ギタリストの弓木英梨乃が11日、都内で開催された『FENDER EXPERIENCE 2025』に出演。”これからギターを始めたい人”に向けたワークショップを行った。「ギターを始めよう!」をテーマに、基礎から楽しみ方まで、初心者でも気軽に参加できる内容で、ギターの魅力を伝えた。

 【写真】弓木英梨乃『FENDER EXPERIENCE 2025』トークセッションの模様

 10月11日、12日、13日に開催の『FENDER EXPERIENCE 2025』では、ジャンルや世代を超えて活躍する注目のアーティストたちが出演。マスタービルダーへカスタムオーダーを行う公開オーダーイベント「MEET THE MASTER BUILDERS」や、自身の音楽人生やアーティスト・バンドとしての歩み、楽器へのこだわりや愛用モデルの魅力など様々なトピックについて語る、ディープな「TALK SESSION」、さらにライブパフォーマンスに加え、トークセッションも交えた「LIVE & TALK SESSION」など、ここでしか見ることができないFender Experience 2025ならではの特別なステージを展開する。

ビートルズから始まったギター道

 弓木がギターと出会ったのは、中学時代に父親が聴いていたビートルズの音楽がきっかけだった。特に「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」に夢中になったという。その後、父親に連れられて行ったトリビュートバンドのライブで、ジョージ・ハリスン役のギタリストの演奏に初めて触れ、「こんな風にギターを弾きたい」と強く思い、ギターを始めたのがその後のキャリアの原点となった。

 最初の練習は、父親に教わった「Let It Be」のC、G、Am、Fといったコード進行だったという。その後、ビートルズの全200曲以上が掲載されたバンドスコアをひたすらコピーし続けたことで、ギターを挫折せずに続けることができたと振り返る。彼女は、ギターを始める人に向けて、「難しいかどうかにかかわらず、自分が好きな曲をまず練習すること」を上達への強い秘訣として推奨した。

挫折を避けるための「追い込み」戦略

 ギターを始めた人のうち9割が辞めてしまうという現実に対し、弓木氏は約20年間継続できた理由を「常に追い詰められている状況があったから」と分析する。ライブのスケジュールや仕事の課題など、乗り越えなければならない壁が常に存在したことが、練習を継続させる原動力となった。

 この経験に基づき、初心者へのアドバイスとして、自分でライブを決めたり、演奏動画を撮って期日までに投稿するなど、「自分で目標を設定し、自分を追い込む」練習法が非常に効果的だと提案した。一方で、毎日多くの時間の練習を義務付けるのではなく、1日5分、10分でもギターに触る時間を作る「気楽さ」も大切だとしている。

フェンダー愛機と音作りの哲学

 弓木氏とフェンダーギターとの関わりは古く、中学生の頃、ギターコレクターであった父親のフェンダー・テレキャスターを弾いたのが最初だという。

 現在、愛用しているAmerican Ultra Stratocaster(R)について、「このギターに出会って本当に人生が変わった」とまで言い切る。愛用の理由は、ネックの握りやすさや、新しいモデルならではのしっかりとした作り。特にリアピックアップがハムバッキングになっており、アームもついているため、「1台で様々なカラーが作れる実用性」と、「引き心地、音、実用性の全てがパーフェクト」である点を挙げた。

 ギター選びのアドバイスとしては、まず予算内で、見た目、引き心地(ネックの感触)、音で「自分がビビッときたもの」を選ぶこと。特に、自分がどんな音を出したいか(シングルコイル系かハムバッキング系か)を考え、ギターの仕組みの知識を持つことも重要だと語った。

焦らず、生涯をかけて楽しむ楽器

 イベントの最後に弓木氏は、これからギターを始める人に向けて力強いメッセージを送った。

「ギターは他の楽器よりもずっと難しいと思う。すぐに弾けるようにならないから辞めてしまう人が多いが、すぐに弾けないと割り切って、気楽に続けることが大事」。自身もヴィブラートの習得に何年もかかった経験を例に出し、ギターは「生涯をかけて成長し続けられる、終わりがない楽器だ」と強調。「焦らず、長く続けていれば、いつか必ず弾けるようになる」と締めくくり、会場から大きな拍手が送られた。

弓木英梨乃プロフィール

 2歳半からヴァイオリンを始め、音楽のキャリアをスタートさせる。13歳の時にビートルズの影響を受けギターを始める。2009年、シンガーソングライターとしてメジャーデビュー。2013年、KIRINJIに加入し、ギター、 ボーカル、バイオリンを担当。また、さまざまなアーティストのライブサポートやレコーディング、楽曲提供、アレンジ制作も行う。2021年よりNHK Eテレで放送中のアニメ「チキップダンサーズ」のオープニングテーマ、ナレーションを担当中。2021年、マレーシア・クアラルンプールの音楽大学への留学を発表。帰国後も幅広い活動やYouTubeでの動画投稿を通じて、ギターの可能性を探求し続けている。

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