湘南乃風が19日、日本武道館で20周年第1弾ライブ『日本武道館公演「新・春・狂・乱」武道館』を開催した。

 湘南乃風にとって初の日本武道館単独公演。しかも、アリーナ中央にステージが置かれた360度客席が見渡せるセンターステージ仕様も湘南乃風初の試みだ。まずは、20年間オフィシャルDJを務めるBKがオーディエンスに「20周年、俺らとお祝いできる人どれくらいいる?」と呼びかけ、大いに盛り上げる。

 ステージ上の立方体型のヴィジョンに湘南乃風の20年間の歴史が映し出され、RED RICE、若旦那、SHOCK EYE HAN-KUNという4人のメンバーのメッセージが流れる。日本ではあまり馴染みがなかったレゲエ。「もっとレゲエを広めたい」「もっと歌いたい」という想いを胸に戦い続けた心境が吐露される。「待ってくれてる仲間がいる限り、俺たちは歌い続ける」という決意を胸に、アリーナの4方向からメンバーが登場。それぞれがセンターステージに向かって歩き、ステージに立って仁王立ち。まるで格闘技のような登場にオーディエンスは大熱狂。1曲目の「Knock it Down」でステージから炎が上がり、一斉にタオルを回すオーディエンスはサビでジャンプ。

湘南乃風

 HAN-KUNが「武道館史上、一番危ない時間」と前置きし、「Born to be WILD」へ突入。SHOCK EYEのハイトーンの歌声が響き、炎が上がり、危険度を高めていく。決死の覚悟を宿した4人の人間臭いシャウトによるハーモニーが響く。

 湘南乃風がアンダーグラウンドから飛び出すきっかけとなった曲、「応援歌」のイントロに客席から悲鳴のような歓声が上がる。自分たちを鼓舞すると同時に聴き手も鼓舞する歌詞に対し、満員のオーディエンスは「Stand up!」と声を上げ、一体となる。

 RED RICEが「今日は距離が近いね。全員見えてるからさ。さぼってんじゃねえぞー!」と叫ぶと、チアフルなスカナンバー「覇王樹」がスタート。オーディエンスは楽しそうに、リズムに合わせてタオルを回す。ご機嫌なレスポンスもばっちり決まる。そして、あのメロディアスなピアノの旋律が流れ、大歓声が上がる。HAN-KUNが「俺たちの運命を変えた曲。なんでもなかった俺たちが作った愛の歌」と口にする。そう、「純愛歌」だ。HAN-KUNが1フレーズ歌った後、「この曲知ってるっけ?」と問いかけ、オーディエンスが大きな声で国民的ソングを歌い始める。照明が暗くなり、武道館がスマホライトで包まれる。HAN-KUNが〈目の前には武道館の星 一番大好きなお前らがいる〉と歌詞を変えて歌い、特別な一夜を祝福する。

RED RICE

 若旦那が「大切なヤツはいるか? そいつのことを胸に一緒に心の中で歌ってほしい!」と煽り、オリエンタルな音色が流れ、「睡蓮花」へ。サビで証明が明るくなり、大量のタオルが目に飛び込むが、「まだまだ足りねえ!」とやり直し。HAN-KUNが「この先20年、30年、ずっと仲間でいてくれるやつ手をあげろー!」と言うと、オーディエンスがタオルを持った手を突き上げ、無尽蔵な盛り上がりを見せる。

若旦那

 HAN-KUNが「これが俺の夢なんだって素直に思えてるかな?って考える時もある。でも20年経っていろいろなことを越えてきたからこそ、今ならはっきり言える気がする。これが俺らの…いや、湘南乃風が俺らの夢なんだ」と覚悟を口にし、昨年リリースされた「夢物語」へ。ヴィジョンに歌詞が映り、現代社会における孤独や悲哀を浮き彫りにする。若旦那が、〈地球がもし終わるとしたら 今日みたいに歌ってたいな〉と歌詞を変えて歌う。この時代における愛と平和を突き詰めた最新の湘南乃風からのメッセージだった。

HAN-KUN

 終盤にはRED RICEがリーダーとしての想いを口にした。今日のライブは今までの20年間で一番緊張したライブであり、今までで一番楽しいライブにするという気持ちで向き合ったということ。そして、若旦那、SHOCK EYE、HAN-KUNへの感謝を明かした。思わぬRED RICEの告白に他3人も感無量。次々に感謝の気持ちと、「これからもよろしく!」という言葉を口にする。第5のメンバーであるBKも「このお兄ちゃんたちにすごいところまで連れてきてもらった。血は繋がってないけど本当のファミリーと呼べる仲間がいてくれてよかった」と。HAN-KUNが「改めてここにいるみんな、自分自身に拍手喝采!」とにこやかにいい、ノリノリのダンスナンバー「一番歌」で本編は終了した。

SHOCK EYE

 アンコールはまず「SHOW TIME」でぶち上げた後、〈できるできねーじゃねーだろ やるかやらねーそれしかねーだろ〉とパワフルに歌う「風乃時代」へ。これまでの栄光と苦難を胸に、未来へとバトンを繋ぐ。若旦那が「もう1回見せてくれよ。すげえ景色。20年間やってきたんだ」と言って、「親友よ」。ステージ上では4人が、客席ではオーディエンスが肩を組み、熱唱する光景が見られた。若旦那が「2023年は始まりだ!」と叫び、4月から全国ツアーを実施することを発表。「目の前の扉、蹴とばしていけ!」という叫びと共に「黄金魂」へ。これでもかと炎が上がる中、メンバーもオーディエンスも最後の力を振り絞るかのようにタオルを突き上げ、熱唱。RED RICE、SHOCK EYE、HAN-KUNによる人間臭いハーモニーに被せる形で若旦那が「結局、湘南乃風はただの生き方。変化することを恐れずに前に進む。だからツアーで次会おう。湘南乃風らしく生きていくヤツは拳を上げろー!!」と、声を嗄らしながら叫ぶ。〈走れ 走れ ぶっ倒れるまで!〉という1万人の合唱は、未来に向けての決起集会のようだった。BKも含め5人で並んで挨拶をし、マイク無しで「ありがとうございました!」と叫んで、ライブは大団円を迎えた。

 終演後、ツアーに加えて、ベストアルバムを発売、8月12日には地元神奈川にある横浜スタジアムでライブを行うことが発表された。湘南乃風、20周年の盛り上がりは必至だ。(文:小松香里)

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