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佐藤新(IMP.)と渡邉美穂がW主演を務める映画『青春ゲシュタルト崩壊』が、6月13日に公開。佐藤は人一倍“痛み”に寄りそえる高校2年生の朝比奈聖、渡邉はある日、自分の顔が認識できない“青年期失顔症”になってしまう間宮朝葉を演じる。本作は小説コンテスト「野いちご大賞」で、第5回大賞作品となった丸井とまとの小説が原作。脚本はドラマ「Eye Love You」を手掛けた三浦希紗氏、若手の鯨岡弘識監督がメガホンをとり映画化。個性を押し殺して他人に合わせることで、自分を見失う「青年期失顔症」に悩む少女が、聖や人との出会いをきっかけに成長していく物語だ。インタビューでは、佐藤と渡邉に刺激的だった撮影の裏側や、生きがいにしていることを聞いた。
映画初主演で緊張「ずっと心臓がバクバク」(佐藤新)
――完成した作品をご覧になっていかがでした?
佐藤新 僕は初めての映画主演ということもあり、いよいよこの作品が世に出ていくんだと思いました。まだ公開前にもかかわらず、初号試写を観ただけで心臓がバクバクして、 その感覚のまま上映時間が過ぎました。いまやっと主演の実感が湧いてきて、少し冷静に見られるようになってきました。
渡邉美穂 今まで私は明るくて天真爛漫なキャラクターの役を演じることが多かったので、それとはまたちょっと違った役柄でワクワクドキドキでした。等身大の10代の女の子が抱える悩みや、人間関係でぶつかったりするような役は初めてで。朝葉は、いま10代の女性はもちろん、かつて10代を通ってきた皆さんも共感できるタイプの女の子だと思います。声色などを自分なりに変えたので、完成した映像を見ると、これまでの自分とは全然雰囲気が違うなと感じ、また新しい自分を見ているような気分になりました。
――W主演ということで、お互いの座長っぷりはいかがでしたか。
佐藤新 渡邉さんは本当に周りを広く見ているなと思いました。滝沢(秀明)社長に「座長をやる時は常に周りを見なければダメ、自分のやるべきことだけじゃなくて、ちゃんと周りを見て、仕事しなければいけない」というのを言われ続けていたのですが、僕は目の前のお芝居に必死になってしまったところがありました。渡邉さんは周りのスタッフさんへの気遣いだったりとか、こういうところが座長には必要なんだなと、僕も初めて映画の主演を経験して、学ばせてもらいました。とても感謝しています。
――役に集中してしまったと言っていますけど、渡邉さんから見た佐藤さんはいかがでしたか。
渡邉美穂 全く仰っていたようなことはなく、佐藤さんは周りの方、共演者の方とたくさんコミュニケーションを取っていました。カメラの回っていないところでの関係性って撮影に影響すると思っていて、聖と朝葉が実際に存在しているような自然なお芝居ができたのも、カメラが回ってないところで、佐藤さんがお話を一緒にしてくれたことが、現場にいい影響をたくさん与えてくださり、素晴らしい座長だと思いました。緊張していたとおっしゃっていますが、そんなことを全く感じさせないくらい、どっしり構えていて「ポーカーフェイス」なんだなと思いました(笑)。
佐藤新 「常に堂々としていなさい」と滝沢社長から言われていたので、そこは頑張って、そう見えるように振る舞っていました(笑)。特に初日はかなり緊張していましたね。プロデューサーさんやスタッフさんから、「もっと力抜いていいよ」と言われたり、緊張しているのがバレバレでした(笑)。
――さて、それぞれ演じた役をどう捉えていましたか。
佐藤新 僕が演じる聖は、朝葉よりも自分の考えをしっかり持っているタイプだと思いました。学生時代の自分というよりは、今の自分に近い部分がある気がします。自分の考えがはっきりしていて、「こう思うなら、こうすればいい」と、すぐに行動に移せるところは、聖と似ている部分かもしれません。友達との人間関係に悩むような経験は、学生時代に僕自身もたくさんしてきたので、当時の気持ちと、今の自分の変化の両方を照らし合わせながら、そのときの感情を思い出して、自分なりに聖を演じていました。
渡邉美穂 私は朝葉と似ている部分たくさんありました。中でも共感したのは、朝葉がストレスによって自分の顔を認識できなくなる“青年期失顔症”を発症して、周りを気にして、なかなかカミングアウトができない状態になるところです。かつての自分も仕事やプライベートで抱えている悩みを誰かに言えるタイプではなく、特に家族とか 1番近い人たちほど話しづらいと言いますか…。
――それ、わかります。
渡邉美穂 親は自分の子どもが健やかに育ってほしいと願うものだと思うので、自分がいまツラいという気持ちを打ち明けたら、ショックを受けるんじゃないか、失望させてしまうんじゃないかと思い、なかなか話すことができませんでした。朝葉もなかなか自分の本音を言えないところは、過去の自分と重なるなと思いながら演じていました。ただ、今の私は打ち明けることができるようになりました。
――きっかけはあったんですか。
渡邉美穂 母に思い切って悩みを打ち明けたことがきっかけです。芸能界というたまたま特殊な仕事ではあるものの、社会に出て働いている身として、母に共感してもらえるところがたくさんあったので、相談することが思っていたほどハードルが高くなかったことに気づきました。そこからは仕事で行き詰まったり、悩んだりしたら、気軽に相談できるようになったので、思い切って話してみるって意外と大事だなと思いました。
自分の感情をコントロールできなくなる瞬間があった(渡邉美穂)
――名言のセリフが多い作品だなと思いました。お2人が印象に残っているセリフはありますか?
渡邉美穂 朝葉の「これは選択です」というセリフです。自分の道を決断していく中で、言い切るところが大好きで、自分でもセリフを言いながら「そうだよ。その通りだよ」と思っていました。今まで続けてきた何かを一旦中断したり、方向性を変えたりすると、人によってはそれを諦めと捉える人もいると思います。本人はただ選択をして別の道に進むことを選んだだけで、決してネガティブなものではないということに気づかされました。あの一言にその強さが詰まっていると思いました。
佐藤新 確かに「これは選択です」というセリフは、『青春ゲシュタルト崩壊』の本質と言いますか、それぐらい確信をついているセリフだと思います。聖も選択をして、自分の悩みと向き合う未来を選びましたから。
渡邉美穂 逃げたわけではないんだって。それを当事者が言えるというのが素晴らしいなと思いました。
――お2人が撮影していく中で刺激的だったシーンはありますか。
佐藤新 ピンチの朝葉を助けるシーンがあるのですが、撮影前に別の場所を借りて、しっかり練習を経て、本番に臨んだものの、現場はけっこう大変で、とても刺激的でした。
渡邉美穂 想定外のことがあって、パニックになって(笑)。
佐藤新 僕が助けなければいけないのに、僕も一緒にピンチになってしまって(笑)。
渡邉美穂 「よーいスタート!」で2人ともピンチになるっていう(笑)。一番フィジカルが大変だったシーンなので、ぜひ映画館でそのシーンを探してみてください。
――渡邉さんは刺激的だったシーンは?
渡邉美穂 いまお話ししたシーンはもちろんなのですが、私は泣くシーンが多かったので、そこも印象に残っています。自分の感情をコントロールできなくなる瞬間があって、カットがかかっているのに、なぜか涙が止まらなかったことが一回ありました。あの時は「待って、自分どうなってるの?」と、自分が“ゲシュタルト崩壊”しました。
――役に入り込みすぎてしまった瞬間だったんですね。
渡邉美穂 そうだと思います。朝葉はもっとツラかったんだろうなとか思って、感情移入してしまいました。
佐藤新 そのシーン、間近で見ていたのですが、圧巻でした。これがプロのお芝居なんだと、口がポカーンと開いてしまうほど、すごいと思っちゃって。
渡邉美穂 嬉しい!
佐藤新 感情のリミッターがいい意味で外れる、感情を解放できるのは俳優としての武器だと思っていて、僕も今ほしい要素の1つなんです。僕もこうなりたい、こういうお芝居もできるようになりたいと強く感じました
2人の生きがいになっていることとは?
――主題歌を担当されたマルシィさんの「青空」を聴いていかがでした?
佐藤新 当たり前のことですが、主題歌も含めて映画なんだなと改めて思いました。メロディもとても綺麗で、一筋の光が差し込んでくるような、そんな儚くも希望に溢れたメロディで、『青春ゲシュタルト崩壊』を華やかに彩ってくださって、とても映画にふさわしい曲だなと思いました。
――佐藤さんはマルシィさんの曲は聴きますか。
佐藤新 はい。SNSとかで流れてくるのでよく耳にしていました。なので、主題歌をマルシィさんに歌っていただくと知ったときは、とてもびっくりしました。また、デモ段階で聴かせていただいたのですが、すごい素敵で驚きました。
――渡邉さんは「青空」を聴いてどう感じましたか。
渡邉美穂 聖と朝葉、作品に登場するみんなの未来が明るいものであってほしい、という希望が込められていると思いました。映画を観終わった後に温かい気持ちになれる楽曲でした。脚本だけではなく原作も読み込んでいるからこその、歌詞とメロディーで、マルシィさんの凄みを感じました。ぜひエンドロールの最後の最後まで楽曲とともに余韻に浸っていただけたら嬉しいです。
――お2人が印象に残っている選択をした瞬間は?
渡邉美穂 アイドルを卒業するという選択は、自分の人生に大きな影響を与えたと思います。もちろん、私の決断に対して寂しさや少し悲しい気持ちを抱いた方もいたと思いますが、私自身は「次に進むための選択だった」と捉えています。この映画にも通じるものがありますが、人生にはいくつか分岐点があって、そのとき自分はこっちを選んだだけなんです。アイドルを卒業してお芝居に集中したいと思ったあの決断は、自分にとって間違いなく大きなターニングポイントでした。事務所を移籍するなど環境の変化もありましたが、新しい場で新しい自分を見せられる、そんな充実した人生になっていると感じています。
佐藤新 渡邉さんと比べると全然重くはない選択なのですが、スイカです。一般的な値段のスイカ一玉とその隣にその 3 倍以上の値段のスイカがあって、どっちを選択しようと迷いました。お仕事頑張ったし、自分へのご褒美で高級なスイカを購入しました。冷蔵庫で冷やして、「よし、食べよう!」と包丁でスイカを割ったら、なぜか中身が、ほとんどなかったんです...。意を決して選択したスイカでしたが、そんな時もあるなと自分に言い聞かせています。思い切って高級スイカを買った自分の勇気を讃えたいです(笑)。
――(笑)。最後に聖は水泳、朝葉はバスケと生きがいにしているものがありますが、お 2人が生きがいになっているものはありますか。
渡邉美穂 私、熱々のお風呂に入って、温かいお布団で寝ることが今の生きがいなんです(笑)。特に睡眠の大切さを実感しています。体が元気だと、心も自然と元気になります。体調を崩したときに改めて、体の健康が心の健康と直結していることに気づきました。それからは、しっかりお風呂に浸かって、ふかふかのお布団で眠ることが、毎日の大切なタスクになっています。こういう基本的なことって、意外とおざなりにしがちで、ソファで寝落ちしてしまったり、「風呂キャンセル界隈」なんて言葉も最近ありますけど(笑)、健康はすべてに繋がると思います。ちゃんと生活のリズムを整えてあげることで、メンタルも保てるし、自分の機嫌もちゃんと取れます。
佐藤新 ステージです。僕はステージに立つことが大好きなんです。自分の体が動く限り1 回でも多くステージに立ちたいと思っています。自分が歌ったり踊ったりして歓声が聞こえてくると、僕は生きているんだなと実感します。最近も東京ドームでTOBEファミリーとライブを行ったのですが、「自分は生きてる!」と思いました。今、自分がやっていることは自身にとって生きがいになっています。
(おわり)
■佐藤新
スタイリスト
山本隆司(style3)
ヘアメイク
大森創太(IKEDAYA TOKYO)
■渡邉美穂
スタイリスト
コギソマナ(i o)
ヘアメイク伴まどか
【衣装】
ブラウス44000円,レイヤードパンツ52800円/MUVEIL
イヤリング12100円/アビステ 右手リング[参考商品],左手リング35200円
GiN サンダル26400円/銀座かねまつ6丁目本店(銀座かねまつ)
▽お問い合わせ ・アビステ 03-3401-7124 〒107-0062 港区南青山3-18-17 エイジービル ・GiN http://ginjewelrytokyo.com 〒190-0031 立川市砂川町1-51-1クリスティアーネ202 ・銀座かねまつ6丁目本店 03-3573-0077 中央区銀座6-9-9 ・MUVEIL 03-5615-8605 〒113-0033 文京区本郷3-21-8 ケイアイビル7F
作品概要
◎タイトル:『青春ゲシュタルト崩壊』
◎出演:佐藤新(IMP.) 渡邉美穂
田辺桃子 新井美羽 水橋研二 濱田龍臣 藤本洸大
戸田菜穂 / 瀬戸朝香
◎原作:丸井とまと「青春ゲシュタルト崩壊」(スターツ出版刊)
◎脚本:三浦希紗 ◎音楽:牧戸太郎 ◎監督:鯨岡弘識
◎企画・プロデュース:横山祐子
◎プロデューサー:伊藤聖
◎配給:NAKACHIKA PICTURES
◎制作プロダクション:AX-ON
◎公開表記:2025年初夏 公開
◎コピーライト:Ⓒ映画「青春ゲシュタルト崩壊」製作委員会
■ストーリー
ある日突然、【青年期失顔症】を発症してしまい、周囲に知られてしまうことを恐れた朝葉は誰にも言えず1人で悩んでいた。そんな、朝葉の異変に気が付いたのは、唯一、同級生の聖だった。聖は朝葉に「今までと変えなくていいの?」と問いかける。彼に振り回されながらも、朝葉は本当にやりたいこと、好きなことは何か、自分自身を見つめ直しはじめ、次第に聖の存在が朝葉の中で大きくなっていく。同じく聖も朝葉と一緒にいるうちに、ずっと抱えていた“あること”に向き合うように・・・。
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