GeG「明日はどうなるかわからないけど音楽は続けたい」音楽活動への理想
INTERVIEW

変態紳士クラブGeG

「明日はどうなるかわからないけど音楽は続けたい」音楽活動への理想


記者:村上順一

撮影:提供

掲載:24年01月16日

読了時間:約17分

 GeGが、1月3日にニュー・アルバム『Mellow Mellow ~GeG’s Playlist vol.2~』をリリースした。変態紳士クラブのメンバーとしても知られるGeG。1stアルバム『Mellow Mellow ~GeG’s Playlist~』よりおよそ4年ぶり、プレイリスト・シリーズ第2弾となる今作には、変態紳士クラブ、Hiplin、JAGGLA、kojikoji、MILES WORD、にしな、Rin音、SISUI、SNEEEZE、唾奇、VIGORMAN、WILYWNKAら豪華アーティストが集結。インタビューでは、コロナ禍を経ての音楽への考え方への変化、『Mellow Mellow ~GeG’s Playlist vol.2~』の制作の裏側、ミュージックビデオは作らないというその真意に迫った。【取材=村上順一】

あと1日だけ続けて頑張ろう

『Mellow Mellow ~GeG’s Playlist vol.2~』ジャケ写

――久しぶりのアルバムリリースとなりましたね。40歳ぐらいでアーティスト、表舞台みたいからは引いて完全に裏方みたいな展望をお話しされていて。

 それは今も全く変わっていないです。

――表舞台はあまり興味はない?

 アーティストって呼ばれるのには違和感を感じてて自分は元から変態紳士クラブもメジャーデビューするまではWILYWNKAとVIGORMANしか写真写ってなかったんですがメジャーデビューする時に「GeGも一緒に写真撮るよ」と言われて、気がついたらアーティストと呼ばれるようになっていました。

――元々プロデューサー志望だからそういう感覚ではないんですよね。

 自分が有名になるよりも、曲が有名になってくれるのが一番嬉しいですね。もっともっと自分達が作った曲を広めたいです。

――ジャマイカなど海外に行った時期がありますが、そこで考え方変わったんですよね。

 そうですね。海外に行くまでは僕はバンドマンだったんです。キーボードだけを弾いていたんですけど、これじゃあどう頑張っても自分の周りに飯を食べさせられないなと思って。そこからプロデューサーに変わり今はGoosebumps Musicという制作事務所やっているんですけど、それも周りを食わすためといいますか、ちゃんとやるなら会社にしようということで作りました。

――路線変更したわけですね。

 僕は29歳頃まで実家に住んでいましたし、借金の返済や携帯なども飛ばしたこともありました。母からも30歳までそんな感じなら「音楽は辞めやめなさい」と言われていたり。けど30歳目前に「Merry Go Round feat. BASI, 唾奇, VIGORMAN & WILYWNKA 」という曲がバズったので続けることができました。

――人生何が起こるか分からないですね。

 けど、これはみんなからの優しさでアーティストから「これで食べて」と言ってくれて。だから、「Merry Go Round」の権利は僕が100%持っています。みんなの優しさで、成功できたみたいなところはあります。これで夢でもあった周りのミュージシャンに飯を食わせられたりしているので、本当に良かったです!

――自分のためにではなく誰かのために、というのはすごくいいですね。

 バンドやっていた時もリーダーをやっていました。バンドだったら5人メンバーがいたとしたら1人30万円、合計150万くらいが必要になります。自分の分くらいは稼げていたんですけどみんなとなると無理でした。

――自分だけにならないところがすごいです。

 みんなと一緒じゃないと、自分だけ成功しても結局落とされますから。

――GeGさんが思う成功への秘訣は?

 まず全然成功してないです(笑)。借金も1億円くらいありますし、毎日お金に困っていますよ。なので秘訣はわからないんですけど、ひとつあるとしたら続けることじゃないかなと思っています。今もずっと闘いの日々です。

――心が折れたことはないんですか?

 折れまくりです(笑)。あと1日だけ続けて頑張ろうと思って毎日頑張っています。1年後のことを考えてしまうと不安になります(笑)。

――借金を早く返して肩の荷を下ろしたいですね。

 はい。けどお金をいっぱい持っていてもそれだと面白くないんですよね。どこか意欲がなくなるというか。僕このアルバムを作るのに3年ぐらいかかったんですけど。3年前は売れていたので、何してもかっこいい、最高みたいな周りはイエスマンばかりでまあまあお金もあるし音楽がかっこいいって言われて調子に乗っていたと思います。けど当時作っていた音楽は恥ずかしくていまは聴けないです。WILYWNKAに「俺ってどの辺からダサかった?」って聞いたら、「あの時期くらいから正直ダサいと思っていた」と。

――そうだったんですね。

 ちょうどお金も底をつきはじめた時期で、いま楽しいです。お金はないけど「やったるわ!」と思っています。 『Mellow Mellow ~GeG's Playlist~』 のVol.1を出した頃ぐらいの気持ちに戻っています。明日はどうなるかわからないけど音楽は続けたい。けど目の前のことが成功しなかったら音楽を続けられないので...。

――常に背水の陣、崖っぷちにいるような感覚でやってる方が性にあっているわけで。GeGさんが自分の音楽をダサいと感じた要因は?

 3年間アルバムを作っていたわけなんですけど、トラックを作っても誰も歌を書いてくれないんです。それでおかしいなと思って、なぜこんなにも書いてくれないんだろうと考えていて、WILYWNKAに「俺ってダサい?」って聞いたら、「あの時期くらいから正直ダサいと思っていた」と。そしてPERSIA君とか色々相談した結果「あ、俺がダサかったからだ」とそのときに気づきました。

このアルバムからもう1回いろいろ動かしていけたら

「メロメロライブ」フライヤー

――前作から『Mellow Mellow』の立ち位置も変わってきたところももありますか。

 そんなに変わってはいないんですけど、今回のアルバムのメインテーマは、「止まっていた時間を動かす」というのがありました。今回、唾奇名義の曲が入っているんですけど、それこそ3年ぶりとかになるのかな? 変態紳士クラブも1年ぶりの新曲を収録しましたし、このアルバムからもう1回いろいろ動かしていけたらなと思っています。

――制作期間はコロナ禍と重なっていますが、何か音楽制作への変化はありましたか。

 ありました。曲は作れるんですけど、実はコロナ前とかは音楽、レコーディングやミックスダウンのことはほとんど知識がなくて。マイクとかプリアンプの相性とか、何もこだわったことがなかったんです。それがコロナ禍で集中して音楽の勉強ができました。ミックスの善し悪しとかもわかっていなかったので、そのやり方を学んだのがこの3 年半でした。

――音のバランスみたいなものも改めて考えたところがあって。

 そうです。昔までそこまで自分でやっていなくて、早めに人に投げていたんですけど、今はけっこう最後まで自分で詰めたりしています。

――前作は唾奇さんと一緒に作った曲はすごく大変だったとお聞きしていますが、今回も大変な曲はありました?

 いえ、今は唾奇と曲作るのが一番楽しいなって思います。今回収録されている「EDEN feat. にしな , 唾奇」はポップスなんですけど、昔だと絶対歌ってくれなかったと思います。唾奇の中で何か変化があったのでしょうね!

――大きな変化ですね。フィーチャリングのにしなさんとはどんな繋がりがあったのでしょうか。

 僕がにしなのファンでワンマンライブも4回くらい観に行ったことがありまして、特に「ヘビースモーク」という曲が好きなんです。きっかけは覚えてないんですけど、ラブレターを送るみたいな感じで「ヘビースモーク」を僕が勝手にリミックスして。今となってはそのリミックスは配信されているんですけど、それをにしなサイドに送ったのがきっかけになるのかな?

――そこから「EDEN」につながっていくわけですね。

 そうですね。唾奇ににしなのことを教えたら、唾奇がにしなに激ハマりして! けど当初はにしなと唾奇と違う曲を作っていたんですが、にしながレコーディング来た時に「EDEN」を聴いてもらったら「いいですね」みたいな好感触だったので、「ちょっと 1 回歌ってみてよ」とレコーディングしました。実は「EDEN」はSNEEEZEが作っていた歌でこの曲どうしようかなと考えてました。それで唾奇に送ったら「リリースするならこっちがいい」と言って、前の曲はボツになり、「EDEN」が採用された感じになります。ちなみに唾奇は2023年のトップ3に入るぐらいにしなの音楽を聴いていたとのことです!(笑)

――そうだったんですね。ちなみに曲順はどのように考えていたのでしょうか。

 何回もいろんなパターンを作って聴いて、これに決まりました。何周でも聴けるようにしているので、曲順はこだわった部分です。

――トータルの時間も約35分と絶妙なんですよね。ちなみに、WILYWNKAさんの「Straight up」、VIGORMANさんの「またとない日々を」、変態紳士クラブの「Let's get together again」までの流れは意図的ですか。

 意図的にやっています。個人的に胸アツポイントになります。変態紳士クラブとして1年ぶりの新曲で、インディーズになってからの初作品なのでタイトルも「Let's get together again」で、もう1回集まろうという意味なんですけど、僕らがもう1回やるよということを伝える曲になっています。

――変態紳士クラブとして久しぶり制作されてみていかがでした?

 それぞれがソロで活動をしているので、変態紳士クラブはお祭りみたいな感じで、すごく安心感はあります。WILYWNKAが東京に引っ越してしまったので、あんまり会えなくなりましたが、元々ユニットをやろうと集まったわけじゃなく、彼らのことは中学2年生ぐらいから知っているので、その関係性がなかったら、いまこうやって活動はできていないと思います。

――それだけ深い仲だと、お二人に関して新たな発見というのはない?

 彼らはまだ若いからどんどん成長するので、気づくことはあります。そんなこと言えるようになったんだとか。WILYWNKAの「Straight up」、VIGORMANの「またとない日々を」は今までの2人のソロではなかった表現じゃないかなと思います。

――お2人のどんなところを引き出そうと思いました?

 WILYWNKAの「Straight up」に関しては新境地だと思っていて、最近自分がやりたかった音楽がこれというのがありました。自分のマイブームにWILYWNKAを乗せたいみたいな。VIGORMANは色々な壁を乗り越えながら日々成長してるなと感じます。

――ちなみにGeGさんはどのようなタイプのプロデューサーだと思いますか。

 俺は全体見てるタイプだと思います。自分でトラックを作って、自分で楽器も弾いて、自らミックスまでするプロデューサーもいますが、それは俺の中で家を作る時の考え方と一緒で、家も内装とかある程度自分で作れると思うんですけど、下手くそだと嫌じゃないですか。設計士や大工がいて、それをまとめる人がいる。音楽もそうだと思っています。

 過去にDTM が流行りだした時、トラックメーカーが全部1人でやるという風潮があったと思うんですけど、世の中からミュージシャンから仕事なくなって、パソコンを使うのが上手い人が残っているような感じが嫌だなと感じています。なので俺はチームで制作しているタイプのプロデューサーだと思います。

――その道のエキスパートに任せるというのが減りましたよね。

 世界はみんなで作るんです。なので、1曲にプロデューサーが何人もいます。このそのスタイルだといっぱい曲を作れるんです。最近よく思うのが日本はシンガーソングライターが大好きじゃないですか。でも、シンガーとソングライターは全く別物なんですよ。これを一緒くたにした文化がずっと残っているから、どのシンガーもシンガーソングライターといって売り出される。だから自分で歌を書かないとダメという流れが多いと思うんですけど、シンガーはシンガー、ソングライターはソングライターなので、僕はそこも変えていきたいと思っています。

――80年代はそういう感じがあったと思います。

 まさに歌謡曲は、作詞の深さは作詞家しか出せないと思います。歌う人は歌に専念して誰よりも歌をうまくなってほしいと思っていて。

――新しい機材は導入されたんですか?

 機材は常にしています。ダイアとかに興味はないので得たお金は音楽機材を買うようにしています。けど、結局ほとんどノートパソコンでやるんですけどね(笑)

――DAW(デジタルオーディオワークステーション)は何を使用されているのでしょうか。

 メインはFL Studio、あとはPro Toolsです。FL Studioはチートなんです。DAWって1個ずつシーケンスのグルーヴが違っていて、例えばCubaseはテクノ向いてるなとか色々あるんですけど、 FL Studioはトラップとか作りやすいんです。リズムが跳ねます。16ビートでハットを入れるとその時点で跳ねているので、今のヒップホップでFL Studioを使っている人が多いのはそういう理由だと思います。

――さて、「花束」はkojikojiさんとRin音さんとの共作ですが、昔から一緒にやられていて気心がしてれていますね。

 kojikojiは数年ぐらい一緒にやっていなかったので久々でした。大人になってちょっと人間としてでかくなってました。というのもkojikojiの初ライブは僕のイベントなんです。俺が SNS で見つけてメール送って、「そろそろSNSから出てきて生でやらない?」と。でも、初ライブは楽屋の隅で「緊張します」と言って震えながら床に座っていたのが印象に残っています。それが今となってはもうライブしまくってますけど。

――Rin音さんは昔からお知り合いとか?

 Rin音はすごく好きなラッパーで、何曲か一緒にやったことがあって今回「花束」で参加してもらいましたが、実はRin音には違う曲作っていて、その曲はBPMは160くらいで、「花束」はBPM80くらいなんです。どちらもワンコーラスずつできていたのですが、どうしようかなと思った時に、もしかしたらハマるんじゃないかと試してみたら見事にハマって。そこからRin音に書き直しもらって完成した曲なんです。

――kojikojiさんとRin音さんのコンビネーションはいかがでした?

 この 2人のコラボはずっとやってみたくて、イメージしていました。改めて録り終わった時にこれは引き寄せの法則だなと思いました。願っていれば叶うなと思って。

――Hiplinさんの「SKY」はどのような経緯で作られた楽曲なのでしょうか。

 Hiplinは一緒に曲を作っていて、たくさん未発表曲がいっぱいあるんです。Hiplinはいつもポップな曲が多かったので、かっこいい路線の曲を選ぼうとなってR&Bチックで打ち込みサウンドの曲になりました。

――「なっちゃうじゃん (AL ver)」はアルバムバージョンなんですよね。

 そうですね。過去にリリースした作品なんですが、もうちょっとこの曲は良くなるなと思っていて、何がダメなのかと考えた時にトラックだと思ったので全部生でレコーディングしました。ですので、アルバムバージョンとして変わりました。

――1番こだわったところは?

 壮大さ、スケール感です。シングルは結構狭かった、ワンルームの音楽みたいなものを意識していたので、SISUIの声を聴いたらやっぱりこれはワンルームじゃないなって。

――SISUIさんとの出会いは?

 大阪のアメリカ村近くのコンビニの名物店員みたいな人で、カラオケとかバーで歌っているのを見たらびっくりするくらいうまくて。そのときはバンドやっていたみたいで、ある日1人でやっていくことになったので、「じゃあやろうよ!」って。Hiplinと同様にSISUIも未発表曲がたくさんあるので、またタイミングをみて発表したいです。

――アルバムの最後は唾奇さんとにしなさんの「水仙 feat. にしな」で締めくくられます。

 この曲は3日で作りました。伊豆に僕と唾奇とにしなの3人で合宿に行きました。1日目にトラック作って2日目に歌を書いて3日目に本録りして。伊豆スタジオという合宿ができるスタジオがあるんです。僕はいつも合宿は北海道のスタジオに行くんですけど、今回スケジュール取れなくて、伊豆スタジオに行ってみたらすごくフィーリングが合いました。

――伊豆の合宿は制作以外で印象的だったことは?

 制作中もずっと飲んでました。焼酎も帰る頃にはもうなかった。もう飲み過ぎやろって(笑)。あとは星を見に行ったり伊勢海老や金目鯛など食べたりた楽しい時間でした。

――場所を変えるとまた違った音楽が生まれそうですよね。

 そうなんです。都会で作ると都会的な音楽ができるから、場所を変えて制作というのはよくします。

――唾奇さんもにしなさんとコラボできて嬉しいですよね。

 今回もにしなならとすぐ引き受けてくれました(笑)。「水仙」は GeG名義じゃなくてほとんど唾奇が考えてくれたので唾奇名義なんですけど、これって思えば快挙で、唾奇名義って約3年ぶりになりますしね。

MVを撮らなければいけないという風潮が嫌

――ズバリ「Intro」というタイトルの曲が収録されていますが、起承転結がアルバム全体に感じられてすごくいいですね。

 アルバムにはこういうイントロダクション的なのは必要かなと、特に『Mellow Mellow』はプロデューサーアルバムですし、他のプロデューサーのアルバムのイントロもかっこいいですからね。ただ、こういう曲にしようと思って作り始めたわけではなくて、自然と出来た曲でした。

――その「Intro」から続く「Still Hungry feat. MILES WORD × JAGGLA × SNEEEZE × VIGORMAN」は、4人も参加されていて豪華ですね。

 3年前にアルバム制作を始めたときに、「Still Hungry」はアルバムの1曲目にしようと決めていました。 MILES WORDのラップをずっと温めていました。このアルバム制作をするにあたり最初に録ったヴァースで、アルバムの最後に録ったのが、JAGGLAのヴァースでした。「Still Hungry」がこのアルバム制作の最初と最後でした。

 SNEEEZE とVIGORMANにサビを書いてもらっていて、いい方を選ぼうと思っていました。結果SNEEEZEの方をサビに選んだのですが、VIGORMANも書いていたので、元々作っていたものに8小節足してヴァースにしてもらいました。

――タイトルもいいですよね。ハングリー精神が薄れてきていると言われている現代に、皆さんからの強さを感じました。

 この曲に参加しているみんなは、僕と割と近い年齢、ちょっと上なのですが、みんなとまだ諦めたくないと話していて。周りの人からは「まだ音楽やってるの?」みたいなノリを出してくるけど僕らはまだまだやりたいし、みんなと一緒に行きたいという歌なんです。

――皆さんと夢の話とかされたりも?

 それこそ夢の話しかしていないと思います。僕はやってみたいことがたくさんあります。例えば今回はMVを撮らないと決めたのですが、そう言うと「何でですか?」ってなるじゃないですか? 曲を作ったらMVを撮らなければいけないという風潮が嫌で、MVを誰でも作れるようにしたいなと思っています。例えば結婚式の一日を映像にしたり、CGで作った映像に音楽をつけるだけで伝わるのでは? と思っています。なので自分の曲を誰でも使えるようにしたいんです。

――今回そうなるわけですね。

 全曲行けるかはアーティストと交渉中なんですけど、僕は絶対そっちの方がいいと思ってます。シングル曲を作ったらMVを撮るという今の流れのせいで、なんか変なことになっていってる気がしていて、そのシステムが変わったらもうちょっと時代が変わるんじゃないかなと思っています。

――暗黙の了解みたいな流れをぶち壊したいと。

 ぶち壊したいですね。MVは楽曲制作費の5倍くらいかかると思ってるんですけど、僕はミュージシャンみんなを食べさせるのが夢だと言っているのに、ミュージシャンに払うお金とカメラマンのアシスタントに払うお金が超える時とか、そうなると自分が提言していることが矛盾してしまう。だったら俺はミュージシャンにギャラを倍上げて、もっといい音楽を作りたいと思っています。

 けどMVが嫌いなわけじゃなくて、求められたら撮るものだと思っています。今は求められてなくても撮る感じになっていて、そうするとお金が足りなくなるんです。 MVがないと売れない時代もあったと思うんですけど、もうそれは終わっていて、ユーチューバーも再生回数が回らなくなってきている時代なので、普通のMVが回るわけないんです。変わらなければいけない時期だと思っています。俺は動画を作っている方から「この曲が好きすぎるからMVを作りたい」って言われたいです。そうしたらすごいのができそうじゃないですか?

――コロナ禍以降、変わった感じもしています。

 今まではSNSも何年かごとに変わっていきましたが、今はTikTokとInstagramが不動の地位になっていて、今後新しいものが出てくる余地もないじゃないですか? ということはまだまだそこが主流になるので、ちょっと考え方を変えていかなければと思います。いろいろなクリエイターが参加すれば1曲につきMVが100パターンとかありえるわけじゃないですか。その方が広がると思っていて。好きなことで飯を食べるっておそらくクリエイターの最初の目標だと思うのですが 僕のやり方ならもちろん収益も分配できるので、曲を自由に使えてその曲と共にバズれば叶うのでは? と思っていて、そういう理想に向けてやっています。

――最後にGeGさんからすごくエネルギーを感じるのですが、つらいこともある現代で頑張っていくための原動力はありますか。

 俺は好きなことをして生きて行くことかなと。好きなことで飯を食べるとか言っていると周りから絶対無理に決まっているとか言われますけど、みんなにも否定してくるものをバネにしてほしいなと思います。俺もずっと言われてました。けど反骨精神って重要で、あんまり人の言うことだけを聞いてたらダメです。僕は他人に無理って言われたら逆にやる気がおきます。そうやって自分が楽しいと思ったことを極めていったら、つらい時それが支えになってくれると思います。こんな混沌の世界ですが、みんな諦めはなしで生きていきましょう! ありがとうございました。

(おわり)

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