ライブに海外からもファンが駆けつけるガールバンドのAldious

ライブに海外からもファンが駆けつけるガールバンドのAldious

 テレビ東京系で放送されているバラエティ番組『Youは何しに日本へ?』。お笑いコンビのバナナマンが司会を務め、空港で外国人に来日理由を聞くという斬新でユニークな切り口が好評を得ている。

 先月7日に放送された回では、フランスから訪れた外国人男性が、日本の女性バンド「Aldious」が気になって来日したと語っていた。ライブを見たいが、海外ではチケットは販売しておらず。向こう見ずではあるが、衝動に狩られて当日券を求め、公演先の仙台へ。そんな彼の姿を番組が密着、Aldiousの仙台公演に参加するまでを追った。

 そのフランス人男性は、彼女らを「クールで、かっこいい!海外ではみられないバンドだ」と高く評価していた。海外公演も行っていない中で、外国人を虜(とりこ)にするバンドとは一体何なのだろう?こんな疑問の謎解きを図るかのように、同バンドをネットで調べる検索数は放送後に急上昇。一時、キーワードランキングでトップにランクインするなど、話題を集めた。

 海外からわざわざバンドのライブを見るために、日本に訪れるというその根性も脱帽だが、そんな衝動を与えるこのAldiousというバンドにも非常に興味があるところだ。果たしてこのAldiousとはどのようなバンドなのか?以下に紹介したい。

きらびやかなルックスでセンセーショナルなデビュー

[写真]ギャルバンAldiousが放つヘヴィメタ(6)

昨年夏におこなわれた渋谷単独公演のもよう

 まず、Aldiousというバンドの成り立ちなどを追ってみたい。Aldiousは、リーダーでありギタリストのYoshiを中心にボーカルのRe:NO、ギターのトキ、ベースのサワ、ドラムスのMarinaからなる5人組のガールズメタルバンド。

 彼女らの結成は2008年、Yoshiを中心にバンドの初期の形となった。2010年、デビューを果たした際にはそのきらびやかなスタイルから「アゲ嬢(キャバ嬢)メタル」との異名を取り、音楽というジャンルだけでなく様々なメディアで話題を呼んだ。2012年にボーカリストRe:NOが交代、2014年にドラマー脱退し、新たなドラマーMarinaが加入し現在の体制となった。

 これまで5枚のアルバムをリリース、そのどれもがオリコンなどのデイリー、ウィークリーチャートでも上位にランキング。頻繁にワンマンツアーを行うなど、活発な活動でヘヴィ・メタルファンからも大きな支持を獲得、アンダーグラウンドなイメージを持つヘヴィ・メタルという音楽の中で、その存在感は大きなウェイトを占めている。

「究極の旋律」と、独自の世界観が魅力

 Aldiousというバンド名は、「Ultimate Melodious(究極の旋律)」を略して作られた造語。彼女らのサウンドは、その「キャバ嬢」的ルックスとは裏腹に、80年代に多く登場した日本のヘヴィ・メタル・スタイルを踏襲した、攻撃的なサウンドをベースにしながら、そのバンド名が示すように、Yoshiとトキの紡ぎ出すツインリードギターのメロディを多用、メロディを強く印象付けている。

 しかし彼女らの魅力はそれだけではなく、バンドの個性を決定付ける要因はボーカリストのRe:NOによるところも大きい。強靭なノドにモノを言わせ、突き刺さるようなシャウトを繰り出す、そんなスタイルはヘヴィ・メタルの醍醐味ともいえるが、Re:NOのボーカルスタイルは、どちらかというともっとソフトな感じでもある。しかしだからこそ、彼女の歌は轟音が鳴り響くメタルサウンドの中でもしっかり抜けて、聴くものの耳にしっかりとメロディと歌詞を届ける。

 その詞に書かれる世界観も、Re:NO独自の世界観を想像力も豊かに綴ったものであり、唯一無二のものともいえる。前向きなもの、愛を歌ったものといったポジティブなものだけでなく、自己の内面に迫ったような表現を、様々なメロディの妙技とともに表現、テクニックを重視しがちなバンドとは一線を画した道を歩んでいる。

表現の幅を広げ、進化するAldious

 彼女らの特徴は、ガールズであるというステータスによる華やかさと、伝統的なヘヴィ・メタル・サウンドとのギャップであるという者も多い。しかし、彼女らの真の魅力は、そんなヘヴィ・メタルというジャンルや、ガールズという何か特別に囲われた壁を、超越したものではないかとも考えられる。

 超速ツーバスにゴリゴリのギターリフといった典型的なサウンドだけでなく、ボーカルがめいっぱいフィーチャーされたアコースティックなナンバーにも意欲的に取り組んでおり、最新アルバム『Radiant A』ではポップなロックサウンドにチャレンジしたナンバーも作り出し、表現力の幅を広げている。

 もちろん華やかなルックスを生かしたライブパフォーマンスも、観衆の心を掴んで離さない魅力にあふれたもの。他のバンドにはない存在になりつつあるのも確かだ。まさしく一つのアーティストとして確立された存在感を持っている。ヘヴィ・メタルというカテゴライズから見ても秀でた実力を持っているが、それ以外の音楽ファンでも、注目に値するポイントはたくさんある。Aldiousを全く知らなかった人も、だまされたと思って是非一度チェックしてみて欲しい。(文・桂 伸也)

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