前列左から小日向星一、吉田美月喜、富山えり子、栗原類。後列左から近藤良平氏、長塚圭史氏、阿部海太郎氏

 吉田美月喜、富山えり子、小日向星一、栗原類が12日、東京新宿の新国立劇場・小劇場で音楽劇『モグラが三千あつまって』(14日初日)の公開フォトコール&初日前会見に臨んだ。

 南の海にある3つの島が舞台。自分たちで食物を作る事に成功した北の島に住むモグラ族だが、西の島のネコ族と東の島のイヌ族に「タロイモ」を盗まれ続けてきた。そこで知恵者のマチェックと度胸のすわったバンゲラ親分を中心に、戦いにそなえて大きな地下都市を作り始めるが――。

 1975年に発表された武井博氏の同名児童文学が原作。9歳の頃に読み強い衝撃を受けたという長塚圭史氏が『こどもも大人も楽しめる』シリーズの4作目として舞台化。「『タロイモ』を守る話ですがその先に展開される話は決して甘いものではない。こういう争いを起こしてはならないと強く響いた。戦争を考えさせる作品になっていて強く思い入れのある作品。こうして舞台化が叶って夢のよう」

一幕一場/モグラ族

一幕一場/モグラ族

 キャストは、本作が舞台初主演となる吉田美月喜を筆頭に、富山えり子、小日向星一、栗原類。たった4人でそれぞれの種族を演じ分ける。振付を手掛ける近藤良平氏は「4人で3000人に見せるのは無理難題で大変だった」と笑いつつ「無理だと思ったが4人でやり切るということはイマジネーションを働かせることが大事になってくる。観客の皆さんも自分が『モグラなんだ』とイマジネーションが出来たらいいと思って振り付けました」

一幕一場/モグラ族

一幕一場/モグラ族

 演じ分けだけではなく、歌やダンス、そして楽器演奏にも挑戦する。音楽を手掛けるのは、NHK連続テレビ小説『らんまん』の音楽を手掛けた、阿部海太郎氏。「勝手にそれぞれの島にある音楽の文化を創造しました。一番大事にしたのは戦時下でどういう音楽にしようかということ」とし、ウクライナ侵攻での「シェルターに避難している人たちが地下で演奏している姿が印象的だった。地上で銃声が鳴っているなかで地下で音が鳴っているシーンを作りたいと思った」

一幕一場/モグラ族

一幕一場/モグラ族

 楽器演奏で、吉田が担当するのはウクレレ、栗原はギタレレ、小日向はハープ、打楽器の経験がある富山はパーカッションと木琴。阿部氏は「アニメを見て動物が演奏している姿が見たいと思った。富山さん以外は楽器未経験ですが、でもモグラは穴掘りぐらいで不器用なのでそのなかで楽しくできたらいいと思った」

一幕三場/イヌ族

一幕三場/イヌ族

 演じる吉田らは、ノンストップで何役もこなし運動量も多い上に楽器などもある。まさに挑戦に続く挑戦だ。「全てしんどいけどどうすれば魅力的にできるか試行錯誤していて楽しい気持ちを忘れずに過ごしている」(栗原)、「稽古で歌がどんどん出て来た時はもうできないと思ったけど今は楽しい気持ち」(小日向)、「健康が大事だと思っていっぱい食べてきた」(富山)と前向きだ。

一幕三場/イヌ族

一幕三場/イヌ族

 本作が舞台初主演の吉田も「何役も変わり、運動量も多い。弦楽器の経験もないので演技をしているなかで違和感がないように意識しています。どんな大変なことも、歌も何もかも楽しんで出来ています。日々楽しく(役として)生きられています!」と晴れやかな表情を見せた。

吉田美月喜

吉田美月喜

 改めて吉田は、キャスト、スタッフの支えがあってこの日を迎えられた感謝を述べつつ「作品として子供の方にも楽しんで頂けます。想像力が掻き立てられたら嬉しい。大人の方には改めて見て考えないといけないと感じられると思います。いろんな方にも楽しんで頂けると思いますので、ぜひ観に来てください!」と呼び掛けた。

 本作はプレビュー公演を経て、14日に本公演初日を迎える。【取材・撮影=木村武雄】

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一幕一場/モグラ族
一幕一場/モグラ族
一幕一場/モグラ族
一幕一場/モグラ族
一幕三場/イヌ族
一幕三場/イヌ族
吉田美月喜

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