BABYMETALがレッチリのツアー参加

RED HOT CHILI PEPPERSのイギリスツアー

 メタルダンスユニットのBABYMETALが、あのレッチリからツアーの出演オファーを受けたとして話題になっている。レッチリは、ロックファンなら誰もが知る世界を代表するレジェンド・モンスターバンドだが、世間一般的には、名前は知っていても「どう凄いの?」という声があるかもしれない。改めて、解説するまでもないが、今回は知らない人のために「レッチリとは?」という主題で“ロックレジェンド・レッチリ”を紹介したい。

 ロック界なら今や問答無用のモンスターロックバンド「Red Hot Chili Peppers」(レッチリ)。今回のツアー出演は、レッチリ側から「ぜひ一緒にツアーを回りたい」と、BABYMETAL側にオファーした。

 レッチリは、先の『FUJI ROCK FESTIVAL’16』で、7月24日の同日に出演したBABYMETALのステージを舞台袖から見ていたという目撃情報もあったという。レッチリ側からのラブコールを受け、12月に開催される、レッチリのイギリスツアー4都市7公演に、スペシャルゲストとしてBABYMETALが参加することになった。

レッチリとは?

 ロック、ファンク、パンク、ハードコア、オルタナティブロック、メタル、ダンス、それらをゴチャ混ぜにしてレッチリに濾過(ろか)され、ものの見事に統合したロックミュージック。真っ先に紹介したいのは、このレッチリの“音楽性”だ。

 1990年代から2000年代にかけて「ミクスチャー・ロック」なるカテゴリーがシーンに蔓延した。その呼び名は日本独自のもので、ロックにもう一つか二つ、あるいはそれ以上の多ジャンルの音楽をミックスしたスタイルを指した。

 代表的なところでは、スカ・レゲエ・ハードコアを融合したFish Bone、ハードロック・メタル・HIP HOPを融合したRage Against The Machineらが最も有名だろうか。日本ではDragon AshやRIZE、10-FEET、ACIDMANなどが代表される。

 そのミクスチャー・ロック界隈で圧倒的な成功を収め、その独自進化したスタイルをポップシーンにまで押し上げて、世界的に成功を収めたバンドこそ、“レッチリ”ことRed Hot Chili Peppersだ。

レッチリの世界的なセールス記録

 レッチリは1983年にアメリカで結成され、2016年現在、オリジナルアルバムを10枚、ベストアルバムを2枚発表し、2012年にはロックの殿堂入りを果たした。その快進撃は1989年発表の『母乳』で火が付く。

 1991年発表のアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』は、シングルカットのメランコリックなファンクナンバー「Under The Bridge」が初の全米1位を獲得。さらに「ファンクロックと言えばコレ」というくらいのレッチリ代表曲「Give It Away」を世に放ち、世界的なセールスを見せた。

 そして、レッチリの世界的人気を決定付けたアルバム『カリフォルニケイション』(1999年発表)はグラミー賞を受賞し、キャリア最大のヒット作となった。その後も、2002年にリリースした『バイ・ザ・ウェイ』がイギリスで1位を獲得。

 2006年発表の2枚組アルバム『ステイディアム・アーケイディアム』は、初のアメリカアルバムチャート1位、全世界24カ国で1位を獲得という記録を残した。このアルバム収録の「Snow ((Hey Oh))」は、映画『デスノート the Last name』の主題歌としても記憶に新しい。

個性的すぎるレッチリメンバー

 半裸で踊り狂うステージング、靴下で陰部を覆った以外は全裸のメンバー勢揃いのアートワーク。「全力でふざけているのか?」はたまた「大真面目なのか?」が分からないのがレッチリ。そんなレッチリメンバーは皆さんとにかく個性的だ。ここでは紹介しきれないが、ことプレイ面にフォーカスして端的に紹介すると以下のような特徴がある。

 ▽元祖変態ベーシスト・フリー

 現在ではそう珍しいスタイルではない「スラッピング(チョッパー)プレイ」。ベースを“ベキボキバキン”と指で引っぱたき、ファンキーにグルーヴを生み出す破天荒なベース奏法。もともとはファンクの奏法であったが、これをさらに派手にした挙げ句、本来はベースの担当する音域外のところでも暴れ回るプレイを平然とやり通すという末の恐ろしいプレイスタイル。これをポップシーンにまで押し上げた張本人こそ、元祖変態ベーシスト・フリー(Flea、本名=Michael Peter Balzary)だ。

 ▽オーガニックな神プレイ、ジョン・フルシアンテ

 仙人のような神々しいニュアンスでストラトキャスターをつま弾くジョン・フルシアンテ(John Anthony Frusciante)。彼のプレイをお手本にしたというギタリストは数多く存在する。叙情的で、ファンキーで、逸脱しすぎないエキセントリックなプレイ。料理の話ではないが、素材本来の持ち味を最大限に活かすような、ギターの音色そのものを、ギターで刻むリズムそのものをフルブーストさせるようなプレイが最大の特徴だ。

 ▽最強グルーヴ、 チャド・スミス

 「レッチリの曲はイントロのドラムの音だけですぐに『レッチリの曲』と気付く」。ロックファンにそこまで言わしめるチャド・スミス(Chad Smith)のプレイ。ドラムプレイヤー界隈でフェイバリット・ドラマーに「チャド・スミス」の名が挙がる事はあまりにも多い。とにかくスネアドラムの音が気持ち良いと定評がある。

 ▽兄貴分、アンソニー・キーディス

 骨折してても台風でも(初回フジロック)普通に歌うアンソニー・キーディス(Anthony Kiedis)。彼のバイタリティとテンションはレッチリのフロントにふさわしい存在だ。グルーヴィーなラップとメランコリックなボーカル、ライブで最も弾けたステージングを魅せるアンソニーはレッチリの“核”だ。

生きる伝説×ベビメタ

 これだけの個性が一つにまとまった希有な例でもあるレッチリというモンスターバンド。そのメンバーはというと、結成から何度もメンバーチェンジを繰り返した歴史がある。現メンバーは、先に挙げたメンバーからジョン・フルシアンテを除き(2009年脱退)、ジョシュ・クリングホッファー(Josh Klinghoffer)を加えた4人。今年の『FUJI ROCK FESTIVAL’16』ではヘッドライナーとして会場を沸かせた。

 そんな“生きる伝説バンド”Red Hot Chili Peppersが望むイギリスツアー4都市7公演。そこにオファーされたメタルダンスユニット・BABYMETAL。このミクスチャーによりいかなる“融合”を魅せ、更なる伝説をシーンに築き上げるのか。レッチリファン、ベビメタファンならずとも大いなる期待が寄せられるだろう。(文・平吉賢治)

▽参考動画

代表曲「By The Way」(アップテンポ)

代表曲「Under The Bridge」(ミドルテンポ、バラード調)

新曲「Dark Necessities」

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