妻夫木聡&窪田正孝『宝島』全国キャラバン、大阪の地で「たぎれー!」
映画『宝島』<大阪キャラバン> 舞台挨拶
妻夫木聡、窪田正孝、大友啓史監督が4日、大阪市内で行われた映画『宝島』<大阪キャラバン> 舞台挨拶に登壇した。
9月19日の全国公開に向け、6月7日に実施された沖縄プレミアを皮切りに遂に本格始動した映画『宝島』全国キャラバン。第六弾では、妻夫木聡、大友啓史監督に加え窪田正孝が参戦し、大阪を訪問。<大阪キャラバン>が開催となった。
様々な感情とともに映画の余韻に浸る観客の表情を確かめた妻夫木は、「この大阪で 6 か所目になる全国キャラバンですが、行く先々で『宝島』の輪が広がるのを実感しています」と感慨深げに挨拶。また窪田が登場すると沸いた会場を見ながら、「キャーって言われてたよ。顏小さいって言われてたよ?」と妻夫木が窪田にすかさずイジリを入れ、和やかな雰囲気で舞台挨拶はスタートした。
MCから妻夫木に「大阪にいらっしゃるのは久しぶりですか?」という質問が投げかけられると、妻夫木が「大阪は結構久しぶりですね…」としみじみ。続けて「大阪の雰囲気はいかがですか?」と聞かれると、「本当の話してもいいですか?今朝からこのビルでずっと取材をこなしていたので、大阪に来てから一歩もこのビルから出てないんですよ!大阪の空気を吸えているのかどうか分かりません(笑)」と冗談めかしながら、ハードスケジュールのなか宣伝アンバサダーとしての仕事を全うしていることをアピールした。
トークセッションでは、会場に集まった観客からの生の質問・感想が3人にぶつけられた。映画上映後から舞台挨拶開始までの短い募集時間に、なんと約250通もの質問・感想が寄せられるなか、自分の中に巻き起こった感情や疑問をどうにか伝えたい、という観客の想いを感じ取った3人。
まず、「この映画を観ているのといないとでは、人生観が大きく変わる!そんな作品でした!」という感想が読まれると、3 人は感激の表情で質問者を探し呼びかけ、大友監督が「アメリカ統治下の沖縄の方々がどういう想いで生きていたのか、想像しようと思っても中々出来ない。それをスタッフキャスト一丸となって探り当てる作業をしながらこの映画を作りました。それを共有しているような気がしてとても嬉しいです」という言葉で感謝を伝えた。
また、妻夫木への「一番印象に残るシーンは?」といった質問には、思案した後に、「(窪田演じる)レイとの二人で想いをぶつけ合うシーン」と答え、「台本に書いてあることだけじゃない何かが生まれた。窪田君がレイをやってくれたからグスクとしての世界が広がったのかな。レイとグスクの歴史が走馬灯のように見えたし、それは窪田君だったから出来ました」と妻夫木が窪田を激賞。
対する窪田も、「光栄です」と返し、「この作品の座長をやることはたぶん相当な重圧。歴史を背負って、事実を背負って、スタッフやキャストの想いも全部ぶつける気持ちが感じられた。だから、この人には全力でぶつかる以外に方法はなかった。ここで泣こうとかここで叫ぼうとか考える余裕も無くて、生き物のように変わっていくシーンでした」と力説。お互いがこの人とだから、と本気で思い合える二人の関係に会場は大きい拍手に包まれた。
続いて、「窪田さんにとっての正義とは?」という質問が飛ぶと妻夫木も思わず「難しいね…!」と苦笑。窪田は少し考えてから、「自分の意見が間違ってると思って口にする人はいない。それはその人にとっての正義だから。でも自分の意見に対して反対の立場になったら、悪になってしまう。例えば悪役を演じる時も悪役だと思って演じていない。その人にはその人の信念があって、その人なりに世の中を変えようとしている。グスクとレイみたいなものだと思うから、世の中は正義で溢れている。でもそこに残る真実は一つな気もしています」と答え、素晴らしい返答に監督と妻夫木は拍手を送った。
さらに、「暴動のシーンでは、どのような気持ちで演じていたのですか?」という妻夫木への質問には、「実際に騒動に参加していた人に、怒りという言葉だけでは終わらせてほしくないと言われた。怒りだけではない“何か”とは何なんだろうと、混沌とした中で色々な人の感情が混ざりあって大河になり、終わってみたら俺たちはここに生きているんだ、という魂の叫びだったのかなと思う。言葉にならないものを表現しようとしていたので、ハッキリ言えないのがもどかしいです」と熱を帯びた言葉で訴えた。
後半では、沖縄出身の方から「まずはこの宝島を映画化してくださったことに感謝しています。戦時中から戦後の過酷な時代を逞しく生きてきたであろう祖父母を思い出し涙が止まりませんでした。繋いでくれた命に感謝して生きていきたいと改めて思いました」という感想が読まれる場面も。
一同喜びの表情を浮かべるなか、大友監督は、「今の世の中で何を大切に生きていくのか、沖縄という島やこの物語の中に沢山ヒントがある気がする。沖縄の人達があの時代に何を守ろうとしていたのか、今確認することがすごく大切なのかなと思う。映画の世界に入りこんで、『宝島』の“宝”って自分にとって何なんだろうと考える事が、あの時代を生きた人への敬意であるという気がしています。この映画が沖縄の皆さんの気持ちを繋ぐ役割になれるならそれが一番嬉しい」と、この映画が担わなければいけない役割を明言し、その覚悟を見せた。
最後に、窪田から「映画を通して、改めて日本の歴史を感じて、原点に帰れたらもう一度生き方を見つめ直すきっかけになる。一人でも多くの人に観て欲しい」、妻夫木から「過去を描く事は未来への問いかけ。僕は映画の力を信じたいし、映画を観た後の景色がちょっと違うんじゃないかな、という事を信じたいです。今一度みんなで手を取り合って希望ある未来を描いていければいいなと思います」と、それぞれの熱いメッセージで締め括った。
大盛況のイベントも終わりの時間が近づきフォトセッションタイムに。満席の観客は妻夫木、窪田、監督の「たぎれ!!大阪――!!!」という掛け声で絶叫し、感情を爆発させた。

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