INTERVIEW

吉田美月喜

「ルックバック」で注目の吉田美月喜、ドラマ「恋愛革命」で魅せる新たな挑戦


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:25年01月25日

読了時間:約9分

 俳優の吉田美月喜が、ドラマ『恋愛革命』(ABCテレビ1月11日スタート 毎週土曜 深夜1時~1時30分 全10話)に出演。恋愛には興味がなく、レイのアピールを疎ましく思う王子凛を演じる。国内累計閲覧数4500万回超えの人気webtoonを日本初ドラマ化。嶋﨑斗亜(Lil かんさい)が連続ドラマ初主演で一途な天真爛漫ワンコ高校生を熱演。インタビューでは、口数が少なくクールな性格の王子凛をどのように捉え演じたのか、また、声優に初挑戦した劇場アニメ『ルックバック』が話題となり、吉田にとって飛躍の1年となった2024年を振り返ってもらった。(取材・撮影=村上順一)

 【写真】吉田美月喜、撮り下ろしカット

根幹にある考え方が凛は近い

ドラマ「恋愛革命」場面カット©️232/LDF/「恋愛革命」製作委員会

――本作に出演が決まったときの心境は?

 今まで今回のような恋愛をテーマにした作品をやったことがなく、今回キャラクター的に強い女の子を見せていかなければいけないので、正直プレッシャーは少しありました。これまで参加させていただいた作品は、少し悲しい恋愛をテーマにしたものが多かったため、『恋愛革命』のような作品でどのように演じるのがベストか考えました。

――撮影前に準備していたことは?

 原作をしっかり読み込みました。実は『恋愛革命』を韓国ドラマでやっていたのは知っていました。韓国版のドラマもすごく好きなのですが、今回日本でドラマ化するにあたり、韓国版ドラマの影響を受けすぎないよう意識して演じていました。また、今回の『恋愛革命』に参加しているキャストの皆さんが、それぞれ個性的なキャラクター作りをしてくれていたおかげで、とても演じやすかったです。

――凛はどのような人物だと分析されていますか。

 私は恋愛に臆病になってしまうところに共感しました。根幹にある考え方が私と凛は近いところがあるので、きっと同じようなことがあったら、私も凛みたいになってしまうんだろうなって。凛は一見強そうに見えて、実はすごく臆病なキャラクターだと台本を読んで感じました。そして、凛が姫ノ宮レイのまっすぐさに引っ張られて成長していく姿は、この作品の見どころの一つになっていると思います。

――撮影で印象に残っているシーンは?

 高校生なので制服でのシーンが多いのですが、キャンプに行く回がとても印象に残っていて、みんなの私服姿が見られるとても楽しい回だと思います。服装が変わることで恋の展開も増えていくと言いますか、より広がりを感じるシーンになっています。いろいろなことが起きていくので、注目してもらえたら嬉しいです。

――さて、姫ノ宮レイ役の嶋﨑斗亜さんと共演してみていかがでした?

 嶋﨑さんは周りを明るくする力を持っている方だと思いました。レイの性格はまっすぐで、憎めない明るさがあり、その明るさで周りを巻き込んでいきます。それが嶋﨑さんにぴったり合っているなと思いました。嶋﨑さん自身もレイの気持ちがわかるとおっしゃっていたのですが、同じような雰囲気が嶋﨑さんにもありました。

――撮影をしていく中で、嶋﨑さんから「流石アイドルだ!」と感じた瞬間もありました?

ドラマ「恋愛革命」場面カット©️232/LDF/「恋愛革命」製作委員会

 キャラクターを演じている中では、いい意味でアイドルらしさというのは感じなかったです。ただ、レイは結構ドジなところがあって、転んだりよろけたりする時の嶋﨑さんの体の使い方を見た時に、「さすがアイドル」と思いました。みんなが心配になるぐらいの転び方をするのですが、嶋﨑さんは「体の使い方、魅せ方がわかっているから、ちゃんと制御していられる」と話していて、そのお話を聞いて改めてすごいなと思いました。

――共演者といえば凛の友人役として仲吉玲亜さんも出演されています。仲吉さんとはプライベートでも親しくされているとお聞きしています。

 玲亜ちゃんが中学生のときに、オーディションの練習を一緒にしたのがきっかけで仲良くなったのですが、お互いの作品を見て「良かったよ」とか感想を話したり、一緒にご飯に行ったりもしています。ただ、作品で共演したことは一度もなかったんです。

――そうだったんですね。

 今回一緒に出演できてとても新鮮でしたし、2人きりのときにはわからなかったのですが、玲亜ちゃんはすごく周りを見ているんです。大勢の中にいる時の立ち振る舞いと言いますか、みんなを陰でまとめている存在で、新しい面が見られて良かったです。

 そして、私は玲亜ちゃんが演じている岡田恵子も大好きなんです。恵子は食べているシーンがとても多い食いしん坊キャラなのですが、私は恵子のような明るい、いわゆる“陽のキャラクター”は本当に演技が難しいと思いました。玲亜ちゃんはナチュラルに恵子を演じていたので感慨深かったです。

――吉田さんはこの作品を通して気付いたことや学びはありましたか。

 凛が幸せそうな顔を見せるシーンがあるのですが、私ってこんな顔できるんだ、と自分で驚きました。私がこれまでやったことがないキャラクターだったので、新しい演じ方や引き出しを見つけられました。

――この作品を観て、どんなことを感じてもらえたら嬉しいですか。

 レイのまっすぐさから私はたくさん勇気をもらいました。レイのまっすぐなところが、ドラマを観てくださる方の勇気になったら嬉しいです。

自分の声への意識が変わった

吉田美月喜

――今年は『カムイのうた』に始まり、ドラマ『マイストロベリーフィルム』、さらに声優に初挑戦した劇場アニメ『ルックバック』と、俳優としての土台を広げた1年だったんじゃないかと思います。この1年を振り返るといかがですか。

 いろいろなことに挑戦できた1年だという印象です。いろんな役に挑戦していきたいというのを実際にできた1年だったと思っています。中でも『ルックバック』での声優経験はとても大きなことでした。声優は昔からやってみたかったことの一つで、自分の視野がまたひとつ広がった感覚はあります。

――『ルックバック』の反響もすごかったのでは?

 はい。たとえば今回の『恋愛革命』のキャストのみんなと本読みで初めて会ったとき、「どうだった?」とお互いの第一印象の感想を聞き合い、みんなから「声がいい」と言ってもらえてとても嬉しかったです。今まで自分の声に対してプラスのイメージはほとんどなかったですし、自分の声への意識は変わりました。

――昨年開催された東京国際映画祭では、『ルックバック』でレッドカーペットを歩かれましたが、いかがでしたか。

 東京国際映画祭への参加は2回目でした。 1回目は2022年に公開された『あつい胸さわぎ』という作品だったのですが、その時はたくさんのキャストの方が一緒にいましたし、記憶がないぐらい一瞬で、あっという間に終わってしまったという感じでした。今回『ルックバック』でレッドカーペットを歩かせていただいた時は、押山(清高)監督と二人というのもあり、周りの方の反応、喜んでくださっている姿を見ながら歩けたので、鮮明に覚えていて、前回とは違う感覚がありました。

 レッドカーペットを歩いていると、周りで見てくださっている方々から、サインを求めていただけることがあるのですが、そのときに今まで私が出演した作品について思い出すことがあります。『Petto』という枝優花監督と撮影した短編作品だったり、これまで出演してきた舞台など、レッドカーペットを歩くたびに自分の歴史を思い出しました。まだまだですけど、今まで私が出てきた作品がこんなにあるんだと思うと、初めの頃よりも成長できているのかな? と自分を見つめ直す時間にもなりました。自分の過去を振り返る時間になったレッドカーペットでした。

未熟さを感じた2024年

吉田美月喜

――2024年を喜怒哀楽で表現するならどんなものになりますか。

 「喜」は、『ルックバック』や『恋愛革命』と、新しい挑戦ができる機会があったことです。

 「怒」は、新しい挑戦があったからこそ、今までの自分ではダメだと思いました。自分に対しての怒がありました。たとえば『ルックバック』は今までの私の演じ方ではダメで、『恋愛革命』も静の部分がベースになっている役なので、つらいところは深くありながらもポップに見せるという難しさがありました。自分にないもの得るために、いろんな作品を見たりとか、練習をする機会が多かったです。

 「哀」は、「怒」とちょっと似てしまうのですが、まだまだここからやっていかなければいけないことがたくさんあるということでした。未熟さを感じた1年で、まだまだ学ばなきゃいけないことあると改めて思いました。

 「楽」は、もう毎日が楽しいです! 私は常に仕事ができることが一番嬉しいですし、楽しいと思えるタイプなので、皆さんにちょっとでも名前を知ってもらう機会ができて、「今が頑張りどきだぞ」という楽しさがあります。

――以前から舞台での芝居はすごかったと言わせて頂きましたが、『ルックバック』で、吉田さんの武器は、「内側に宿る感情とそれを繊細に表現する目の芝居」に加え、「声」であることを感じました。その点はご自身どう捉えていますか?

 周りから目ヂカラがあるね、と言ってもらえることがあったのですが、『ルックバック』で自分の声と向き合うようになりました。共演した(河合)優実ちゃんと「いい俳優は声からだって聞くよね」とか話していたのですが、私もその通りかもしれないと思いました。だからこそ自分の声を否定せずにちゃんと受け止めて、それを最大限に活かせるお芝居ができれば強いと思いました。自分の声も大切にしつつ、演技を考えていけるようになってきていると思っています。

――ちなみに挑戦してみたい役はありますか。

 今キックボクシングやっているので、体を使ったお仕事もできたら嬉しいです。

――さて、2025年は22歳。ゾロ目の年ですが何かいいことがありそうですね。

 気にしてはいなかったのですが、ゾロ目などプラスに考えられるものは好きです。マイナスなことは気にしないようにしていて、厄年とかも意識しないようにしているのですが、プラスなことは自分を鼓舞する上でとても大切だと思うので大好きです。何かいいことあったらいいなあ。

――吉田さんは新年などお願いごとはされるタイプですか。されるなら、2024年はどんなお願いをしました? そしてそれは叶いましたか。

 お願いごとはしますし、神社にも行きます。2024年は今までの中で一番達成できた年だったんじゃないかなと思ってます。

――ちなみに2024年のお願いごとの内容は?

 照れくさいのですが、もう少し自分の演技を見てもらう機会を増やしたいとお願いしました。これまで素晴らしい作品に恵まれてきました。どれも大好きな作品ばかりです。だからこそ、少しでも私自身を知ってもらえますようにって。今回の『恋愛革命』で見ていただける機会が増えると思っているので、またそこでも新たに知ってもらえたら嬉しいです。2025年も何かお願いをしようと思います。

(おわり)

吉田美月喜

この記事の写真
村上順一

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事