May J.とさくらしめじが歌でエール、リオから東京へ五輪を紡ぐ
今年の夏を熱狂で彩り、熱い声援が駆け抜けた、ブラジル・リオデジャネイロでおこなわれている『リオ・オリンピック/パラリンピック』。燃え盛るバトンを受け取る形で、パラリンピックの閉幕を日本時間で前日に控えた9月18日、東京・上野恩賜公園を舞台に、May J.とさくらしめじの2組を迎え、「スポーツ×音楽」をテーマのもと、『リオ 2016 日本選手団 応援ステージアーティストライブ』と題したライブイベントが開かれた。
さくらしめじ、爽やかな歌にのせ
ライブは、“ゆったり、まったり、のんびり”をコンセプトに活動中の田中雅功と髙田彪我による中学生男性フォークデュオ、さくらしめじからスタート。秋のはじめの涼しい風に温かみを加えてゆくように、2人の爽やかなハーモニーが心地好い風と一緒に会場中へ響き渡ってゆく。力強いストロークにのせて歌う「いくじなし」では、場内から熱い声援も飛び交えば、終始、会場に手拍子が響いていた。
その様子からは、オリンピックやパラリンピックの試合で魂を燃やす選手たちへ声援を送る姿にも見えていた。
さくらしめじの歌は、触れた人の心にじんわり優しく染み渡る温かさに満ちている。それは、2人の性格が純粋で純朴なゆえなのか!? 中学3年生という年齢もあるのか、どの歌も真っ直ぐな想いとして胸に“スーッ”と染み込んでいた。
軽快にステップを踏みながら、駆けるように歌った最新シングルの「ひだりむね」。この歌で彼らは、ドキドキした気持ちを歌声に乗せ届けてきた。
さくらしめじとしてのエールを込めた「みちくさこうしんきょく」まで、2人は等身大の姿で、4年後の東京オリンピック・パラリンピックへ向けてすでに走り続けている選手たちや、毎日を頑張っている人たちへ“みんなで笑っていれますように”と励ましの歌を届けてくれた。
雄々しい歌声、May J.は希望をのせ
今年デビュー10周年を迎えたMay J.のステージは、頑張る人へエールを贈るに相応しい「Sparkle -輝きを信じてー」から幕を開けた。彼女の力強い歌が、爽やかな風に乗せ、上野公園中を包み込んでゆく。その歌声の、なんて雄々しかったことか。
「いろんな障害を乗り越え戦ってゆく選手たちの姿を観ながら思うことがありました。自分が作ってしまうから限界というものがあって、本当は限界なんてないんじゃないか」と、パラリンピックの競技を見続けての感想も、彼女はそう述べていた。
May J.の呼びかけで全員が立ち上がったなか、「So Beautiful」を歌いながら、彼女は、一瞬にしてパーティ会場に塗り替えた。ダンサー2人を従え、身体弾ませる歌を届けてゆく。
THE BOOMのカバー「風になりたい」では、ラテンビートに乗せ、身体を優しく揺らす歌の風を吹かせてくれた。いや、爽やかどころか、いつしかそこには、リオのオリンピック会場にも似た熱気が生まれていた。
オリンピックやパラリンピックの会場にも似た一体化した熱狂から、一変、May J.は想いをたっぷり込めながら「Let It Go ~ありのままで~」を英語バージョンで温かく歌いだした。気持ちが心からあふれそうな歌に触発されたのか、会場の中の人たちもMay J.と一緒にサビの<Let It Go!♪>を歌いあげてゆく。
その様子を見たMay J.は客席へ降り立ち、観客たちへ次々とマイクを向けながら、歌を通し、心を一つに溶け合うことを楽しんでいた。
「身近な小さな夢が毎日積み重なっていくと、いつしかその夢は大きくなって、人は幸せになっていけるのではないのかな!? みなさんもは今日や明日叶えたい身近な夢を想像しながら聴いてください」と語り、最後に歌ったのが、“夢”をテーマにした、つんく♂作詞・小室哲哉の作曲による最新シングルの「Have Dreams!」。
想いを詰め込んだバラードは、触れた人たちの心に小さな、でも確かな力を与えていた。
さくらしめじとMay J.、2組のアーティストが贈ってくれた「歌のエール」。その想いを、ぜひ4年後の夏へと繋いでいけたら…。そんな気持ちにさせたイベントだった。(取材・長澤智典)