INTERVIEW

小栗有以

高岩成二主演作でヒロイン「アイドルの“ゆいゆい”が少し出た」


記者:木村武雄

写真:村上順一

掲載:23年04月27日

読了時間:約7分

 AKB48の小栗有以がドラマ『グッドモーニング、眠れる獅子2』(坂本浩一監督、Lemino・ひかりTVで配信中)でヒロインを好演中だ。「仮面ライダー」シリーズの伝説のスーツアクターで知られる高岩成二の主演作。前作の好評を受けての続編となる。小栗が演じるのは、キッチンカー「オアシス」で一流のシェフを目指すヒロイン・朱音。ひょんなことから出会った九條和真(高岩成二)と共に、囚われの身となった父を助けるため秘密結社“アルテミス”との戦いに挑む。小栗はAKB48をけん引する中心メンバーとして活躍する一方、女優としても頭角を現している。なかでも舞台『オッドタクシー 金剛石(ダイヤモンド)は傷つかない』では弱さを抱えながらもトップアイドルを目指すため奮闘する二面性のある役どころを好演した。本作の朱音も感情が揺れ動くキャラクターで、その機微をどう表現しようとしたのか。なお動画では「撮影を乗り切るためにしていること」を語ってもらった。【取材=木村武雄/撮影=村上順一】

アイドルと役者

――見どころは何と言ってもアクションだと思いますが、どう感じましたか?

 皆さんのお話を聞くと、東映作品に出られると皆さんファミリーのような感覚になられるそうです。私もその一員になりと思って、アクションにも挑戦したいと思いました。でも本当に大変そうで。アクションを生で見たからこそ分かるんですけど、ハラハラ、ドキドキの限界まで追い込んでいて。その時は私には出来ないと思いました。でも出来上がったものを見るとやっぱりかっこよくて。アクション女優への憧れも持つようになりました。

――小栗さんは舞台で回し蹴りしていますよね。

 (笑)回し蹴りは得意なので、ぜひまた坂本さんの作品に出演させて頂けたら嬉しいです!

――俳優としては普段、どのように準備されているんですか?

 アイドルの時は、ファンの皆さんの事を考えて行動しているんですけど、女優の時はアイドルという自分をなるべく無くした状態で臨みたいので、アイドルの時はよく見ている鏡を見ないようにしています。あと、アイドルの時は「ゆいゆい」と呼んで頂いているんですけど、それで呼んで下さるとアイドルのスイッチが入ってしまうんです。「小栗さん」とか「有以ちゃん」と呼んで頂くと気持ちがガラッと変わるので些細ですが、私にとってはそうしたことが大事になっています。

――劇中では、アイドルっぽい仕草やコスプレ姿も披露されていますが、その時は「アイドルのゆいゆい」だったんですか?

 コスプレ衣装は何着か着させて頂きました。カメラを向けられるシーンは、自然とアイドルとしての自分が出ていました。でもこの作品自体はコメディ要素もあるので、ファンの皆さんに楽しんで頂けるようにとアイドル感を出しました!

小栗有以

小栗有以

変化とブレない意識

――「朱音」という役はこれまで演じてきたものと違いましたか?

 強い女の子の役はいくつか演じさせて頂きましたが、キャラクターごとに違う強さがあるんです。朱音は、最初は強くて自分の芯を曲げない女の子ですが、九条と出会ってだんだんと気持ちが変わっていきます。その心情の変化をどう表現するかを考えるのはすごく楽しかったですし、その違いを見せるのは難しさもありましたが、お芝居をしている実感もあって楽しく演じることができました。

――その演技プランは自分で考えたんですか?

 もちろん坂本監督にもアドバイスを頂きました。でも「有以ちゃんが思うように演じていいよ」って言って下さったので基本的には自分で考えて演じました。高岩さんからも「ここのセリフはこう言った方がいいんじゃない?」というアドバイスを頂きましたし、皆で作り上げている感じがしました。

――なかでも朱音を演じる上で大切にしたものはなんですか?

 芯のある子だけど、ただ強いだけじゃないというところは意識しました。お父さんの事も大事に思っていますし、九条が困っていたら手を差し伸べる優しいところもある。そういう強さのなかに優しさが見えるように大切に演じたり、少しずつ笑顔が見えてくるその変化を意識して演じました。

――九条からのアドバイスを素直に受け入れられなかったり、でも徐々に素直になっていく、その変化をうまく表現されていました。

 変化を表現するのには表情が分かりやすいと思っていました。最初の頃は、九条は半信半疑な所があってお互いに分かり合えていないんですけど、九条のすごさに気付いていくことで気持ちが変わっていき、それによって話し方や表情もどんどん変化していきます。それを実感しながら演じることができたので、そうした変化が自然と表現できたのかなと思います。

――順撮りではないんですよね。ということはその人物の核をちゃんと落とし込んでないと難しいですよね。

 そうなんです。最初は順撮りになれなくてすごく苦戦しました。でもだんだんと慣れてきてそのキャラクターの核というものをしっかり捉えた上で、切り替えがうまく出来るようになってきたと思います。

――お芝居では、相手から引き出されるものや逆に相手に影響を与えるものがあると思いますが、今回はどうでしたか?

 台本を読んで「自分はこうやろう」と思っていても、現場に立つと相手の俳優さんが発するものによって変わるので、まだ戸惑う時もあります。今回の高岩さんはコメディっぽく面白いしゃべり方をされて、それにつられそうになる部分もあったんですけど「朱音は芯がある子だからだめだ」と抑えたり、逆に表情が明るい時は、高岩さんのテンションに乗って気持ちを作ることはありました。

――ラストの半田健人とのシーンは、シリアスな半田さんの空気感に引きずられてしまう可能性もあるわけですよね。

 そうなんです。なので「ブレないように」というのは常に意識していました。「ケータリング代だけもらっていくね」というセリフがあるんですけど、坂本監督に「その言い方いいね!」って褒められたんです。ちゃんと朱音に慣れているんだと思えてすごく嬉しかったです。

小栗有以

小栗有以

東映ファミリーになりたい

――前作のヒロイン渡邊美穂さんは今回も出演されていますが実際には同じ現場に立てたんですか?舞台『オッドタクシー』では濱岸ひよりさんとも共演されましたが。

 渡邊さんとは残念ながら今回同じ現場に立つことはなかったんです。濱岸さんとはあの舞台で仲良くなりました。

――その『オッドタクシー』。良かったですよね。あれでさらに一皮むけて。

 ありがとうございます!あの時も強い役でした。

――気持ち強いけど本心は弱いところもあって。それをちゃんと表現されていましたね。

 そう見てくださって嬉しいです!本当にお芝居が大好きなのでこれからもいっぱい出来るように頑張っていきたいです。

――それも含めてここ数年、俳優としての成長が著しいです。

 そういって頂けて嬉しいです!今回、初めて東映さんとご一緒させていただくのも嬉しいですし、この作品をきっかけに東映ファミリーになりたいです!

――戦隊ものとか?

 先輩の板野友美さんもやられていたり、女性が戦っている姿はかっこいいと思うので、私もアクションやりたいなって思います。

小栗有以

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意識の変化

――今回の作品は「外見だけではなく内面の大切さ」を伝えていると思いますが、ご自身で最近、内面、意識が変わったことはありますか?

 AKB48の先輩がどんどん卒業していくなかで、これまで中堅だった私たちがだんだんと先輩になってきて、グループを支えるだけではなくて引っ張って行く立場なんだというのをすごく感じています。経験したことや先輩から教わったことをもっともっと後輩やメンバーに伝えていきたいというのは最近強く思っています。

――個人としてはどうですか。

 女優業は、アイドル活動ではお会いすることができない、今回で言えば高岩さんとかそうした俳優の皆さんとお話しが出来たり、お芝居させて頂くことで得るものがたくさんあります。毎回出演させて頂く度に「お芝居っていいな」と思いますし、常に自分に刺激を与えていきたいので、新しい事にチャレンジし続けたいです。

――過去に「一生懸命、目の前の事をやる人はかっこいい、輝いている」とも話されています。

 やっぱり一生懸命な人ってかっこいいと思いますし、何事にも挑戦と進化し続けるのは大事だと思いますので、私もお仕事の面も含めて全てにおいて満足せずに進化し続けていきたいと思います!

――さてAKB48 Team8が活動休止になって、AKB48としても小栗さん個人としても転機のような気がしますが、どう受け止めて今後活動していきますか?

 休止はすごく残念ですし、Team8のメンバーはTeam8が大好きなので、休止はすごく寂しい気持ちです。でもこれまで約9年間やらせて頂いて、もともとは3年ぐらいと聞かされていた所もあったので、こんなにも長く続けられたことにすごく感謝しています。終了ではなく休止にしてくれたのも優しさだと思っていて、Team8は存在し続けていると思って頑張っていきたいと思います。AKB48は、メンバーが団結して頑張っていこうと意識を固めたので、同じ方向に向いて皆と一緒に頑張っていきたいです。

――個人個人が経験を積んで成長してそれをグループに返していくような感じですね。

 私もそれが出来たらいいなと思います。

(おわり)

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