angela「未来に続く決意を」『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』主題歌に込めた想い
INTERVIEW

angela

「未来に続く決意を」『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE 』主題歌に込めた想い


記者:村上順一

撮影:

掲載:23年02月04日

読了時間:約8分

 ヴォーカルのatsuko、ギター&アレンジのKATSUから成るユニットangelaが、完全新作スピンオフ作品『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』(1月20日より劇場特別先行上映)主題歌「Start again」を1月21日よりデジタルシングルとしてリリース。2004年放送の TV アニメ第1期『蒼穹のファフナー』から18年、angelaがすべてのシリーズで主題歌・挿入歌・イメージソングを手掛けるアニメ「蒼穹のファフナー」シリーズ。 アニメファンからも「蒼穹のファフナー」に必要不可欠と称される angela の“ファフソン”最新曲として「Start again」を書き下ろした。 MusicVoiceではangelaの2人にメールインタビューを実施。「Start again」に込めた想いや、その制作背景、改めて『蒼穹のファフナー』の魅力など回答してもらった。【取材=村上順一】

『蒼穹のファフナー」はangelaをangelaにしてくれた作品

――2022年を振り返るとどんな1年でしたか。

atsuko ライヴやフェスがもどってきた1年に感じます。angelaのライヴツアーもできて、ファンの皆様にたくさんお会いできる機会に恵まれて嬉しかったです。

atsuko

KATSU angelaデビュー20周年を目前とした19周年イヤーでした。コロナ禍というのもありましたが、沢山新作の発表もできたし、今年の作品の制作期間として費やした年でした。

――『蒼穹のファフナー』シリーズの魅力はお2人はどんなところにあると感じていますか。加えてお気に入りのシーンなどありましたら、その理由とともに教えてください。

atsuko 苦しい戦いはやはりつらいですが、登場人物の葛藤や成長を通じて、時間の経過を感じながら、人生をともに歩んでいるような気持ちになれるところです。

 お気に入りのシーンは、総士がちょっと小難しいことを言った時や、不器用な対応をするときに、周りのキャラクターたちが優しく「しょうがないなあ」という対応をするところです。

KATSU ファフナーの魅力は戦闘シーン!!と言いたいところなのですが、(ロボットアニメという認識の方も多いようで…)キャラクター1人1人の成長の描き方が丁寧で、そこにどんな結末があろうとも制作陣の「愛」がある。それに一喜一憂し、絶望を…また繰り返し見る事で細かい設定やエピソードに気付き、感心したり感動したりの繰り返しが毎話数に訪れるところ。

 お気に入りのシーンは、各話につき数カ所単位で訪れるので、あえてシリーズで言うなればいろんな意味で『蒼穹のファフナー EXODUS』凄い! と言う事で勘弁して下さい。『蒼穹のファフナー EXODUS』を100%堪能したいならば、『蒼穹のファフナー THE BEYOND』まで見て! となってしまいます。

KATSU

――『蒼穹のファフナー』シリーズはangelaにとってどんな意味を持つ作品だと思いますか。

atsuko もはやライフワークです。angelaといえばファフナーと言われるのも、18年半、ご一緒したからだと思います。angelaをangelaにしてくれた作品です。

KATSU OP&EDのみならず特殊挿入歌など全てをangelaに託して頂きこの約19年間は常に頭の片隅に「ファフナー」と共に過ごしていました。「angelaの骨格」なんて表現が自分的には1番しっくりきてます。

――新作スピンンオフ作品『蒼穹のファフ ナー BEHIND THE LINE』、注目ポイントは?

atsuko キャラクター同士のすべての会話に意味がある作品です。

KATSU ジグソーパズルの最後のピースが全て埋まったような感覚がありました。誰の視点で見るか? でゴールが沢山あり、その全てがハッピーエンドでご褒美でありました。

――「Start again」は『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』のどこにフォーカスし制作されましたか。

atsuko もちろんこの後に続く『蒼穹のファフナー EXODUS』の展開は重々承知ですが、今回は「この先のことは何も知らない!」と自分に言い聞かせながら制作しました。大きな世界ではなく個人の小さな心の揺らぎ、そこからの未来に続く決意を描きたかったです。

KATSU 終盤だろう? とは勝手に予想していました。監督の能戸さんからは楽曲のイメージなど色々と貰いました。その上で、「angelaに任すよ・・・」って心の声が聴こえた気がしました(笑)

――楽曲のこだわったところや注目してほしいポイントは?

atsuko 絵コンテを読んでから制作しました。ビックリするくらいすごいタイミングで曲を使っていただき、その歌詞と映像のリンクが神がかっています。これぞクロッシング!

KATSU むしろ、ファフソン(※angelaがファフナーに書き下ろした楽曲)にしては「前に出過ぎない事」を今回はかなり気をつけていました。総合芸術である以上、スピンオフとは言えどキャラクター達からの最後のメッセージを楽曲がかき消してしまうと、ダメだからです。具体的には、短いスパンで同じリズムを感じる単調なメロディーを繰り返さないこと。曲が流れてる途中、視聴者の耳は常に台詞が中心である事。その中で一瞬飛び込んで来る歌詞の1フレーズでファフナーの世界観と思い出に浸れるワード選び、などBGMとしての要素に徹する事でした。

――作詞されていく中で、特に苦労されたところや、この歌詞からどんなことを感じ取ってもらえたらうれしいですか。「Start again」というタイトルになった経緯や込めた思いも、お聞かせください。

angela「Start again」ジャケ写

atsuko 絵コンテをいただけたおかげでスラスラと歌詞は書けました。タイトルは、またいつでもファフナーをスタートさせて良いんですよ! という願望も込めています(笑)。

KATSU 「まだ終らない まだ止まれない 君と進めるのならば」やはり最終章を迎え、ファンの皆様は約19年も愛し続けたファフナーが終ってしまう事へ寂しさを感じてる方だらけな気がします。僕もそうです。なので島民(※ファフナーファンの呼称)から作品への代弁ができてたら嬉しいなと思いました。個人的には、「抱えた希望の重さは時に 胸にほころぶ燈火」の燈火~ともしび~が、アニメ第1期の灯籠流しの回を彷彿していて辛く悲しい時代を乗り越えてからの「Start again」か~、とグっと胸が詰まった。

――レコーディングで印象的だった出来事や、新た試みなどありましたら教えてください。

atsuko レコーディングのディレクションでKATSUさんに、「やっぱりファフナー歌わせると上手いなあ」と言われました(笑)。

KATSU 試みではないのですが、、『蒼穹のファフナー THE BEYOND』での主題歌「叫べ」を最後に、ドラムを叩いてくれていた山内“masshoi”優くんが2019年に急性心不全の為、逝去致しました。この作品の最後は彼と締めくくりたかったので、彼のドラムセットをスタジオに持ち込んで一番弟子である山口タイト君にお願いして叩いて頂きました。セッティングされたドラムセットを見ただけで感極まるとこありました。目を閉じると確かに彼がそこに居るようなズッシリしたドラムの音色で、この曲にピッタリだ!と感激しました。

――「Start again」にちなんで、お2人が再開させたいことはありますか。

angela

atsuko ダイエット。

KATSU 次の、フ、ふ、ファ、ファフ.... と言いたいところですが、多分? まだ今は、制作陣の皆様は安堵の(笑)

――いまお二人が追求、探求していきたいことはどんなことですか。

atsuko 新しくも、人々に愛されるアニソンを制作していきたいです。歌の表現力や、パフォーマンスももっと上を目指したい!

KATSU ファフナーでは、偶然?必然?的な、予想していたファフソンの使われ方とは違う手法で何度も涙しました。時に役者さんの演技と相まって、時に音響監督三間さんの技術によって・・・「ここは絶対angelaの主題歌でしょ!」と名シーンで威力を発揮する、そう! ファフナーでのファフソンのような・・・ アニソン屋として、音楽作品としての“主題歌”を極めたい!!

――岡山凱旋公演として 5月20日、21日の2Daysで開催されますが、どんなライヴにしたいと思っていますか。合わせて意気込みをお願いします。

atsuko 子供の頃、スターがコンサートにやってくる場所、それが岡山市民会館でした。そのステージについに立てる喜びを噛みしめながらもangelaらしいライヴを目指します。2日目の西大寺公民館は、子供のころから遊んでいた場所。初めてピアノの発表会で立ったのもこのステージです。そこにangelaで立てるなんてドキドキが止まりません。お友達もたくさん来てくれそうです。

KATSU この20年で携わった作品達の楽曲を披露するのは当然なのですが・・・幼い頃、この場所で音楽・コンサートに出会って今の僕達が居ます。20日は間違いなくangela史上1番熱いコンサートに。21日はatsukoさんの地元ですが、僕にとっては通学路で高校の隣町。よく学校をサボって・・・おっと、この話は5月21日に(笑)。

――2023年、angelaはどんな姿をファンの皆さんに見せていきたいと考えていますか。

atsuko 変わらない良さと、チャレンジしながら変わっていく良さ。その両方のバランスを追求していきながらしっかりと地に足をつけ、夢を追い続け、音楽を楽しんでいきたいです。

KATSU 5月からデビュー20周年イヤーに突入するのですが、2023年に入ってもうすでに新しい作品達が発表されております。どれも大切なangelaの身体の一部で、ファフソンから教わった魂を削る制作方法で仕上げました!「蒼穹のファフナー THE BEYOND」で最終章を迎えた今、我々は新しい挑戦の真っ最中なのかもしれません。しかし! 我々angelaのファフナーは何一つ終結していないし、この命ある限り『蒼穹のファフナー』を一生背負い、まだまだ歌い続ける所存でございます!

 来年ファフナーが20周年になったらまた勝手にファフソン作り出すかもしれませんし、もしファフナーイベントがあったら呼ばれてないのに、登壇する!と騒ぐかもしれません(笑)一騎は「外の世界を見てみたい!」と島を離れましたが、本当は島を守る為に自分が強くなって帰ってくる決意表明なのだと僕は思った。また皆でこの『竜宮島』で再会する為に!!

(おわり)

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