INTERVIEW

山本耕史

「一番貴重な体験」山本耕史が叶えた夢とは:実写映画『ピノキオ』インタビュー


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年09月28日

読了時間:約5分

 ディズニー公式動画配信サービスDisney+独占で日米同時に配信開始された、ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演の実写映画『ピノキオ』に、俳優の山本耕史がピノキオの“良心”として一緒に冒険をするコオロギのジミニー・クリケットの日本版声優として参加。『ピノキオ』は、『アラジン』、『美女と野獣』に続き、ディズニーが贈る実写化最新作。インタビューではジミニー・クリケットの日本版声優に決まった時の心境から、不朽の名作である『ピノキオ』を家族とどのように鑑賞したいか、さらにアフレコの背景など、多岐に渡り山本耕史に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

ジミニー・クリケットは説教臭い役なのに説教臭くない

村上順一

山本耕史

――出演が決まった時の心境はいかがでした?

 以前にもディズニー作品には出演させていただいたことはありました。ディズニーさんはきっちりオーディションをするので、「受かるのかな」という不安はありました。何より参加できたことが、すごく誇らしかったですし、一生懸命やらせていただきたいという気持ちでした。

――「ピノキオ」をいま見るとどんなことを感じましたか。

 子供の頃に観た時は木でできた男の子というイメージでした。でも、今回改めて観てなぜ人は嘘をつくのか、大事にしているものをバカにされるのか、など僕らが子どもの頃に感じたことが詰まっている作品だと思いました。その中でジミニーは色んなことを知っているんだけど、自分では体感していないところが可愛いなと思ったり。そういうところがピノキオとジミニーの2人を愛せるポイントなのかなと思いました。やっぱり知恵のない主人公が知恵をつけていくというのは応援したくなりますよね。「騙されちゃダメだぞ」というね。主人公が人間ではないというのもポイントで、人間に感情移入をしていないので、それが不思議だなと思いました。

――ジミニー・クリケットにはどんな印象を持ってましたか。

 ピノキオが嘘をつくと鼻が伸びるというのはもちろん覚えていたんですけど、正直、話の内容はうろ覚えでした。なので、ジミニーの存在もちょっと忘れていて、周りに「ジミニーってどんなキャラだっけ?」と聞いたら、コオロギの妖精みたいなキャラだと教えてもらったり。そこから自分でも調べたんですけど、作品の中で話を展開させていくナビゲーターのような重要な役なので、ジミニーに決まってすごく嬉しいです。

――ジミニーのセリフは名言としても有名なものがありますよね?

 ジミニーのワード選びは、あえて昔ながらの言葉を使うことで、ダイレクトに伝えているような感じがあると思いました。今風の何かを取り入れているというよりも、情報量が少ない時代に生まれた会話で、教訓みたいなものがガンガン刺さってくるんです。僕は良心というのはみんなあるけれど、それを塞いでしまうというセリフが好きです。ダメという言葉で片付けない、説教臭い役なのに説教臭くないというのは、ジミニーの“虫柄”なのかなと思いました。

――アフレコはいかがでした?

 ジミニーはすごく早口なんですよね。それが物理的に大変でした。間を作れば簡単に表現できるところも、僕の間ではないからすごく苦戦しました。例えばジミニーが驚いて、一度「うん?」となってまた驚くまでのスピードがとにかく早いんです。それがこのキャラの慌ただしさにも表現されているんだろうなと思いました。

――実写化としての魅力はどこにありましたか。

 実写になってすごいなと思ったのは、ピノキオが学校に行ったシーンで、人間がピノキオに対し「2度とくるな」と突き返すんですけど、僕はそれを観て人間ってすごく嫌だなと思いました。確かに現実で木でできたピノキオが学校に来たら怖いかもしれないんですけど、あの世界の中だとなぜかピノキオが可哀想だと思ってしまうんですよね。この世界だからこそリアリティがあると言いますか、気付かされることがあり、実写版の凄さがわかった瞬間でした。

――山本さんがもしピノキオと遭遇したらどうされますか。

 まずは話すかな。ある意味“地球外星人”みたいな感じになるわけじゃないですか。「これどうやって動かしてるの?」となるんじゃないかなと思います。でも、だんだん心を許していくと思いますし、やっぱりピノキオと友達になりたいですよね。

――ピノキオは嘘をついたら鼻が伸びるという性質があります。山本さんが人生でついた最大の嘘は?

 いっぱい嘘はついてきてるからなあ(笑)。すごく昔のことですけど、給食の月謝払っていないのに、払ったと親に嘘ついたことかな。結局払っていないのがバレて怒られたんですけど。いま思い返すと子供の頃はけっこう嘘つきだったかもしれない。短距離走を何秒で走れるとか、ギリギリ背伸びするような嘘はついていたと思います。

――身長や体重をサバを読んだりとかもしますよね。

 それは良くありますね。今は身長を聞かれると「2メートル弱です」と言ってます。そう言った方がなんかオシャレだなと思ったり(笑)。

叶った願いは家庭を持てたこと

村上順一

山本耕史

――さて、お子さんとはどのようにこの作品を観たいですか。

 まだ僕が「ピノキオ」に参加していることを話してないんです。我が家はディズニープラスに入っているので、子ども達がたまたまこの『ピノキオ』を観て、ジミニーが僕だと気づくかどうかという楽しみもあります。そして、この映画を観て可哀想だなとか、そっちに行ってはダメとか、そういうことを学んでほしいかな。ハラハラしながらそういったことを感じてほしいなと思います。親や先生では教えられないことが、この作品には詰まっていますから。

――ジミニーはピノキオを育てているような面もあると思いますが、山本さんはお子さんの良心として、どのようなことを話されていますか。

 男の子と女の子の2人いるんですけど、男の子には、女の子に優しくしなさいと話しています。女の子には人を叩いたりしてはダメだよということを伝えています。ただ、僕は男なので男の理想はわかるんですけど、女の子らしさというのがよくわからないので難しいですね。

――山本さんが叶えた夢というのはどんなものですか。

 家庭を持てたことです。それは20代からすごく願っていたことでした。自分に合う人を探すわけですが、30歳半ばから結婚は無理かもしれないと思い始めたんです。ある時、自分に合わせてくれる人なんていないと気づいて、自分が変わらなければと考えが変わりました。何かを切り開く時というのは、自分が変わっているんです。普通は怖いことなので安易に自分を変えようとは思わない。どうにかして今のままでうまくいかないかなと思っているけど、それは難しくて自分が変わらないとダメなんですよね。そこから2人も子供を授かって、僕の願いが叶いました。それが自分にとっての一番貴重な体験だったと思います。

(おわり)

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