■人生の中で一番大きな飛躍を踏み出せたらいいな

ステラボールを埋め尽くす観客

ステラボールを埋め尽くす観客

 ここから後半戦へ突入。村中のソリッドでドライブしたカッティング、小野も指弾きからピックに切り替え疾走感をプラス。テンション高めのアッパチューンに橋口も「拳を上げろ!」と煽り、オーディエンスも拳を振り上げ応戦。続いて、鼓や拍子木などのお囃子の音が会場に響くと、歌舞伎の前口上のような喋りで村中が楽曲紹介。そして、「みんなが持っているタオル、あるいは誰もが持っている心の中のタオルを掲げろ!!」と叫び、ステージが照明により真っ赤に染まるとニューアルバムから「君に不採用」を披露。一転して、パワフルなリズムで今までとは違う世界観で魅せた。サビでは掲げられたタオル回しで会場は埋め尽くされた。

 「まだまだイケますか?」と橋口が投げかけると、メンバー全員がサングラスを着用し「Weakly Weekday」へ突入。ファンキーなサウンドに乗り、サビでキュートな振り付けをステージ、会場全体で展開しフロアは笑顔があふれていた。そして、「大丈夫」を演奏。wacciのメンバーの人柄の良さが前面に出たこれもまた笑顔あふれるナンバー。<大丈夫♪>という安心感のある言葉がステラボールに響き渡り、ほっこりとした空間に癒される。

 ここで橋口が、「音楽をやっていて良かった。みんなと純粋に楽しめて、すごく嬉しいです。ここから人生の中で一番大きな飛躍を踏み出せたらいいなと真剣に思っています。みんな僕らとこの夏一緒に歩いてもらえたら嬉しいなと思う。ついてきて下さい」とこれからの活動について決意を述べると、本編ラストは横山の威勢の良いカウントから8月3日にリリースされるニューシングル「歩み」を披露。キラキラとしたサウンドで一歩を踏み出そうとする人たちの背中を押すような、優しさと力強さを併せ持った、自身達の決意とも言える歌と演奏で本編を終了した。

■新曲「君なんだよ」を初披露

ステージでの橋口洋平

ステージでの橋口洋平

 アンコールの声と手拍子が鳴り響く中、ステージに再び戻って来たメンバー。「もうやめたいな、面倒くさいなと思いながらもなんとか踏ん張って、明日からも同じ環境でまた頑張ろうとするあなたに送ります」とアンコール1曲目は「羽田空港」。橋口の奏でるアコギと歌声が会場に優しく響き、バラードナンバーに時間がゆっくりと流れるような錯覚に陥る。

 そして、映画『四月は君の嘘』の挿入歌に決定した新曲「君なんだよ」を初披露。初披露ということもありwacciのメンバーからも緊張感が伝わって来る。橋口はこの曲について「誰もがみんな限られた時間の中で生きている。その中で自分が覚えていて欲しい人だったり、忘れたくない今日みたいな瞬間を一人ひとりが大事にしていけたらという想いを込めて演奏したい」と語った。軽くシャッフルしたリズムに時折みせる橋口のファルセット、そして美しいハーモニーが重なり、情景がそこから見えてくるようなポップでキャッチーなナンバーでオーディエンスを魅了した。演奏が終わると大きな拍手が会場に響き渡った。

 ここで、ニューアルバムを引っさげて9月から始まるツアーの発表を挟み、ラストは「サヨナラ」を披露。ノリの良いビートにシンクロするかのように、サビではオーディエンスの腕が左右に振られ一体感のある光景が広がった。<グッバイサヨナラ♪>とリフレインされる歌詞だが、別れというよりかは、また会おうねと希望と期待に満ちた楽曲で12公演をおこなってきたツアーの幕を下ろした。

 「ツアー12本、素敵な時間を各地で過ごさせてもらいました。その集大成としての東京ファイナル、皆さんひとり一人が一緒で本当に良かったです。それぞれ自分の日々を頑張って、またいつでも遊びに来てください。笑って会えることを楽しみにしています」と訪れたファンに感謝を告げた。

 どの曲も確かなメッセージ性を持ち、彼らの人柄の良さが滲み出たアットホームなライブであった。8月にはニューシングルとニューアルバムのリリース、9月からは関東全県ツアーも決定し、更なる飛躍を見せていくだろうwacci。来年の2月におこなわれる豊洲PITでのツアーファイナルではどのようなステージで魅せてくれるのか、そんな期待感を持たずにはいられないライブであった。(取材・村上順一)

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