INTERVIEW

池川侑希弥×田代輝

葛藤する少年を演じた2人が撮影を通して感じたこととは:『雑魚どもよ、大志を抱け!』


記者:村上順一

写真:

掲載:23年03月30日

読了時間:約10分

 Boys be/関西ジャニーズJr.の池川侑希弥と俳優の田代輝が、映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』(3月24日公開)に出演。池川は弱虫な自分を変えたいと願いながらも大事な一歩が踏み出せない高崎瞬、田代はケンカに強くて人情に厚い、みんなをまとめるリーダー格の村瀬隆造を演じる。映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』は足立紳監督が、20年がかりで企画を実現させた意欲作で、昭和末期の地方の町で葛藤する少年たちを描いた。インタビューでは、映画初出演で主演を務めた池川と、複雑な家庭環境を持つ隆造を演じた田代の2人に、同作で感じたことや撮影の舞台裏を聞いた。

人としても尊敬している(田代輝)

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』

――お2人はオーディションで選ばれたとお聞きしています。オーディションのこと詳しく聞かせていただいてもいいですか。

池川侑希弥 僕は大阪でオーディションを受けさせていただいて、セリフを用いたテストと、脚本を読んでの感想文を書きました。その時のオーディションは6〜7人で受けたのですが、それぞれの性格を知るために、そのメンバーで話し合うというのもありました。

――オーディションで感想文書くというのは珍しいと思うのですが、それを聞いた時はどう思いました?

池川侑希弥 僕は映画のオーディションは初めてだったので、実際こういうこともしてるのかなと思ったのですが、取材で「読書感想文を書きました」と話したら、皆さんに驚かれたので、普通じゃなかったんだと思いました。

――田代さんは、東京でオーディションを受けられて。

田代輝 はい。最初のオーディションでは、思いっきり笑ったり、泣いたりという感情表現をみせるという内容でした。それを通過した後に、もう1回オーディションがあったのですが、今度は掛け合いのシーンを覚えてきてほしいとのことでした。池川くんが2回目のオーディションに来てくれて、相手役としてお芝居した時に僕がイメージしていた瞬だと思いました。

――池川さんはどんな気持ちでこの場所にいたんですか。

池川侑希弥 大阪でのオーディションが終わり台本をいただいて、今度は東京でオーディションですと聞いて僕は、「まだオーディションあるのかな」と思いました。でも、行ってみるとそれは瞬以外の役を決めるオーディションでした。その時にみた田代くんのお芝居がすごくて、大阪に帰ってからも、「すごい子がいた!」と両親とかに話していたんです。

――特にどんなところがすごいと感じました?

池川侑希弥 セリフの間の取り方がとても上手かったです。ちょっとくい気味で言ったり、逆にちょっと間をおいてから言ったり、その間が絶妙でした。

――お互いの印象というのは?

池川侑希弥 現場にいたのはほぼ同年代で、その中で田代くんが1番年上だったので、周りが見れていてしっかりしてるんですけど、僕たちのノリにも合わせてくれたりして、 面白い人だなという印象でした。

田代輝 池川くんは周りに気配りができて、すごく優しい人です。一緒に生活していても、いろんなところ場面で優しさが溢れていて、僕も池川くんみたいになれたらなと思いました。今までいろんな人に会ってきましたが、人としても尊敬しています。

――物語の重要なポイントになってるトンネルはどうでした?

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』

池川侑希弥 あのトンネルは奥が全く見えないんです。周りにスタッフさんや共演者の方がたくさんいたから、そこまで怖くはなかったんですけど、 1人だったらきっと怖かったと思います。

田代輝 僕が演じる隆造もあのトンネルに行くと必ずお願いごとをしているんです。何をお願いしているのかは徐々にわかっていくのですが、地獄トンネルは作品の中でも重要な場所です。池川くんが言っていたように、本当に怖い場所でもありますが、あの場の雰囲気や空気感などすごく印象に残る場所でした。

――足立監督とは現場ではどのようなやり取りがあったんですか。

池川侑希弥 みんなと焼肉に連れて行っていただいた時に、監督が僕らと同じくらいの歳の頃に実際にやっていたことを教えていただきました。そのおかげで撮影のとき当時のことが想像しやすかったです。あと、白石葵一君が演じるトカゲ(戸梶元太)と喋る時はちょっと上に立つイメージ、隆造の時は隆造任せにするような感じで演じてみてほしいと、監督からアドバイスをいただきました。

――田代さんは、どんな意識で撮影に臨んでましたか。

田代輝 僕は池川くんとは逆で、自分が全員を引っ張っていかなければいけないという立場なので、走るときも隆造が1番で2番が瞬というのがありました。なので、池川君たちに抜かれないように頑張ってました。自転車に乗るシーンも僕が後ろにトカゲを乗せた状態で走るのですが、それでも1番じゃなければいけなくて大変だったんですけど、実は池川くんにそっと「あまり本気でやらないでね」とお願いしてました(笑)。

――ははは(笑)。走るといえば池川さん、たくさん走っていますが、酸素ボンベを使うほど大変だったとお聞きしています。

池川侑希弥

池川侑希弥 はい。最初は普通のサイズの酸素ボンベ1缶で足りるかなと思ってたのですが、予想以上に走ったので、僕も体力がなくなってしまい結構大きめの酸素ボンベを用意してもらいました。絶対使いきれないぐらいの大きさでした(笑)。

――長時間、撮影をしていたということですね。

池川侑希弥 ほぼ1日かかったと思います。

――田代さんはそのシーン、電車に乗っていて。

田代輝 はい。僕は電車に乗っているシーンだったので、「池川君、大変そうだな」と思って見ていたのですが、感動して本当に涙がでました。

演じることの楽しさを味わえた(池川侑希弥)

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』

――隆造のお父さん役として永瀬正敏さんが出演されていますが、ご一緒してみていかがでした。

池川侑希弥 僕は雨降らしのシーンでご一緒させていただいたのですが、永瀬さんは僕に「寒くない大丈夫? タオルもう一枚もらおうか」と声をかけてくださいました。永瀬さんも寒かったと思いますが、僕に気を使ってくださってとても素敵な方だなと思いました。そして、永瀬さんの演技を見て学ぶことがたくさんありました。特に印象的だったのは、永瀬さんは普段とても優しい方なんですけど、役が元ヤクザという設定だったので、役に入った瞬間表情がガラッと変わるのを見て、すごいなと思いました。

田代輝 池川君が話していたように、カメラが回っていない時はすごく優しいんですけど、カメラが回るとさっきまでの優しかった永瀬さんを忘れるほど怖かったです。それを僕は間近で見てすごい刺激を受けて、僕も永瀬さんのようにオンとオフを切り替えられるような俳優になりたいと思いました。あと、去年行われた『東京国際映画祭』のレッドカーペットのとき、永瀬さんは別の作品でノミネートされていたのですが、僕がいるところまでわざわざ来てくださってとても嬉しかったです!

――そんな永瀬さんを、田代さんが切り付けるシーンもありますよね。

田代輝 はい。何回か切る練習もしました。永瀬さんは「遠慮しないで全然大丈夫だから」と言ってくださったので、お芝居とはいえ申し訳ない気持ちもあったのですが、撮影中はその気持ちを1度捨てて、思いっきりやらせていただきました。

――この作品を撮影を通して、役者としての新たな発見や気づきはありました?

池川侑希弥 今回の撮影を通して、普段はアイドルとして活動してますけど、 俳優としても活躍できるようになれたらいいなと思いました。今回色んな役者さんを見れたことで、たくさん学ぶことができたので、これからお芝居をする機会があれば、今回の経験を活かしていきたいと思います。演じることの楽しさを味わえたので、それが1番大きな発見だったと思います。

――今後、挑戦してみたい役はありますか。

池川侑希弥 将来的なことなんですけど、『金田一少年の事件簿』の金田一を演じてみたいです。できるかどうかわかりませんが、それを目指してドラマや映画を頑張りたいです。

――田代さんは撮影を通してどんな発見や気づきがありましたか。

田代輝 今回長回しの撮影が多くありました。例えば自転車でトカゲの家から星正太郎(演:松藤史恩)の家に向かうシーンはワンカット撮影でした。台本にはそのシーンのセリフはほとんど書いてなくて、基本アドリブだったのですが、これまでそういった経験がなかったので、 こういう撮影の仕方もあるんだという発見がありました。

――池川さんは長回しの撮影はいかがでした?

池川侑希弥 全てが初体験なのですが、ワンカット撮影は他のシーン以上に緊張しました。1番感情が入った長回しのシーンもあったので、僕がミスをしてカメラを止めるのは絶対嫌だったので、長回しじゃなければ味わえない緊張感がありました。

――お2人が生まれていない時代のお話しですが、共感できるところはありましたか。

池川侑希弥 今はスマホを使ってメッセージを送ることが多いですけど、西野聡(演:岩田奏)が転校するとなった時、手紙出したりすごく友達思いなんです。それは今も昔も通じるところがあると思います。手書きの手紙は1番気持ちが伝わると思うので、共感してもらえるんじゃないかなと思いました。

田代輝 瞬もそうですけど、他の子たちと競って勝ちたい、自分が少しでも上の立場にいたい、親友が転校してきた子と仲良くしているところを見て嫉妬をしてしまうという、子供時代にしか感じないような思いは、今の世代の子たちにも伝わると思います。

――それぞれの役と自分の共通点はありましたか。

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』

池川侑希弥 僕と瞬の共通点は自分からは引っ張らない、みんなを引っ張っていくような立場ではないことが共通点でした。僕は普段でも人をまとめるのがちょっと苦手なのですが、そこが瞬と似ていると思いました。それもあって友達関係など、自分の中でイメージしやすかったです。

――逆に理解することが難しかったところは?

池川侑希弥 僕、学校ではどちらかというと明るいほうなんですけど、瞬は境遇としてちょっと暗い子になってしまう面があったので、そこは自分とは少し違ったところかなと思いました。全く分からないというわけではないんですけど、ちょっと難しいと感じたところでした。

田代輝 隆造は、瞬とは逆でみんなをまとめる立場です。僕は学級委員をやっていたので、みんなをまとめていくというところが似ていると思います。自分と違う部分は、隆造たちのように度を越えてしまうようないたずらとかはしないですし、家族問題や孤立した寂しさを抱える気持ちを理解するのが難しい部分ではあったのですが、役を演じるにあたって、できる限り理解したいと思い、台本を読みこんで撮影に臨んでいました。

――最後に、この作品を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

田代輝 7人の少年たちが悩みと葛藤し成長していく物語です。僕らと同年代の子供たちはもちろん、大人の方にも勇気を与える作品になっていると思いますので、ぜひ映画を観ていただいて、勇気をもらっていただけたら嬉しいです。

池川侑希弥 広い世代の方に見てもらえる映画だと思っています。若い世代の方には昔こういうことがあったんだ、という新鮮な気持ちで観てもらってもいいですし、僕の父世代の方には、懐かしい目線で見てもらえたらと思います。

(おわり)

▼池川侑希弥
ヘアメイク:永井絵美子(JOUER)
スタイリスト:大内美里

▼田代輝
ヘアメイク:野中美希
スタイリスト:君嶋麻耶

■作品情報

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』

公開:2023/03/24(金)

ストーリー

1988年。日本のある田舎町。瞬は仲間たちとのバカな遊びに夢中な12歳の男子。瞬の親友にはヤクザだった父親を持つ隆造、母親が新興宗教にハマっている通称"トカゲ"こと元太、イジメを受けながらも映画監督を夢見る西野など、様々な悩みを抱えながら懸命にもがく少年たちがいた。『百円の恋』(脚本)、『喜劇 愛妻物語』の足立紳監督が"少年時代の葛藤と前進"を描く、運身の感動作。

キャスト
池川侑希弥(Boys be/関西ジャニーズJr.)、田代輝、白石葵一、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、臼田あさ美、浜野謙太、新津ちせ、河井青葉、永瀬正敏

スタッフ
監督:足立紳

作品データ
製作年
2022年
製作国
日本
配給
東映ビデオ
上映時間
145分

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