素直になれた気がした LACCO TOWER、本心の物語「心臓文庫」
INTERVIEW

素直になれた気がした LACCO TOWER、本心の物語「心臓文庫」


記者:小池直也

撮影:

掲載:16年06月10日

読了時間:約16分

ロックとポップ

――何だか最初の「LACCO TOWERって何か」という話に帰ってきた感がありますね。そのまま突っ込んで伺いたいのですが、皆さんにとってロックは何だと思いますか?

松川ケイスケ 啓示とも良く話すんですけど、挑戦し続ける事、出来ないことをやり続ける事っていうのがロックだと思います。ポップというのはポピュラーということなので、一般的に大衆的になろうと思えばいくらでもなれると思うんですよ。

 例えばカメラマンという職業がなかったとしたら、カメラマンになろうというのは凄くロックなことなんですけど、カメラマンがある現状でカメラマンになることはポップなんですよ。もちろんそれだって難しいですよ。凄く大変だと思いますし、立派な仕事だと思う。

 ただ、やっぱり「自分たちって何だろう、じゃあこれやってみようか」「いや違ったな。これだ」と言いながらちょっとずつ探してく、出来ないことにチャレンジしていくということ自体がロックだと思うので。

 周りのバンドを含めて「ロックしてるな」というバンドはいっぱいいます。ジャンル的には凄いポップな奴でも。そいつらもロックだと思うし、僕らLACCO TOWER自体もそういう意味ではロックバンドだと思います。

――つまり音楽そのものではなく態度や心の持ちの問題ということですか?

松川ケイスケ そうですね。アイデンティティの方がデカいかもしれません。結果論ですからね、出音とかアウトプットしているものっていうのは。そこに至る経緯を、やっぱり人間なんで対面して見て聴いて、感じるものってあると思うんです。

 そうじゃないと芸術とか表現ってつまらないと思うし。絵を表面で見て感動する人がいる様に音楽を聴いて、ライブを見て、文章を呼んで感動する人も絶対いると思うので。それが人と人とのコミュニケーション。それがなくなっちゃうとなんか寂しいなって。それが無いなら何でもいいんですけど、人に歌っている以上はそういうバンドでありたいなって思います。

――今のコミュニケーションというところでSNSの様な新しい人間関係について思うところはありますか?

松川ケイスケ まあ今あるものはあるもので便利なものが多いので、それをツールとして活用していくべきだとは思います。でも最後にキスするのって人と人じゃないですか。抱きしめるのも人と人じゃないですか。だから、そこがゴールというか、そこに至るまでのツールが色々あるのはいいと思うんです。

 でも、僕らもライブを生業としてきたバンドだから、物事を伝えるという事に関してはやっぱり、最初と最後は直接的なコミュニケーションが僕らとしては嬉しいなと。それで起きる弊害は色々あると思うんですけど、そんな事言ってたら暮らせないですからね。それはその場で解決しあっていくしかない。

塩崎啓示 今まさに発売前に『心臓文庫』の曲をやる「未来演奏会」というイベントをやっているんですよ(既に終了)。知らない曲を披露するワンマンなんで、それを直接伝えられることが僕らの性に合っているというのがまずひとつ。

 それから、みんな初めて聴くわけじゃないですか。その時お客さんの顔を見ると目をつぶっている人も結構いるし、どこ見ていいかわからないままの顔の人もいる。興味がないわけではないと思うんですよ。逆に「そういう顔になるんだ」って初めて知った。

 でも、その中で「未来前夜」はYouTubeで上がっているから皆予習しているわけですよ。だからいきなり顔つきが変わるっていうこととかもライブならではというか。ラジオで発信したり、ツイッターでちょっと流したりとか色々方法があると思うんですけど、ライブで直接効かせるのが一番のツールなのかなと。

 その皆の顔をめっちゃ覚えてるので、CDが出た時どういう顔するんだっていうのもありますね。ほんと始めたてのインディーバンドの時って新曲は先にライブでやるじゃないですか。その気持ちに戻れた。

――それでは最後に読者にメッセージをお願いします。

松川ケイスケ 僕らをこのアルバムで初めて知っていただく人も多いと思いますし、以前からどっかのきっかけで知って戴いていて、今回新しいアルバムって方も多いと思います。ライブでもよく言うんですけど、僕らってあまり聴く段階を選ばないというか、いつ入って戴いてもその人の感情そのままで聴けるっていう曲が沢山あるっていうのが良いところ。今回も良い意味で聴きやすいアルバムになっていると自負しています。こういうタイミングですから色んな人に聴いて、個人個人の気持ちで楽しんで戴ければ嬉しいなと思います。

塩崎啓示 メジャーの2枚目ということもあって今の感情、今の気持ち、今の音っていう意味では本当に自分らのベストだと思っています。10曲通して聴いて戴いて「あ、今のLACCO TOWERこれなんだ」って思っていただければ幸いですね。

(取材・小池直也)

■「心臓文庫」作品情報

▽発売日:2016年6月8日(水)
▽品番:COCP-39561
▽価格:3,000円(+税)

▽収録楽曲
1. 罪之罰
2. 未来前夜
3. 薄紅
4. 蜂蜜
5. 楽団奇譚
6. 蛍
7. 世界分之一人
8. 秘密
9. 珈琲
10. 相思相逢

全曲作詞:松川ケイスケ/作曲・編曲:LACCO TOWER

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