杏里「ここまで育ててくださったのは皆さん」44周年で伝えた感謝と愛
杏里
シンガーの杏里が11月5日、東京・めぐろパーシモンホールでツアー『ANRI LIVE 2022 ~Wave~』を行った。ツアーは10月1日のかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール公演を皮切りに、11月26日森町文化会館 大ホールまで、全8カ所を回るというもの。ライブは事前に募ったリクエスト曲を中心に、ヒット曲「CAT’S EYE」や「オリビアを聴きながら」など披露した。デビュー44周年の記念日での公演となった同公演の模様を以下にレポートする。(※一部ネタバレあり)
■心の中で歌って――
サポートメンバーによる熱い演奏でライブの幕は開けた。そして、その演奏の中を黒い衣装を纏った杏里がステージに登場。グルーヴィなビートに触発されるかのように、オーディエンスも席から立ち上がり、手拍子で盛り上げる。透明感のある伸びやかな歌声を響かせながら登場する杏里の姿も印象的なオープニングだった。
10月から始まったツアーについて、「最初はスタートできるか不安だったのですが、ここまでたどり着くことができました」と安堵の表情を浮かべる杏里。そして、ツアー前にファンから募ったリクエストは、バラード曲への投票が多かったという。それに応えた形となったバラードセクションへ。情感を込めた歌声で、ノスタルジックな気持ちにさせてくれた時間だった。
コロナ禍のライブということもあり、「覚えている歌詞があったら心の中で歌っていただきたいと思います。まだ(新型コロナ)は油断のできない状況ですが、集まっていただいて感謝しています」と、感謝のメッセージを送る杏里が続いて届けたのは、清流のような歌声が、我々の心をギュッと掴んだ「愛してるなんてとても言えない」。杏里の頭上にはキラキラとしたオブジェがラグジュアリーな雰囲気を醸し出すなか、切ないラブソングを響かせた。リズムに合わせオーディエンスも左右に手を振る光景とともに一体感を作り上げるなど、レイドバックした時間を堪能。
■サプライズで花束贈呈
サポートバンドによるファンキーなセッションを挟み、衣装をチェンジした杏里がステージに。ガラッと雰囲気が変わり、杏里の歌声もエネルギッシュに、会場の隅々までパワフルな歌声が響き渡る。3曲をメドレーで届け、ヒット曲「CAT'S EYE」などをパフォーマンス。会場のボルテージは最高潮まで高まった。ミディアムからアップテンポまで、幅広い音楽性で魅了した。
デビュー曲「オリビアを聴きながら」歌唱前にサプライズとして、44周年をこの日迎えた杏里に、情熱という花言葉を持つアンスリウムの花束が、サックスの鈴木明男氏から贈呈された。会場から祝福の拍手が降り注ぐ中、エモーショナルに歌い上げる杏里は、後半で感極まり歌声が詰まってしまった場面もあったが、オーディエンスが手拍子で後押しし、ファンとの絆を感じさせ、会場が一つになった瞬間だった。
アンコールにも応え、生バンドによるゴージャスなサウンドと共に走り抜けた。杏里の魅力を約2時間に凝縮。いつまでも変わらない姿を我々に見せてくれた。最後に杏里は「44年音楽をやってきました。たくさんお伝えしたいことはありますけど、私を育てて下さった大切な仲間たち、いま一緒にツアーを回っている素晴らしいスタッフ、チームANRIの皆さん、感謝しています。そして何よりも私をここまで育ててくださったのは皆さんです。今日は本当にありがとうございました」と感謝を伝え、記念すべき日のステージは幕を閉じた。
年内は、12月24日に京成ホテルミラマーレ開業20周年記念『杏里クリスマスディナーライブ』を行う予定。【村上順一】
■バンドメンバー
小倉泰治(Key)
小松秀行(Ba)
植田浩二(Gt)
Kenny Mosley(Dr)
鈴木明男(Sax)
小澤篤士(Trp)
高井天音(Trb)
vahoE(Cho)
Gary Adkins(Cho)
Dawn(Cho)