尾上松也

 歌舞伎俳優の尾上松也が12日、東京・渋谷のTRUNK(HOTEL)CAT STREETで行われた「SUITS OF THE YEAR 2025(スーツ・オブ・ザ・イヤー 2025)」授賞式に登壇し、「アート&カルチャー部門」で受賞を果たした。

 「THE NIKKEI MAGAZINE」が主催し、今年で8回目を迎えた本アワードは、各界で活躍し、スタイリッシュに「未来のビジネス像」を体現する人物に贈られる。今年のテーマである「サステナブル」のもと、尾上は伝統芸能の継承と革新的な挑戦を続ける姿勢が高く評価された。

 エレガントなスーツ姿で登壇した尾上松也は、クリスタルのトロフィーを手に、喜びをかみしめた。

 「大変栄誉ある賞をいただいて嬉しく思っております。僕自身もだいぶ年を重ねてきたので、より一層スーツが似合う男になっていかなければいけない。さらに身が引き締まる思いです」と、役者としての決意を新たにした。

 MCから「今年印象的だったお仕事は?」と問われると、自ら演出も手掛ける歌舞伎について言及。「23年から演出させていただくようになり、『刀剣乱舞』を手掛けました。今夏に上演した第二弾も、準備期間も含めてかなりの時間を費やしましたので、今年の中でやはり印象に残っていますね。いろんなチャンスを頂けて大光栄です」

 舞台、映画、ミュージカルと活動の幅を広げながら、伝統芸能である歌舞伎の魅力を新しい世代に伝えるために尽力する、尾上の飽くなき探求心が際立ったコメントとなった。

 授賞式後半には、受賞者である尾上、東宝の松岡宏泰社長、獺祭の桜井一宏社長、競泳選手の池江璃花子氏の4名が「サステナブル」をテーマにしたトークショーに登壇。歌舞伎俳優としての尾上の視点が注目を集めた。

 伝統の継承について問われると、尾上は「(獺祭の桜井氏に)共感する」と述べ、自身の思いを語った。

 「歌舞伎には400年以上の歴史がありますが、今こうして歌舞伎ができているのは、先輩たちが繋いでくれたから。この伝統を守るだけではなく、まだ見たことのない方に魅力を伝えるため、今後もいろんなチャレンジをしていきたい」

 古典の精神を重んじながらも、現代に響く新たな表現を追求する尾上の姿勢は、まさに伝統文化における「サステナブル」を体現している。また、「『国宝』という(歌舞伎をテーマにした)素晴らしい映画を作ってくださった」ことに触れ、「歌舞伎座もたいへん盛り上がっております!」と東宝の松岡氏に感謝を伝える一幕もあった。

 授賞式には、尾上のほかにも、日本酒の歴史に新地平を拓いた獺祭・桜井一宏社長(イノベーション部門)、困難を乗り越え競泳界の象徴となった池江璃花子選手(スポーツ部門)、そして大ヒット作を連発しコンテンツ業界を刺激した東宝・松岡宏泰社長(ビジネス部門)が、それぞれスタイリッシュなスーツ姿で登壇し、「2025年の顔」として勢揃いした。

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