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仲吉玲亜が、映画『水深ゼロメートルから』(公開中)に出演。仲吉は、濵尾咲綺、清田みくり、花岡すみれと共にメインキャストの一人として、悩みを抱える高校2年生のミクを演じる。原作は第44回四国地区高等学校演劇研究大会で最優秀賞の文部科学大臣賞を受賞した舞台劇で、2021年に「劇」小劇場で上演された。『アルプススタンドのはしの方』に続く高校演劇リブート映画化企画第2弾として、当時・高校2年生の中田夢花が顧問の先生と相談しながら丁寧に紡いだ繊細な戯曲を自身で脚本化 。『カラオケ行こ!』『天然コケッコー』『リンダリンダリンダ』 を手がけた山下敦弘監督を迎えて映画化した青春群像劇。2021年の舞台公演でミクを演じた仲吉に、舞台に引き続き出演が決まった時の心境、改めてこの作品から何を感じたのか、また俳優としての今後の展望について話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)
舞台とは見せ方が変わった映画版『水深ゼロメートルから』
――舞台を経て、『水深ゼロメートルから』映画化のお話を聞いたときはどう思いました?
すごく嬉しかったですし、舞台と映画でどれだけ変わるのかなど、想像するのも楽しみでした。
――舞台と映画で変わった部分は?
映画ならではのストーリーだったり、人の心境がより分かりやすくなっています。その中でココロと言い合いになるシーンがあるんですけど、舞台では熱量がすごくて、それに合わせてミクも熱い感じで演じていたのですが、映画では我慢するといった演技だったので、芝居として大きく変わりました。セリフ自体も変わって、心情に合ったセリフにしていくために舞台のときよりも省いたり、逆に新しくつけ加えたりしたので、脚本はほぼ一緒なのですが見せ方が変わりました。舞台を観たことがある方は、変化を感じてもらえると思います。
――改めてミクを演じるにあたり大変だったことは?
私の性格的には舞台版のミクの方が似ていて、映画版のミクはちょっとおとなしくて、気持ちを溜めるといいますか、溜めて溜めて最後に頑張るようなキャラクターなんです。普段の私とは対照的な役だったので、役作りや心境を考えることに苦戦しました。
――ココロ役の濵尾(咲綺)さんは前回から一緒ですが、改めて役についてお話しされたりも?
はい。泊まり込みの撮影だったので、撮影前日の夜にどうしたらお互いがやりやすいか、ミクらしさ、ココロらしさが出るかなど話し合いました。
――ロケはいかがでした?
現場に入ってからもセリフを削ったり、何回もやってなじませていくような感じでした。舞台ではプールはセットでしたが、映画では本物のプールを使用したので、セリフが思ったより聞こえなかったり。でも、大声で言ってしまうと、ミクらしさがなくなってしまう部分もあったので、そういったところを調整しながらの撮影でした。
子供だけの悩みじゃないんだと感じた
――本作はそれぞれが抱える問題や悩みに対しての葛藤がありますが、舞台から約2年間を経て、作品がもつメッセージの受け取り方も変わりましたか。
印象としての変化はなかったのですが、舞台と映画の違い、脚本を読んだ時に思ったことは変わりました。舞台だと先生が教室にいるシーンの描写はなかったので、映画では先生の性格、キャラクターがより細かく表されているのが印象的でした。私は大人になればココロやミクたちが抱えているような悩みとか無くなると思っていたのですが、先生も苦労しているところを見て、大人になっても悩むことはたくさんある、子供だけの悩みじゃないんだと感じました。
――作品では、男女の違いについても触れられていますが、ジェンダーについて考えたことはありますか?
役で言うと(清田)みくりちゃんが演じるチヅルが自分の性格に一番近いのですが、自分が小さい頃は男の子に女の子は勝てないとか一切思っていなかったです。力の差が男女で出てしまう握力測定でも男子に勝ちたいみたいな(笑)。それはチヅルが男子に水泳で負けて悔しがっているように、同じことを思っていた時期がありました。中学や高校生になるとプールも男女別になったり、性別で分けられてしまう歯痒さみたいなものは感じていました。
――作品の中で校則などルールについてフォーカスされるシーンもありますが、仲吉さんはそういったルールで疑問など感じることはありますか。
よくあることだと思うのですが、私が通っていた高校は男女交際が禁止で、それは「なんでなんだろう?」と疑問に思っていました。同級生も疑問に思いながら、「これ守らなきゃいけないの?」といった感じで過ごしていたのを覚えています。他にもメイクも禁止で、高校生の時はあれほどダメと言われたのに、大人になったらメイクをしなさいと言われるので、ダメな理由がわからなくて。私たちを守ってくれるためのルールだと思えば、きっとみんな納得すると思うんですけど。
――もし、メイクをして登校するとどうなるんですか。
先生がメイク落としを持ってきて、強制的にメイクを落とすことになります。また、放課後に罰として掃除をさせられたり、1週間ほど謹慎をさせられることもあったので、厳しい学校でした。
大変だった日差しの照り返し
――さて、体育教師・山本役のさとうほなみさん、今回新たに参加されましたが、どんなお話しをされました?
喋りやすくてとても優しい方でした。印象的だったことは、最初の本読みの時に先生は方言をしゃべるか、しゃべらないか問題があったのですが、あえて先生は徳島出身ではないという設定になりました。映画では基本標準語で喋っているのですが、怒った時だけ博多弁が出るんです。その話をしていた時に、どれが一番先生に合うのか、いろいろな方言を試したことが思い出に残っています。
――チヅル役の清田みくりさんも初めての共演です。ご一緒してみていかがでした?
清田さんはとてもフレンドリーで優しくて元気な方です。驚いたのが私と濵尾さんとユイ先輩役の花岡(すみれ)さんは舞台から一緒なのですが、その中にポンって入ってきてもそれを感じさせないんです。もともと舞台からのメンバーだったんじゃないかというぐらい仲良くなれました。
――清田さんはとても社交的なんですね! 花岡さんは舞台からの続投でしたが、久しぶりにお会いした感じですか。
舞台が終わってからも何回か遊んでいたので、それほど久しぶりというわけではなかったんです。舞台からずっと仲良かったので、そのメンバーで撮影ができてよかったです。
――撮影でハプニングとかありました?
ハプニングではないのですが、予想外だったことがありました。プールに砂を敷いて撮影していたのですが、空の日差しよりも反射した日差しがとても強くて、みんな目が真っ赤になってしまいました。撮影が5日目、6日目になると眩しすぎて目が開かなくなって、ちょっと見上げるだけで涙が出てくるぐらい大変でした。
――照り返しはつらいですよね。山下監督の演出など印象的だったことはありましたか。
監督が一番重要視されていたのはリアルさでした。舞台では少しコメディ要素が入ったり、オーバー気味に演じる感じだったのですが、映画ではリアルなお芝居が求められました。私は舞台で演じていたときの癖がついてしまっていたので、それを出さないようにするのに苦労しました。私が苦戦しているのを監督が気づいてくださって、「役に入らず仲吉玲亜のままで 1 回やってみたら」とアドバイスをいただきました。何が映画として最善なのか、監督とたくさん話合いながら演じました。
ヤンキー役に挑戦したい
――仲吉さんは、モデルを目指してこの業界に入られましたが、いま俳優としての活動はどのように感じていますか。
演技レッスンを始めてから女優さんになりたいと思うようになりました。お芝居はやったこともなかったので、始めた頃は全然できなかったですし、周りの方がみんな上手で、いまだに「私にできるかな?」と不安を感じながらやっている状態です。
――仲吉さんがいま追求されていていること、ハマっていることはありますか。
英語に興味あります。英語がペラペラな人ってかっこいいなと思い、私もしゃべれるようになりたいと思ったのがきっかけです。4月から大学生になったので、英語を学んでいくコースを選択しました。これからもっとハマっていきたいですし、追求していけたらと思っています。
――海外進出もできたら嬉しいですよね?
はい! 海外の作品にも出演できたらいいなと思っています。仕事にも活かせますし、英語をもっと喋れるようになりたいです。
――そういえば、仲吉さんアクション映画とかにも出たいと過去のインタビューでお話しされていましたね。
まだやれていなくて、挑戦してみたいことの一つです。その中で今やってみたい役がヤンキー役なんです。『今日から俺は!!』を手がけた福田(雄一)監督がすごく好きで、特にコメディ作品が好きなんです。他にも『ナンバMG5』とかヤンキー系の作品を観る機会があって、女の子でこういうのができたらかっこいいなと思いました。
――憧れの俳優に永野芽郁さんを挙げられていましたが、海外の俳優だとどんな方がお好きですか。
『アベンジャーズ』が好きで、そこに出演されているスカーレット・ヨハンソンさんです。
――英語をマスターして、将来共演できたらいいですね! 最後に『水深ゼロメートルから』を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
全員が違う悩みを持っていて、それを解決しようとそれぞれが頑張っている中で起こるお話なのですが、きっと皆さんも共感していただけるところがあると思います。いろんな視点で問題になっていることの意見が聞けますし、特に自分がモヤモヤしている時に観たら、スカッとする映画だと思います。男女の違いはもちろん、映画を観て高校時代を思い出したりしていただけたら嬉しいです。
(おわり)
作品情報
映画『水深ゼロメートルから』
出演:濵尾咲綺 仲吉玲亜 清田みくり 花岡すみれ 三浦理奈/さとうほなみ
監督:山下敦弘
脚本:中田夢花
原作:中田夢花 村端賢志 徳島市立高等学校演劇部
音楽:澤部渡(スカート)
製作:大熊一成 直井卓俊 久保和明 保坂暁 大高健志
企画:直井卓俊/
プロデューサー:寺田悠輔 久保和明
撮影:高木風太照明:後閑健太
録音:岸川達也
美術:小泉剛
スタイリスト:小宮山芽以
ヘアメイク:仙波夏海
助監督:山口雄也
ラインプロデューサー:浅木大 篠田知典
キャスティング:池田舞 松本晏純
スチール:根矢涼香
脚本協力:小沢道成
宣伝美術:寺澤圭太郎
宣伝プロデューサー:森勇斗
製作:『水深ゼロメートルから』製作委員会
製作幹事:ポニーキャニオン
制作プロダクション:レオーネ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS 2024カラーアメリカンビスタ5.1ch87min
©️『水深ゼロメートルから』製作委員会
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