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今も人気を集める河合奈保子

 80年代から90年代にかけて、松田聖子と人気を二分したアイドル歌手の河合奈保子が今月1日にデビュー35周年を迎えた。97年の活動休止から今もなお表舞台から遠ざかったままだが人気は衰えていない。なぜだろうか。

 1980年に「第1回秀樹(西城秀樹)の弟・妹コンテスト」でグランプリを受賞。同年6月1日に「大きな森の小さなお家」で歌手デビューした。

 その後も「スマイル・フォー・ミー」「エスカレーション」「UNバランス」「ハーフムーン・セレナーデ」などのヒット曲を連発。キュートな表情と抜群のスタイル、そして歌唱力でトップアイドルに。音楽面ではシングル20作、アルバム19作がオリコンでトップ10入りを果たしている。

 1980年代後半からは、シンガーソングライターとしても才能を発揮。NHK紅白歌合戦には、1981年から6年連続で出場している。私生活では、96年にヘアメイクアップアーティストの男性と結婚し、翌年に第1子出産を機に芸能活動を停止した。この間、楽曲制作(提供)を行っているが、表舞台からは遠ざかったままだ。

 活動停止から約18年が経過しているが、ファンの熱意は冷めない。それが物語るように、2001年から定期的にベスト盤やコレクション盤が企画され、これまでに8枚が発売されている。そして、2012年には映像ソフト6作品がDVDとして復刻され、このうち5作品が同年12月3日付オリコン週間音楽DVDランキングでトップ30入りした。

 それから遡ること6年、2006年には、自宅のリビングで録音したというオリジナルのピアノインストルメンタルを音楽配信限定で発売。iTunes Music StoreのToday’sトップアルバムでベスト10入りするなど、ファンの間で大きな話題となった。

 この反響に、河合は公式サイトで「iTunesのレビューコメント、そしていろいろな場所でのみなさんからの心温まるメッセージを拝見させていただきました。長い期間にわたり、表だった活動もまったくと言っていいほどしていないのにもかかわらず、私に対して静かに見守って下さり、そして温かく支えてくださっている方々がいてくださるということは本当に私自身とても心強く感謝の言葉しかみつからないです。心から本当にありがとうございます」とコメントしている。

 そして今年はデビュー35周年。かつての所属レーベルである日本コロムビアが、35周年を記念したCD2枚組メモリアルアルバムの発売を決めた。特設サイトでは、収録曲のリクエストの募集を開始。CDの1枚目はシングルA面曲の中から人気投票で上位になった18曲を収録。2枚目はアルバムやB面曲の中からのリクエスト曲17曲を収録し、合計で35曲を収録予定だという。

 35周年の発売を決めた背景には、周年を祝おうという気持ちだけではないようだ。関係者は、復帰の可能性については「答えられない」としたが、河合作品が定期的にリリースされている背景に「ファンの声が大きく影響されています」と説明。

 更に、「表舞台には出ていませんが、復刻版やベスト盤がリリースされている通り、活動を全く行っていないわけではありません。定期的に発売される作品を通して届けられる歌声。それがファン皆さんの心に彼女の存在があり続けられている要因かもしれません」と語っている。

 一時期的に芸能界を離れるも、その後復帰するアイドルも多い。ただ、表舞台に18年も出ていないなかで、今だに愛され続けているのは珍しいことだ。先輩歌手では山口百恵もそうといえる。ちなみに山口百恵は、河合がデビューした年の12月に引退している。

 活動休止や引退などで長らく表舞台から遠ざかっていても今だに人気が衰えない現象はなにも、アイドルに限ったことではなくバンドでも言えることだ。例えば、氷室京介や布袋寅泰などがかつて所属していたBOΦWYは解散以降、一度も再結成していない。同じ時代のバンドが活動再開しているなかでは珍しい。逆にそれが彼らを“伝説のバンド”として祭り上げられている一つの要因ともなっている。

 河合のファン層の多くは現役を知る当時からのファンだという。80年代や90年代にヒットした楽曲が、再びヒット(再注目)するリバイバル現象も起きているなかで、河合奈保子、河合作品の輝きは、どういうカタチで次代へと受け継がれていくのか。ファンの声がダイレクトに反映される今回の“リクエストアルバム”は一つの道しるべとなりそうだ。(文・木村陽仁)

<参考>河合奈保子と同じ年にデビューした主な歌手と楽曲

岩崎良美「赤と黒」
シャネルズ(=ラッツ&スター)「ランナウェイ」
佐野元春「アンジェリーナ」
HOUND DOG「嵐の金曜日」
松田聖子「裸足の季節」
松村和子「帰ってこいよ」
もんた&ブラザーズ「ダンシング・オールナイト」
村下孝蔵「月あかり」
柏原よしえ「No.1」
田原俊彦「哀愁でいと」
甲斐智枝美「スタア」
浜田朱里「さよなら好き」
石坂智子「ありがとう」
H2O「ローレライ」
山下久美子「バスルームから愛をこめて」
三原順子(=三原じゅん子)「セクシーナイト」
横浜銀蝿「横須賀Baby」
雅夢「愛はかげろう」
近藤真彦「スニーカーぶる〜す」

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