先日都内で行われた映画『首』(今秋公開)完成報告会見には北野武監督を始め主要キャストが顔を揃えた。構想30年を費やし、制作費15億円を投じる戦国時代劇。信長の跡目を巡り渦巻く欲望と策略を描く。

 【動画】北野組の撮影で驚いたエピソードと明智光秀の印象を語る西島秀俊。北野武監督はその理由を明かす

 北野監督作品への出演は『Dolls』以来となった西島秀俊。「監督に成長した姿を見せようということは絶対考えないように、無欲に監督の頭の中にある作品をなんとか現実の世界に表に出すべく、力を出し尽くしました。本当に幸せな時間でした」

 演じるのは、本能寺で主君織田信長を討つ明智光秀。「光秀がどういう人物か諸説あるなかでしたが、人間的に現代に繋がるまともな部分と、あの時代で命のやり取りを毎日やっているからこそ、狂っている感覚をもったキャラクターだと思うので、シーンの中で色んな面を演じようと考えていました」

 撮影初日が、信長の居城で謀反後に自身が入城することになる安土城の天守閣でのシーン。「そのセットの美術がとにかく美術が美しかった」とし「常に死がとなりにある中で生きているので、滑稽なことと悲惨ことが隣り合わせ。すごく笑っていると信じられないほど悲惨なことが起きたり、悲惨なんだけど思わず笑ってしまうような、本当に北野監督にしか描けない世界観だと感じました」

 なかでも強く印象に残っているのは、北野組のワンシーンに懸ける姿勢。「撮影終盤に監督が『1シーン追加したい』と言ったことがあって、結構大きなセットを組んでいて、僕もシーンが追加されて嬉しくて、ワクワクしながら現場に行ったのですが、撮影は1カットで終わって、『こんなセットを作ったのに1カットで終わるのか…!』と(笑)ちょっとスタッフも呆然としながら、僕も寄りのカットの撮影もあるのかな?と気持ちを込めて演技をしていたのですが撮影は一瞬でした。監督の欲しい絵のために、皆ワンカットの撮影であってもそれだけのものを作るという本当に贅沢で素晴らしい現場だったことがすごく記憶に残っています」

 これに北野監督は「大島渚監督や黒澤明監督に『大事なシーンは引きで撮るべきだ』と言われたことが印象に残っていて、それが癖になったのだと思います」と明かした。

西島秀俊

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