AquaTimez、10周年の集大成 笑顔と感動に満ちた東京公演

Aqua Timez、ツアー追加公演でのバースデイサプライズ記念撮影
デビュー10周年を迎えた5人組バンドのAqua Timezが、去る5月7日に、Zepp DiverCity TOKYOで『Aqua Timez 47都道府県"Back to You"tour 2015-2016』の追加公演をおこなった。このライブは、昨年11月8日の赤坂BLITZを皮切りに始まった、バンド初の47都道府県を回るツアーの追加公演としておこなわれた。会場には約2000人のファンが集結し、約2時間30分、ヒット曲「決意の朝に」のアカペラヴァージョンなど、アンコール含め全23曲を熱演した。ライブ終了後にはメンバーがバースデイサプライズを敢行し太志(Vo)の36歳を祝った。太志は「36歳になった。年男だ」と少し照れながらも、メンバーと2000人のファンからの祝福に感謝。そして、この日には、新曲である「We must」の配信限定リリースの告知もおこなわれ、笑顔に満ち溢れた公演となった。
"Back to You"オリジナルメドレー
深いブルーのライトが照らされたステージ、バック・スクリーンにはツアーロゴが映し出され、フロアにはすでに隙間もないほどのオーディエンスで埋め尽くされていた。ツアー初日11月の赤坂BLITZ以来、約半年ぶりの東京でのライブ。ツアーを経て進化したであろうバンドの姿を確かめようと集まったファンからは、並々ならぬ期待感で満ちているのが開演前から伝わってきた。
定刻を少々過ぎたところで、mayuko(Key)が原案を作ったというオープニングSE「星に願いを」のメロディーが会場に流れると、そこから<"Back to You”>とコーラスが入ったダンサブルなSEに変貌。そのオープニングSEをBGMにバンドメンバーがステージに登場した。大歓声に包まれる中、楽器陣がスタンバイすると、最後にボーカルの太志がゆっくりとステージに登場。アコースティックギターのアルペジオが流れる中「さあ始めよう」と太志。
オープニングナンバーは「一瞬の塵」でライブはスタートした。オープニングに相応しいアッパーな楽曲で、会場はヒートアップしていく。アグレッシブな中に切なさが同居するナンバーで、1曲目から嫌が応にも体が反応してしまう。太志が「東京到着!」と叫び「ALONES」へ突入。大介(Gt)のソリッドなギターバッキングがZeppに響き渡った。
そして、"Back to You"オリジナルメドレーへ。「massigura」、「鉛色のフィクション」、「Mr.ロードランナー」と次々とファンキーでグルーヴィーなナンバーが演奏されていく。早くも会場のテンションは最高潮へと達しているようだった。OKP-STAR(Ba)のMCから「等身大のラブソング」を披露。裏拍を強調したレゲエ調のリズムが心地よく体にしみこんでいく。オーディエンスも一緒に歌い、ステージとフロアが一体となったライブを展開していく。
フレッシュな気持ちを歌った曲「千の夜をこえて」
太志はMCで故郷である岐阜での友人の話や、熊本・大分での震災への想いを語った。そして、歌詞を少し変えて新曲「We must」を披露。“弱いやつでいてくれよ 友よ”という歌詞が印象的に響くAqua Timezの真骨頂とも言えるミディアムナンバーで、オーディエンスは、太志から放たれる歌とメッセージに耳を傾けた。エンディングでは、鬼気迫る大介の熱を帯びたエキサイティングなギターソロに、会場の視線が集中する。太志は上京してきた時の話を語り、フレッシュな気持ちを歌った曲「千の夜をこえて」を披露。mayukoの奏でるエレピと大介のアコギサウンドに乗って、太志の甘い歌声がzeppに響く。そこにTASSHIのシンバルワークが彩りを添え、OKP-STARの安定したベースが骨格を支える。
「LOST PARADE」では緩急をつけメリハリのある演奏を魅せる。ステージ後方から照らされた太志のシルエットが左右の壁に映る。続いて“本気で生きて、本気で歌いたい"と「生きて」を披露。感情をぶつけるかのように歌い上げる。オーディエンスはその放たれた感情を受け止め、手を伸ばしエネルギーを送り返しているようなカタルシスを魅せた。“素晴らしいもんだろう”と太志が投げかけるとフロアから大歓声が送られた。
年を取ってもピカピカの個性を持っていてほしい
ここでメンバーのMCコーナーへ。大介は「ツアーを回ってきて、バンドの試練もあったし楽しいこともあった、それをDiverCityにぶつけようと思います」と意気込みを語り、mayukoは「昔のパンフレットに書いた47都道府県を回りたいという願いが叶った。ツアーを回ってバンドとしての筋肉がついた」と夢が実現したことを報告。TASSHIは「10年経って、やりたい音楽が出来るようになった」とこの10年間の想いを語った。そして、太志とOKP-STARの漫才のようなやり取りによっで会場の笑いを誘った。OKP-STARに「あのフレーズ聴かせてくれよ」とリクエストする太志。
その太志のリクエストから、OKP-STARのベースが和音を奏でる。始まったのは「Velonica」。EDM風ロックナンバーで後半戦をスタート。ここから「空想楽」、「Fly Fish」、「MILKY BLUES」とハードなアッパーチューンを畳み掛けていく。太志は「最初は自分をさらけ出すために歌っていた。真正面から俺らの音楽を受け止めてくれる人たちを見て、自分たちの音楽でもあるけど、みんなの音楽でもあるんだなと思った。年を取ってもピカピカの個性を持っていてほしい。個性は消すもんじゃなくて磨いていくものだと思う。人生はこれから、個性をどう使うかお互いにこう言えたらいいなと思います」と語ると本編ラストは「because you are you」で本編を終了した。
アンコールでは、mayukoがキーボードでお笑い芸人ヒロシのBGMでおなじみ、ペピーノ・ガリアルディの「Che Vuole Questa Musica Stasera」を弾き、TASSHIのヒロシ風の自虐ネタで会場の笑いを誘った。太志もそのネタの完成度に「良かったよ!」と絶賛。トークコーナーに続いて、ヒット曲「決意の朝に」を5人によるアカペラで、しっとりと歌い、美しいハーモニーがオーディエンスの心を撫でるように、Zepp DiverCityに響き渡る。ラストは希望に満ちたナンバー「虹」で大団円を迎えた。2000人が腕を高く掲げ、手拍子をする光景はまさに絶景。“さあ行こうそれぞれの道を”と希望に満ちた明日へ向かっていく、Aqua Timezの意思表示とも言える楽曲でライブの幕を閉じた。
最後に太志のバースデーを祝うサプライズもおこなわれた。太志は照れながら「36歳になった。年男だ」とコメント。ケーキとともにメンバー、ファンと記念撮影。忘れられない誕生日の一つになったことだろう。47都道府県の大半を周り、半年ぶりに東京に戻ってきたAqua Timezの追加公演は、10周年の集大成でもあり、バンドが新たなステージに進んだと思わせるライブであった。まだまだ進化を続けるバンドの未来は、どのようなものになっていくのだろうか。(取材・村上順一)
セットリスト
Aqua Timez
『Aqua Timez 47都道府県"Back to You"tour 2015-2016』
5月7日 Zepp DiverCity TOKYO セットリスト
01.一瞬の塵
02.ALONES
03.massigura
04.鉛色のフィクション
05.Mr.ロードランナー
06.等身大のラブソング
07.Dab Duddy
08.千の夜をこえて
09.MASK
10.最後までⅡ
11.We must(新曲)
12.Perfect World
13.ギフト(仮)
14.LOST PARADE
15.生きて
16.Velonica
17.空想楽
18.Fly Fish
19.MILKY BLUES
20.because you are you
ENCORE
EN1.決意の朝に(アカペラver.)
EN2.長すぎた夜に
EN3.虹
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