広井王子総合演出のガールズレビューカンパニー、少女歌劇団ミモザーヌが、8月5日、6日の東京(草月ホール)、12日と13日に大阪(YES THEATER)で夏公演『~魅惑のバラエティショウ~ Summer Collection 2023』を行う。本公演は、毎年夏冬に大阪/東京で行なっているミモザーヌの定期公演。今回の夏公演では“良い子”でいることを演じている1人の少女が、密かに“悪い子”にあこがれを抱いていると、白天使と黒天使が現れ、両極端な言葉に惑わされながらも大人へと成長していくストーリー。MusicVoiceでは、いまもりまなか、たかやあんな、ちばひなのの3人に夏公演に懸ける思いや、どんな姿を観客に見せたいか、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】
幕の内弁当のような公演
――皆さん夏と聞いて、どんなことを感じますか。
いまもり 年々、暑さによる厳しさを感じるようになってきましたが、夏はお祭りや花火大会など夏の風物詩もたくさんありますし、私の誕生日が7月なのですごく好きな季節です。
ちば 昨年まではコロナ禍の影響もあってプールや海、お祭りにも行けていなかったので、今年は夏ならではというものを満喫したいです。最近はかき氷専門店が沢山あって、すごく大きなかき氷があるので、それを食べてみたいです。
――好きな味はありますか?
ちば 私はいま和菓子にはまっているので、きなこや黒蜜系を食べたいです!
――たかやさん、夏と聞いて思うことは?
たかや 海です! 家族で行くことはあるんですけど、メンバーでプールや海にはまだ行ったことがないので、一緒に泳ぎたいです。
――ちなみに得意な泳ぎはありますか。
たかや 得意な泳ぎはないんですけど、ずっと浮いてられます(笑)。
――まさかの泳がない(笑)。さて、8月から始まる夏公演『魅惑のバラエティショウ~ Summer Collection 2023』の見どころは?
いまもり 第一幕は歌劇になっていて、ずっと両親の言うことを聞いて育った1人の少女が、「悪い子になりたい」と思うようになり、その中で、白天使と黒天使に出会います。その天使たちに両極端なことを囁かれながらも、少女がどう成長していくのか、というのが見どころです。 そして、第二幕では雰囲気をガラッと変えて、歌って踊るレヴューショウを行います。レヴューショウは一緒に楽しんでもらえるパフォーマンスになるので、幕の内弁当のような公演になっています。
――テーマが正義と悪、難しそうですね。
いまもり 私たちも台本を頂いた時に、良いことと悪いことについて考える時間がありました。考えれば考えるほどわからなくなり、言うことを聞くことが良いことなのか、言うことを聞かないことが本当に悪いことなのか、など考えました。舞台を観に来てくださる皆さんも一緒になって考えてもらえたら嬉しいです。
――誰かと一緒に行くと、より楽しいかもしれないですね。ちなみに皆さんどんな役なんですか。
ちば 役についてはちょっとまだお話することができなくて、公演が始まってからのお楽しみなんです。今までお芝居をやってこなかったメンバーが、お芝居にも挑戦するので、主人公の少女や、白天使と黒天使を誰が演じるのか、というのも見どころです。
――では、皆さんそれぞれどんな準備をされていますか。
ちば 4期生、5 期生が新しく 入ってきて、自分が引っ張っていかないといけない年齢になってきました。全員でレベルアップした舞台を作っていきたいと思っているので、自分のことだけにならずに、メンバーに声をかけたりすることを意識するようになりました。みんなから頼ってもらうためにも、もっとレベルアップしていけるように、自分を見つめ直すようになりました。個人の活動としてグラビアのお仕事をさせていただいて、自分の魅せ方など研究をしているうちに、どんどん自分に自信を持てるようになってきました。
――いまもりさんはどんな準備を?
いまもり 私は公演を行うにあたり他のメンバーと一緒に考えるということを大事にしています。例えば1つの楽曲に対してどういう思いで取り組むべきか、曲の歌詞にはどういう意味があるのか、など意見交換をするようにしています。それぞれのキャラクター設定や関係性について、1人1人がちゃんと考えられるように、準備しています。
――普段から音楽を聴くときも歌詞を紐解いたりされるのでしょうか。
いまもり メロディーももちろん好きですが、私は歌詞に注目することが多いです。まずはメロディーから入って、好きな雰囲気の曲だなと思ったら歌詞を調べます。そうするといろんな情報が入ってきて、新たな感動や面白さを感じます。洋楽は和訳を調べてから改めて聴くと、また違った魅力が感じられるので、歌詞の深掘りは普段から大事にしています。
――ちなみに最近聴いた曲で面白いなと思った曲は?
いまもり HoneyWorksさんの「可愛くてごめん」です。最初はTikTokで振り付けを中心に見ていたのですが、とあるお店に入った時にこの曲が流れていて、実はすごく歌詞の内容がかっこいい曲だと気づきました。私は私だよねという訴えを歌詞から感じて、可愛いだけではなくすごく強い意志を持っている曲だなと思い、より好きになりました。
――たかやさんはどんな準備をされていますか。
たかや 今回は前回よりも新曲がたくさんあるので、 私は曲の雰囲気をしっかり汲み取るようにすることを大事にしています。その年代の曲をたくさん聴いてみたり、曲ごとに衣装も大事になってくるので、動画や映画を見たりして参考にしています。
――研究されているんですね。
たかや 前回の公演では「Take the 'A' Train」というジャズの楽曲があって、そのパフォーマンスに対して、映画「華麗なるギャッツビー」のダンスシーンがおすすめだと広井王子さんから教えていただきました。衣装やその雰囲気、踊り方などを勉強して取り入れました。
――普段はどんな音楽を聴いてますか?
たかや J-POPが多くて、特にOfficial髭男dismさんをよく聴いています。ボーカルの藤原さんの歌はもちろん歌詞やメンバー皆さんも素敵で大好きなんです。
ちば Saucy Dogさんをよく聴いています。一番好きなのが「ゴーストバスター」という曲で、ちょっと落ち込んだ時に聴くとやる気が出ます。歌詞に<言いたいやつらには勝手に言わせておけばいいさ>というフレーズがあるのですが、それを聞いた時に私は、余計なことは気にせず、やりたいことをやればいいんだと前向きな気持ちになれたので、すごく勇気付けられました。
いまもり 私はBE:FIRSTさんがすごく好きでよく聴いています。曲も素敵なんですけど、特にパフォーマンスが好きなんです。ダンスプラクティス動画見ていると、シンクロ率が高くて、激しいダンスの中にキレイな歌声が乗っていて圧倒されました。特にかっこいいなと思った曲が「Milli-Billi」なんですけど、無音の中でパフォーマンスするシーンがあって、初めて見た時は度肝を抜かれました。
基礎があるから自信を持って舞台に立てる
――皆さんが自分の中で心がけていることはありますか。
たかや 私はとりあえずやってみよう精神を心がけています。新しいことに挑戦するのは怖いところもあるんですけど、自分が知らない世界、知らないことでも毛嫌いせずとりあえず 1 回やってみて、合うか合わないかを決めるということを大事にしています。
――最近チャレンジしたことはありますか。
たかや 最近チャレンジしたのは、怖い映画を観ることでした。今までは怖いから観るのは無理だと思っていたんですけど、とりあえず 1 回観てみようと思って。最近、映画『忌怪島/きかいじま』を観ました。すごく怖かったんですけど、新たな経験ができて一歩前進、成長できたと思います。
――いまもりさんが心がけている事は?
いまもり 感謝することを心がけています。例えば「ありがとう」という言葉は当たり前に使うのですが、咄嗟に出ないことも多いです。私は自分から言うのはもちろん好きですが、人から「ありがとう」を言われることも好きなので、私は日頃から感謝の言葉を意識しています。
――すごく良いことだと思います。ちばさんが心がけている事は?
ちば 何ごとも楽しむこと、笑顔でいることを心がけています。気持ちというのは周りに伝わるんだ、ということをミモザーヌに入って感じました。自分自身が普段から笑顔でいることで、周りの人にも楽しさが伝染して、笑顔になってもらえたらいいなと思っています。
――最近、活動している中で一番楽しかったことは?
ちば レッスンがすごく楽しいです。もちろん辛いところもたくさんあるんですけど、楽しいからこそ続けられているので、好きなことをレベルアップさせるために全力で取り組んでいます。1 年目の時はこんなにストレッチや筋トレをして意味があるのかな? と感じていた時もあったのですが、基礎をしっかりやっていたことで、フラメンコや日本舞踊にも対応できるようになってきたので、基礎の大切さがわかりました。今後これが自分の為になるんだと信じて、楽しんで取り組むようにしています。
――ミモザーヌはすごく基礎を大切にしているイメージがありますが、基礎とはどういうことをやられているんですか。
いまもり ダンスでしたら体の一部分を動かすアイソレーションだったり、ダウンアップのリズム取りをみっちりやります。ヴォイスレッスンの場合は発声や息の使い方も徹底的にやります。その他にも広井王子さんのトークレッスンでは、今回の夏公演のお芝居にも繋がる、滑舌を意識しながらセリフを色んな感情で言ってみるという、普通のレッスンではあまりやらないようなこともやっています。それらを毎回しっかりやっているので、自信を持って舞台に立つことができるんじゃないかなと思っています。
――トークレッスンはお芝居以外にも活きそうですね!
たかや こういった取材の時やラジオに出演させていただく時にも役立つので、とても嬉しいレッスンです。
――さて、皆さん、どんな姿を夏公演で見せたいですか?
たかや 前回の公演では女性らしさというのをイメージして踊ったり歌ったりしていたのですが、今回は前回とは違った格好いい私を見せられたらいいなと思っています。女性から見ても格好いい、クールな一面をお客さんに伝えたいと思っています。
いまもり 毎公演新しいことに挑戦させてもらっていて、今回も今までやってこなかったことに挑戦するのですが、新しい「いまもりまなか」を見ていただきたいなと思っています。
――いまもりさんは最後の夏公演というところで思うところもありますか。
いまもり 感慨深くはなるんですけど、私にはまだ冬公演があるんだという気持ちで臨みたいです。基礎からやってきて、公演を重ねて学んでいくこともたくさんありました。今までの集大成をこの夏公演で皆さんにお届けできたらいいなと思っています。
――夏公演は最後だけど、そこは感じさせないようにということですね。
いまもり 二十歳で卒団というのがあるからこそ、今の自分にできることはなんだろう?、私がいる間にみんなに教えてあげられる事って何だろう? と考える時間も増えました。最後があるというのは寂しいですけど、私が卒団してもまた次の公演があるのは楽しみです。
――団長としては今どのような心構えで活動していますか。
いまもり 団長だからというよりは何かあった時に私が一歩前に出て提案をしたりするようにしているのと、まずはみんなの意見を取り入れるように心がけてはいます。実際、私 1人では全然何もできないので、みんながいるから私も団長としていられるので、すごく感謝しています。
――「One for all All for one」の精神ですね。では、ちばさんはどんな姿を見てもらいたいですか。
ちば 私は今年に入ってから自分と向き合い、自分の魅せ方を研究してきたので、夏公演で私の色々な面を見ていただきたいなと思っています。可愛らしいだけじゃなくてかっこいい姿だったり、そのかっこいいの中でも色々なかっこよさをお見せできたらと思っているので、そこに注目して観ていただけたら嬉しいです。
――さて、今のミモザーヌを一言で表すとしたら、どんな言葉が合いそうですか。
ちば 私はミモザーヌといえば、何が飛び出すのかわからない「びっくり箱」という表現が合うんじゃないかなと思っています。
いまもり 私は「幕の内弁当」です。それは今回の公演でもそうなんですけど、歌って踊ることがメインではあるのですが、その中で色んなジャンルの曲調があって、ダンスもジャズやヒップホップだけではなくフラメンコ、日本舞踊、アクロバットなど多岐に渡ります。常に色んなジャンルのレッスンを受けているので、ミモザーヌといえば、どこを取っても面白くて楽しいと思えるような、幕内弁当みたいなグループなのかなと思います。
たかや 私が思うミモザーヌは親子丼です。
――その心は?
たかや 親子丼は鶏のお肉と卵からできていて、親子丼を作り上げています。ミモザーヌは小学生から大学生まで在籍していて、それぞれ経験してきたことも違うメンバーなのですが、それがミモザーヌというグループでまとまっている、というところが親子丼みたいだなと思いました。
いまもり 夏公演もそんな親子丼のような一体感を感じていただけると思うので、楽しみにしていてください!
(おわり)