フレデリックのMVはなぜ多く再生されるのか、中毒性高める「リズムの視覚化」
INTERVIEW

フレデリックのMVはなぜ多く再生されるのか、中毒性高める「リズムの視覚化」


記者:木村武雄

撮影:[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ

掲載:15年04月19日

読了時間:約5分

撮影現場で観たもの

[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ

 リズムが視覚化されるまでの過程を体感しようと記者は去る3月、MVの撮影現場に同行した。そこでみたものは細かな作業だった。取材したのは、大学キャンパスでのシーンであった。完成MVならば最初や終盤に出てくる、廊下の奥でメンバーが楽器を奏でたり、女性2人が振り付けを踊っているシーンだ。

 長さ30メートルはあろう廊下の床の両端には、LEDライト10セットが備え付けてあり、宴を終えた後の帰路を灯す松明のようにも見えた。そのライトは規則正しく赤、青、緑と色を変えながら道を照らし、それを抜けた先に、主役のメンバーが入れ替わりでそれぞれのパートを奏でていた。

 床から光を放つライトは、8ビートの4拍子目に暗転。同じように、メンバーを写すカメラワークもズームインとズームアウトを同じようなリズム感覚で繰り返していた。面白いことにどれも手動だ。

 この日の気温はたったの4度。冷たさを覚える建物に囲まれ、一定間隔で繰り返される行動と、演者の無表情のままに流れていく様(さま)は無機質なものだが、視覚化の作業を手で行うところに血が通った温かさを感じるのである。

定着する記憶

[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ

 さて、リズムを視覚化することで何が得られるのか。リズム、いわゆるノリを耳と目で感じることが出来、それが記憶として定着するという点だ。人は、動作を共にすることにより記憶力は高まると言われている。

 彼らの音楽が中毒性を持っていると言われる所以はまさにここにある。リズムを聴覚と視覚に訴えることで記憶を定着させるのだ。MVを見た後で、楽曲のみを聴いても自然とあの映像が頭に流れてくる。そしてそれはなかなか抜けない。

 バンドシーンと美女2人のダンスに目が行きがちだが、永遠とループが繰り返されるなかで女性2人が回る地球儀を止めるシーンも見逃せない。表情は変わらないものの地球儀を止める一瞬、まぶたを閉じる。そのわずかな目の動きから感情が浮き出ているように見える。あのシーンもまた頭から離れない。

 ベースの三原康司は今回のミニアルバムについて、「大切な出来事に終わりが来た時に今までの想い出が蘇って深い想い出が生まれました。終わらせた事で次に踏み出す一歩がしっかりと地面を踏みしめていました。その時に終わりは始まりという言葉の意味をちゃんと理解しました」と語っているが、視聴者からすれば、「オドループ」も「オワラセナイト」も映像が甦って離れない。永遠と続くループの始まりなのだ。(取材/撮影・木村陽仁)

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[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ
[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ
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[写真]フレデリックのMV撮影現場の様子
[写真]フレデリックのMVが再生さえるワケ

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