INTERVIEW

西野七瀬

イノッチに引き出された本気の泣き芝居「たぶん泣き顔が全然きれいじゃないと思います(笑)」:「シャイロックの子供たち」


記者:村上順一

写真:興梠真穂

掲載:22年10月12日

読了時間:約6分

 西野七瀬が、10月9日午後10時よりWOWOWで放送・配信が開始される、井ノ原快彦主演ドラマ『連続ドラマW シャイロックの子供たち』に出演。西野は、ある思惑によって現金紛失事件の濡れ衣を着せられてしまう銀行員・北川愛理を演じる。『シャイロックの子供たち』は、ベストセラー作家、池井戸潤の傑作小説を初の連続ドラマ化。メガバンクの支店で起こった現金紛失事件をめぐり、さまざまな銀行員の群像が描かれる。インタビューでは、北川愛理を演じるにあたって準備していたこと、西野の活動の原動力など、話を聞いた。

新しいことを学べるのは毎回楽しい

興梠真穂

西野七瀬

――出演が決まった時の心境を教えて下さい。

 WOWOWさんのドラマは2015年に、『連続ドラマW 天使のナイフ』で出演させていただいことがあるのですが、すごく久しぶりで、今回の撮影がすごく楽しみでした。作品の雰囲気がミステリーでありながら、今まで見たことないようなお仕事ドラマでもあると感じたので、どういう感じになるんだろうなと思っていました。

――どのようにご自身の役、北川愛理にアプローチされましたか。

 北川愛理は、真面目なまっすぐな女性ということが、言動などからすごく表れているなと思いました。事前に役柄を準備していくことは、あまりしていなかったですね。

――役柄以外で、準備されたことは?

 お札を数える練習をお家でやりました。すごく難しかったんですけど、撮影が終わってからも役に立つなと思いながら練習していました。あと、銀行員の教科書のような本も少し見たのですが、本当に難しくて...。でも、新しいことを学べるのは毎回楽しいです。

――北川愛理はどんな人物だと思いますか。

 愛理は、家族のために家計を支えていたりとか、毎日自分でお弁当を作って持ってきていたり、もっと高みを目指して勉強したり、そういうところがすごく偉い女性だなと思いました。

――主演の井ノ原さんなど、現場の雰囲気はどのような感じでしたか。

 井ノ原さんは本当に優しくて、キャストさん、スタッフさん、年齢も関係なく、みなさんとよくお話されていました。井ノ原さんがいらっしゃると、現場の雰囲気がすごく柔らかくなるなと思いました。私も現場に行くのがすごく楽しみでした。

――この作品を通して、自分の中で気づきや発見はありましたか。

 欲に負けるのは良くないということです(笑)。悪いことをするとちゃんとバチが当たるんですよね。また、役として、怒りの感情を出すことが難しく、そこでの気づきがありました。特に感情表現のところは丁寧にやっていました。どんな仕上がりになるのか、自分でも想像がついてないので楽しみなんです。

――最近欲に負けたことは?

 やらなきゃと思っているけど、欲に負けてなかなかできないということはあります。例えばセリフを覚えなければいけないのに、その時の欲に負けてちょっとサボってしまって、本番が近づいてきて、慌てふためくことがあります(笑)。なので、欲に負けそうになった時は、「今しんどい方が後で自分のためになるぞ」って言い聞かせています!

――ちなみに西野さんは物事を前倒ししてやるタイプですか。例えば夏休みの宿題だったら、早く終わらせるのか、ギリギリでやるタイプなのか。

 私はギリギリタイプです。なんなら間に合ってないです(笑)。

――井ノ原さんに怒られるシーンがありますが、そのシーンを振り返るといかがですか。

 とても印象が強いシーンで、私も放送がすごく楽しみなシーンの一つです。何とか泣こうとするのではなくて、本当に泣かされた感じがありました。たぶん泣き顔が全然きれいじゃないと思います(笑)。私は相手のお芝居によって演技が変わるタイプだと思うんですけど、それを改めて実感したシーンでした。同じシーンを何度もカメラ位置を変えてやったのですが、その度に怒られていたので、だんだん「何で私、怒られているんだろう?」みたいな感じになっちゃって(笑)。

 私は涙をうまくコントロールすることができないタイプなので、段取りやテストは少し抑えめにして、本番1発にかけて臨みました。共演させていただいた萩原(聖人)さんが同じシーンにいらっしゃって、「泣かなきゃダメだよ」と、お茶目な感じで話されていたのを覚えています。

――カットがかかると、普段の井ノ原さんに戻られるという感じですか。

 はい。井ノ原さんは「疲れちゃったから、このまま怒ってる最中に座ってみようかな」みたいなことも話していて、現場は楽しかったです。

原動力は何か感じてもらえること

興梠真穂

西野七瀬

――西野さんがもし銀行員になったとしたら、どんな感じになりそうですか。

 すごくシビアな部分が多いお仕事だと、その反動で普段の自分がルーズになってしまいそうな気がしています(笑)。職場では頑張るけど、そこから出たらいつものスタイルに戻るんじゃないかなと思います。

――西野さんの活動の原動力になっていることはどんなものがありますか。

 人との出会いもそうなのですが、完成した作品が世に出て、観てくれた人が、何かを感じてくださることもそうなのかな。身近な人から連絡をいただくこともあるんですけど、演技について褒めていただけると、嬉しくなります。それが大きな原動力になっていると思います。

――最近掛けられた言葉で嬉しかった言葉ってありますか。

 私が尊敬している同世代の役者さんから、演技を見て「ちょっと嫉妬しました」と言っていただけたのが、すごく嬉しかったです。そんな感想を言ってもらえるなんて想像もしていなかったので、ビックリしました。

――西野さんは誰かにそういった言葉を掛けたり、連絡したりすることも?

 『容疑者Xの献身』を観た時のことです。その作品に出演されていた堤真一さんと『みんな我が子』という舞台でご一緒した時に、新型コロナで公演が中断してしまった時期があったんですけど、その時にお家で鑑賞しました。その中で友達の金澤美穂ちゃんを見つけたときは、嬉しくて連絡しちゃいました(笑)。

――最後に、この作品を通して伝えたいメッセージは?

 真っ当に生きることの難しさだったり、家族を守るためだったりいろいろ理由はあるかもしれないけど、人として超えてはいけない一線があると私も思ったので、観ていただいた方にも伝わるといいなと思っています。

(おわり)

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