいなものを曲にしました。

――健司さんはこの曲を最初聴いた時はどう思いましたか?

三原健司 衝撃的ではあるんですけど、だいぶフレデリックらしい一曲が出来たなあと感じました。例えた野菜がパプリカというのがまた驚きなんですけど(笑)。今のは、その時のデモとはちょっと形が変わっていて“ドナドナ感”をより前向きにした歌詞になっているんです。その成長も含めて、また新しいものを提示するようになったのだなと感じました。

三原康司 「ドナドナ」に感謝だな。

三原健司 パプリカにもな(笑)。

――パプリカを選んだ理由は?

三原康司 語感ですね。「レプリカパプリカ」って言いたかったんです(笑)。

――タイトルから曲が出来る事もあるのでしょうか?

三原康司 それもありますね。タイトルを決めちゃって、それから歌詞を書く事も曲によってはあります。

――今作で他にもタイトルから出来た曲は?

三原康司 「サービスナーバス」もそうです。昔の曲でもそういったものは多いですね。

――では「オドループ」も?

三原健司 それは最初、タイトルがなかったんです。「新曲テンポ172」みたいな。仮タイトルで「オドループ」ってつけてたんだよね(笑)。

三原康司 「オドループ」は確かに最初タイトルなかったね。

三原健司 「オドループ」ぐらいじゃない?「新曲テンポ172」とか言ってたのって。

三原康司 確かにそうだね。またこういうの付けたろ(笑)。

挑戦的な事をする事が好きなんです

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

――「サービスナーバス」は“ナーバス”というフレーズが入っていますが、ラテン調で陽気なサウンドですよね。この対比とも言えるアレンジのアイディアは皆さんで?

三原康司 そうですね。エンジニアさんなども入れてみんなで話し合って。僕らは新しい事に挑戦する事がずっと好きなバンドなんです。挑戦的な事をする事が好きなんです。リズムの気持ち良いアプローチの曲がたくさんある中で、その中でも「サービスナーバス」は横に気持ち良く乗れるようなサウンド感が作りたくて新しい挑戦をしました。

――ラテン音楽は皆さんのルーツの中にあるのでしょうか?

三原康司 曲によって聴いているのもあるのですが、そんなにがっしり捕まえている程ではなかったです。そういう感じのサウンドと、僕らが意識していた“80's感”と言うか。ドラムもそんなラテン乗りの音楽の感じは出していないんです。というのは、そこをまた別の楽器で出すというアプローチがフレデリックらしいなと思って、そういうのはすごく考えました。

――ラテン音楽は踊れる音楽の代表格でもあるので、そこは今後のフレデリックサウンドに大きく影響してきそうですね。

三原康司 そうですね。音楽アプローチとしてはすごく踊れるので。ブラックミュージックが僕らの好きな音楽なんです。僕、シック(Chic)がすごい好きでして。そういう音楽のアーティストを聴いていると繋がってくるんです。だから僕らも自然と繋がったんだなと思いました。

 ※編注=シック(Chic)とは、1970年代後半のディスコ・ブームを牽引したアメリカのR&B、ファンク、ディスコ・バンド。中心メンバーはナイル・ロジャース(Gt)とバーナード・エドワーズ(Bs)。

――先ほどお話に出た80'sサウンドについてですが、音楽シーン全体で流行ってきているのでしょうか?

三原康司 きゃりーぱみゅぱみゅさんがアート面ではそういう感じだと思うんですけど、サウンド面ではそんなに流行っているのかな? 80's感って、僕の中ではいい意味でチープな感じがするんです。特にシンセの感じとか。だからフレデリックはそうだなとすごく思うんですけど。その時代に生きていないので感覚なんですけど、その時代の音楽は聴いたりします。

――みなさん90年生まれだと、ちょうど全く80年代を通っていないのにここまで80's感を出せるという事は凄いですね。

三原康司 知らない事に興味が強いバンドなんです。見てない時代の音楽って魅力的なんですよ。全然知らなくて、自分達の生活感に無いのに好きになる感じ、というのが格好良くて。それらを新しくしている洋楽のバンドは聴いたりしています。最近、「シリコン」というアーティストを聴いているんです。まだ全然、名前も広がっていないバンドなんですけど。すごくチープな音で淡々とやり続けるんですが、それが昔のちゃっちい感じなんですけど、それがすごい新しくて格好がいいと思いました。

――「バジルの宴」は展開がバシッと切り替わりますが、この意図は?

三原健司 これはインディーズの頃の曲なんです。その頃の宝物のような曲でして。ミクスチャー感というか、アップテンポもあれば、急にリズムが落ちてユラユラするような感じが、その当時、魅力的だったんです。それがそのまま気持ち良く出たのがこの曲です。

――この曲はリズムから出来たのでしょうか?

三原康司 何かバシッと出来たのは覚えています。展開は昔のとはちょっと変えたんですけど、ちゃんとこの曲をスッキリ伝えられるようには考えました。

――ギターソロもアグレッシブですね。

三原康司 そうなんですよ。

赤頭隆児 別人みたいです(笑)。

――もしかしてこれはアドリブですか?

赤頭隆児 これはアドリブで一回しか弾いてないんです。試しにもう一回弾いたんですけど、やっぱりファーストテイクにしようとなって。

――ギターソロはけっこうアドリブで録ることが多い?

赤頭隆児 基本、アドリブで考えますけど、けっこう細かい所は後で詰めたり。このアルバムのギターソロでアドリブは「バジルの宴」だけです。

――6月にバンドスコアが出版されましたが、こういう感じのギターソロは採譜が大変でしょうね。

赤頭隆児 この曲とかは採譜しにくいですよね(笑)。テンポもないし。

三原康司 譜面に書く方がこの曲の時は大変そう…。

赤頭隆児 かわいそう(笑)。

――自分達のバンドのバンドスコアが出版されるというのはバンドマンの憧れですよね。

三原康司 めっちゃ嬉しいですね! 僕が学生の時は好きなバンドのスコアを買ってコピーしましたので、同じような気持ちを持ってくれている人がいるというのが、バンドをやっていて良かったと思える所です。

――TAB譜(編注=ギターやベースの弦とフレット数などが表記されている楽譜)とライブ映像を照らし合わせながら「ここ違うんじゃないか?」とか見つけたり。

三原康司 ははは! 違いを探しちゃいますね。「ライブはこっちの弦で弾いていたのに?」みたいに。

――今作では楽器としての新しい機材や試みはありましたか?

赤頭隆児 僕はアンプ変えました。FENDERのHot Rod DeVilleからTwo-Rockですね。

三原康司 ベースはフォデラ(Fodera)で、今回はマイクではなくラインをメインにして録ったというのがあって、ラインの音でもフォデラはしっかりしているんです。だから「CYNICALTURE」という曲はすごくボトムを出してもらって、ベースがとてもカッコ良い感じになっています。

――比重的にはラインの音の方が大きい?

三原康司 そんな感じでやっていました。それがすごく良くて。バーナード・エドワーズ(編注=ファンクバンド:Chicのベーシスト)のベースって滅茶苦茶ラインって感じじゃないですか?あのガチャガチャしている感じが凄く好きなんです。

――健司さんは新しい機材は使われましたか?

三原健司 僕は前と一緒のフェンダー・デュオソニック (FENDER DUO-SONIC) というギターを使っているんですけど、それとフェンダーのアンプと、One Controlという会社のエフェクターで、歪みを全曲で使いました。

――One Controlは新しい機材ですか?

三原健司 もうずっと同じやつだったんですけど、さすがにこの頃になったらエフェクターも変えるだろうと思っていたんですけど(笑)。結局全部それでいけて。

――デュオソニックはビンテージギターですよね?

三原健司 1961年のビンテージですね。

赤頭隆児 一緒に買いにいったよな。

1、2年前の自分を思い出して

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

「フレデリズムツアー2016 ~オンリーワンダーランド」のもよう(撮影・ 鈴木公平)

――今回レコーディングで苦労した楽曲は?

三原康司 「KITAKU BEATS」のベースラインは苦労しました。だけどその分、すごくカッコ良く出来ました。

――イントロからかなり激しいですよね。

三原康司 激しいです(笑)。とにかく難しかったですね。凄くアグレッシブなベースラインにしたので。イメージに近づけたかったんですけど、それがうまく技術的に…。そこに対して熱心になっていた部分もありました。

――健司さんはレコーディングで苦労したところは?

三原健司 「ナイトステップ」ですね。「オドループ」「オワラセナイト」が昔の楽曲で、けっこう淡々と歌うという事を自分の軸としてやっていたんですけど、「ナイトステップ」は“皆が聴いて良い声”という自分の歌い方よりももうちょっと崩してみて、“自分が気持ち良い”という歌い方の方をテイクとして選んでいって完成したのが「ナイトステップ」なんです。それは自分にとって初めての試みだったので、歌ってみて「これってどれくらいまでがギリギリ許してもらえる範囲なの?」とか、そういうのを選ぶのが自分の中で難しかったと思います。

――メンバーや周りの方との探り合いも?

三原健司 そうですね。自分だけが気持ち良いんじゃないかという。でも、その“自分だけが気持ち良い”のもいいんじゃないかというせめぎ合いもありました。やっぱりメジャーに上がるというのと、周りの意見も含めての自分を作っていくのも大事だと思っていまして。

――隆児さんはどうでしょうか?

赤頭隆児 「POOLSIDE DOG」は苦労しました。最初はああいうアレンジじゃなかったんですけど、今回のようなアレンジに挑戦してみようという事になりまして。こういうアレンジの曲はあまり聴いてこなかったので、イメージをもらって、自分なりに消化するのに一番時間がかかった曲です。

三原康司 色んな曲に対して悩んだ部分が多いんですけど、その“悩み”がすごくいいなと思いました。悩んでいるだけ人の事を思えているというか。その曲に対してとか、どう伝えようとか。そういうのが多かった分、凄くいいアルバムになったと思っています。

――特に思い入れのある曲は?

三原康司 全部ですね(笑)。

三原健司 アルバムを一聴する時、13曲をしっかり聴いた後の「オワラセナイト」に入った時は1、2年前の自分を思い出して「やったなあ!」という感じがありますね。

赤頭隆児 確かにそういう感覚あった!

――次の目標の場所はありますか?

三原健司 場所というよりかは、全国的にもっと広げていきたいなという考えはありますね。今回の6月のワンマンを東名阪でやらせて頂いて、もちろん配信も含めて、全国の人には観て頂く機会はあるんですけど、でも実際は画面で観てもらうよりかは直接、行って話をする方がやっぱり“人と人との気持ち”だと思っているんです。

 自分達がライブで人生が変わったというか、やっている側でもありますし、観て心を動かされる瞬間ってけっこうあると思うんです。そこはもっと広げていって、直接会ってライブをして、自分達の音楽をより楽しんで欲しいと思っています。日本だけじゃなくて、台湾に行ったりとかアメリカに行ったりとか、フランスに行ったりとか、そういう風に音楽の幅を広げていく事はしていきたいですね。

――海外進出が視野に?

三原康司 ありますね。

――YouTubeで公開しているMVでは、海外からのコメントもありますね。

三原康司 聴いてくれる事がすごく嬉しいですね。海外の人は音楽の聴き方がすごくピュアだと思うんです。日本語で歌っていても、その語感やリズムが気持ちいいと思ってくれているじゃないですか?だから凄くストレートに入ってきますよね。本当にいいなと思って聴きに来てくれているんだなと。

――今後海外ツアーの話も具体的に出てくるかもしれないですね。

三原康司 ヨーロッパツアーとかいいですね!

(取材・村上順一)

作品情報

2016年10月19日リリース
Major 1st Full Album 「フレデリズム」
初回限定盤 AZZS- 52/3,000円(tax out)
通常盤 AZCS- 1060/2,500円(tax out)

01. オンリーワンダー
02. リリリピート
03. レプリカパプリカ
04. KITAKU BEATS
05. サービスナーバス
06. スピカの住み処
07. バジルの宴
08. ナイトステップ
09. POOLSIDE DOG
10. オドループ
11. CYNICALTURE
12. ふしだらフラミンゴ
13. 音楽という名前の服
14. オワラセナイト
15. ハローグッバイ

▽初回盤DVD
「フレデリズムツアー2016〜オンリーワンダーランド〜 at Zepp DiverCity 2016.07.02」
01. DNAです
02. ひっくりかえす
03. FUTURE ICE CREAM
04. トライアングルサマー
05. WARP
06. FOR YOU UFO
07. ディスコプール
08. オドループ
09. オンリーワンダー

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