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俳優の寛一郎と三浦透子が、フジテレビと米エンターテインメント企業のスカイバウンドが共同制作するFODドラマ『HEART ATTACK』(3月20日配信)にダブル主演として出演。寛一郎は不条理の世界で自由を求める超能力者のウミン、三浦はインフルエンサーユニット“L”のメンバーで、本作のヒロインのエマを演じる。本作は、スカイバウンド社のグラフィックノベル『Heart Attack』を実写化した作品で、世界的にヒットしたアメリカンコミックが原作となっている。政府が人権を否定するほどの特殊な力を持つ「ヴァリアント」と呼ばれる超能力者が存在する、パンデミック後の世界を描くSF作品。インタビューでは、挑戦だったと話す撮影の裏側、刺激的だったシーンについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
自分がSF作品をやる時が来た
――寛一郎さんは脚本を読まれてどんなことを思いましたか。
寛一郎 まず、ついに自分がSF作品をやる時が来たのかと思いました。
――時代劇への出演も多かった印象です。
寛一郎 そうなんです。いろいろなドラマや映画を観てきて、こういったSFはあまりなかったですし、自分が『HEART ATTACK』のような作品に出演したらどうなるんだろう、と思いました。
――三浦さんは脚本を読んでどんな感想を持ちましたか。
三浦透子 実現するのがすごく難しい作品だなと思いつつ、楽しく読ませていただきました。設定はSFですが、SFだからこそ描ける今を捉えた作品という印象も受けました。エマやウミンのようなヴァリアントはその能力によって差別を受けています。現代でも、様々な理由で差別を受けている人がいて、その違いをどうやって受け入れていくかというのは、この現実社会でも、みんなが考えるようになった時期なのではないかと感じています。
――台本を何回も読まれると聞いたのですが、8話もあると大変ではありませんでしたか?
三浦透子 読む回数が大事なのではなく、どれだけ浸透するかが重要なんです。言語化するのが難しいのですが、浸透度合いと言いますか、1 回、集中して読んで到達できる場所と10回読んで到達できる場所は一緒かもしれないし、回数にこだわっているわけではないんです。私の理解度の問題でどれぐらい理解が高まるかを考えています。今回は細かな設定と私の理解に間違いがないか、情報部分の精査が特に必要な作品でした。
――過去のインタビューで、作品に出演すると常に学びがあるのが楽しい、とおっしゃっていたのですが、今回どんな学びがありましたか。
寛一郎 たくさんありました。まず映画の台本とドラマの台本というのはけっこう違います。映画ってどこか1本の線がつながった感覚があって、2時間ものだとしたら、通常のドラマより時間も短いし、台本のページ数も少ないので自分の中に浸透しやすいのですが、今回のようなドラマ8 話分の台本を全て理解した上で浸透させていく、というのは時間が足りない部分もありました。回数もそうだと思うのですが、1回読んだだけでは難しいと感じました。それを考える時間であったり、間も必要だと思います。1日あけて脚本を改めて読んでみたら全然違った、みたいなこともあります。こんなすごいドラマは初めてですし、全8話続ける持久力とその8話がしっかりつながるようにしなければいけないなど、自分の中で課題に感じることも多くありました。現場では監督、スタッフさんと相談して試行錯誤しましたが、自分の反省点も含め、色々学ぶことは多かったです。
――丸山健志監督とはどのような会話をされましたか。
寛一郎 一番に役、その次に主演として全体のことを考えていたのですが、そうなった時に全体のバランスと役との解離が起きてしまうことが多々あります。このシーンはこう思う、こうしたいといったディスカッションを監督としました。例えばウミンがスパイだと明かされて、話が急展開していくシーンが前半にあるのですが、そこは一度ブレイクしてしっかり話しました。
――三浦さんは現場での話し合いなどで印象的だったことは?
三浦透子 演じる役を魅力的に見せていくにはどうするか、という話をしました。物語を展開させる上で必要な脚本の筋と、登場人物の心の筋のようなものがあって、それを両立させるのが難しかったです。脚本の流れを成立させる為に矛盾を受け入れすぎてもいけないし、この役はこうはしないだろうと頑なになりすぎてもいけない。特にそれぞれのキャラクターを作り上げていく段階では、皆さんに愛していただけるよう、より丁寧にやっていこうと意識していました。
――お二人の関係値もとても重要になってきますよね。
三浦透子 はい。なので現場ではコミュニケーションをしっかり取りながら進めていきました。
――ところで、お二人は同じ事務所に所属されていますが、以前から面識はありましたか。
三浦透子 初めての共演で、実は会うのもこの作品が初めてでした。でも、なぜか昔から友達だったかのような感覚がありました。
寛一郎 同じ事務所だからなんとなく距離を近くに感じていたかもしれない。いま改めて撮影の日々を振り返っても、だんだん打ち解けていく過程を思い出せないぐらい、昔からの知り合い感がありました。
新鮮だったグリーンバックでの撮影
――お二人が撮影で刺激的だった、印象的だったシーンは?
寛一郎 手をつないでウミンとエマだけが異世界に飛ぶようなシーンです。撮影前半で手をつなぐところまで撮って、後半で手をつないで異世界に飛ぶシーンをグリーンバックで撮りました。僕も三浦さんもグリーンバックを使って演技をしたことはなかったので、「ここは異世界です、いまは何もないけど驚いた表情をしてください」と言われたときは、役者って大変だなと思いました(笑)。
三浦透子 ハリウッド映画ではほとんどのシーンをグリーンバックで撮影することもあるみたいで、そこで演技をするのは本当にすごいなと思います。
――CGもすごくリアルでしたよね。
寛一郎 丸山監督のセンスがすごいです。
――三浦さんが刺激的だったシーンは?
三浦透子 刺激的といえば、身体が痺れるシーンがあって...。
――拷問されるシーンですね。
三浦透子 はい。脚本を読んで、私がもともと想像していたものを良い意味で裏切られました。収容される場所の狭さとか色味だったり、拷問器具の質感など、実際のセットが想像とはまったく違っていて驚きましたね(笑)。それがとても刺激的でした。
――観ている側もとても刺激的なシーンでした。また、私は三浦さんが涙を流すシーンもグッと来ました。
寛一郎 あの涙、流石ですよね。
三浦透子 ありがとうございます。想像で補うところがとても高い作品で、表情とかも自分の中で俯瞰して想像して、リアクションすることが多かったです。セットやロケーションの力、シリアスな雰囲気など周りの方に助けていただきながらやっていました。また、監督の描くビジョンを信じて、信頼しながらお芝居をすることができました。
――最後に本作の撮影を経て、役者として新しい扉は開かれましたか?
三浦透子 新しい扉が開けたかはわかりませんが、私にとってこの作品は挑戦でした。自分にオファーが来るというのも意外で、とても嬉しかったです。本格的なSFに参加したことはなかったですし、また同世代の役者がたくさん集まるような作品に出演することも多くなかったので、とても新鮮な現場でした。
寛一郎 僕も挑戦でした。完成した映像を見た後、新しい扉が開けたという感覚がありますが、やっている最中は無我夢中でした。SFを何度も経験しているような俳優さんだったら、余裕を持ってできると思うのですが、僕は新しい世界を作っていくのに、これでいいのかな? という不安、そして新しいことへ挑戦できる期待、それらを同時に抱えながらやっていました。この作品で学んだことが、きっと別の現場で活かされるときが来ると思いますし、『HEART ATTACK』は、僕の中でそういう作品になっていると思います。
(おわり)
ドラマ『HEART ATTACK』(全8話)
FODにて全話配信中
出演:寛一郎、三浦透子
水間ロン、早乙女太一、向里祐香、SAKURA、めがね、阿部久令亜
白宮みずほ 詩羽 山田健人 松浦りょう 米本学仁 清水くるみ 富田健太郎 ピエール瀧
三浦誠己、村上淳、西田尚美、岸谷五朗 ほか
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