MILLEA「生きてきたから今がある」悩みや葛藤から生まれた新譜『Still Alive』に迫る
INTERVIEW

MILLEA

「生きてきたから今がある」悩みや葛藤から生まれた新譜『Still Alive』に迫る


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:22年09月24日

読了時間:約13分

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 シンガーのMILLEA(ミレア)が21日、3年振りとなるデジタルミニアルバム『Still Alive』をリリース。2015年2月に「虹色のアーチ」でメジャーデビュー。音楽イベントだけでなく多くの星空イベントやプラネタリウムでのイベントコンサートなどにも招聘される他、ラジオ番組のパーソナリティを務める。

 『Still Alive』はSuperflyなど多くのアーティストを手掛ける松岡モトキ氏をプロデューサーに迎え、先日MVも公開されたTiara 作詞による「さよなら、わたし」や、川村結花、矢野まきなど実力派アーティストや豪華作家陣が楽曲を提供。本人作詞作曲の楽曲含め全6曲を収録。クラウンミュージックストアでのみ購入出来る『Still Alive -Special Package-』には、冨田恵一編曲の「東京マリア」と、井上鑑編曲の「あなたが星になって -2022 Ver.-」の未発表曲2曲が追加されている。

 この混沌とした世界の中で、「大丈夫だよ」と背中を押してくれるような作品に仕上がった。インタビューでは、前作『ライフ・プラネタリウム』からの3年間で考えていたこと、『Still Alive』の制作背景、その中でMILLEAが出した答えなど、多岐に亘り話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

自分の人生についても凄く考えた

村上順一

MILLEA

――前作『ライフ・プラネタリウム』から3年、心境の変化は?

 たくさん考えて悩んだり苦しんだりいろんな感情になった3年間でした。今は、やっとリリースを迎られて少しホッとしてしてます。環境の変化もあり、最近は自分で最終決定をすることも多くなって、まだまだ迷いながらですが、そんな中でも前に進んでる感覚はあります。今回の作品制作に関しては2019年の暮れから考えていたので、準備期間が結果的にすごく長かったんです。始めは周囲との意見がまとまるのも時間がかかりました。プロデューサーの松岡モトキさんの助けをいただきながら、少しずつ進めている最中にコロナ禍が始まってしまったんです。

――新型コロナで世界が一変しました。

 私はライブで歌を聴いていただいてCDを手に取っていただいたり、サイン会や握手会もしていましたので、コロナ禍でリリースしてもイベントはできないし、配信だけで終わっちゃうと「(音楽が)ただ流れていってしまうよね」という話もあったんです。それでじっくりタイミングを見計らってリリースしようと話していたんですが、思った以上にコロナ禍が長くて…。なかなかリリース出来ないままでした。

コロナ禍になり、世の中にこんな想像もしなかったことが起きるんだということを感じながら、自分自身のアーティストとして今後どうして行こうか、この先の自分の人生についても凄く考える時間になりました。考えすぎて思い詰めてしまってしまって、少し歌と距離を取りたくなった時もあって。そんな中で絵を描いたりデザインを考えたり、また自分のグッズを考えたりするのも好きなので、そんな時間を多くしてみたんです。

――幅広いですね。

 もともと私はネイリストの経験もあって、そういう細かい作業が好きなんですが、コロナ禍で家にこもりきりになった時、改めてモノを作ることに没頭できた自分にも気づきました。なのでイベントやライブができない間、思い詰めても良くないし、やってみたかったことをやってみて、またそれを深める時間にしたらいいかなと思いました。それが作詞作曲に向かうアーティストもいたかもしれませんが、私の場合は絵を描いたり、モノ作りすることで自分の心をいい意味で分散できたと思います。歌はもちろんですが、他にも自分が幸せを感じられることを作って行こうと思いました。何か違うものを自分にプラスした状態で、今回のリリースを迎えることができたのはすごく良かったなと思っています。それもあり、今までのリリースに比べるとなんとなく少し軽やかな気持ちがあるのかもしれません。「やっと聴いてもらえる」という気持ちは大きいですけどね。

――『Still Alive』というタイトルになった経緯は?

 この3年間で辛いことや悲しいことがたくさんありました。中でも、自分の身近だった人が亡くなってしまったり…。「2、3日前に一緒にご飯を食べたのに」と。やっぱり生きていることって当たり前のようで、実際はいつ誰が、生きることに疲れてしまってそういう心境になるかわからないし、自分だって大丈夫だと思っていても、知らないうちにそういった精神状態になってしまう可能性だってあると感じて。そういうきっかけもあり、生きるというテーマがだんだん生まれてきました。

――最初はそういうテーマではなかった?

 最初は人間の泥臭い部分とか、そういうところももう少し出せるといいよねと話していました。実際楽曲を作り始めて歌詞を書いたりしてる中で、この先の漠然とした不安と向き合いながら制作することになりました。歌うことを続けていけるだろうかと悩んだりもしましたが、結局そういった葛藤こそが、またこのテーマにつながっているところもありました。

 今回の作品は、泣きながらレコーディングをしたというようなイメージも残っています。実際に泣いたというよりも、心が泣いていたような感じで。色んなことに押しつぶされそうになっていたからかもしれないです。1曲目の「泣きながら生きたって」には、そう言ったものも表れているかもしれません。

――今作、全体的に歌の質が変わったと感じました。今お話を聞いてご自身の悩みや葛藤などを作品に込めたから、歌の表現や在り方が自然と変わったのかなと思いました。

 そうだと思います。「世の中ってこんなものなのだろうか?」という風に思わされるようなこともあったんですが、逆にそんな風に自分が弱っていたからこそ感じられた人の優しさや温かさもあって。人それぞれ、笑顔の裏にはいろんな涙や思い、経験があるんだなとも改めて感じました。コロナ禍になってリリースが思っていたタイミングではなくなって時間ができたことで、視点を変えることが出来たりもして、色んな考えが自然と生まれてくれたんです。コロナ禍で毎週インスタライブをやってコメントのやり取りとか、そういったファンの方と触れあう中で頑張ろうって思えることもたくさんありました。そういう意味では、この悩みながらも感じてきたことが結果的に自分の歌に反映してきてるのかなと思っています。時間はかかってしまいましたが、リリースがこのタイミングになってよかったなと思っています。ゆっくり気持ちをリセットできた感覚がありました。

――そうでなければ『Still Alive』というタイトルではなかったですよね。

 そうなんです。色んなことがあったけど、それでも生きてきたから今があると思うし。だからこれからきっと何があっても大丈夫、生きていけるっていう気持ちにもなれました。このあとどうなろうと、たとえ歌うことが途絶えたとしても、生きていればきっとなんとかなるって。このコロナ禍の中で色んな経験や環境の変化があって、色々な人間模様があることを知ったし、そういう中でみんな生きてるんだよなって感じることができました。

選択には強い意志や決意が必要

――今作のリード曲で、Tiaraさん作詞による「さよなら、わたし」のMVが先日公開されました。作詞をTiaraさんにお願いした理由は?

 「さよなら、わたし」は先にメロディが出来上がっていたのですが、「このメロディ凄くいいよね」となって、スタッフさんが「Tiaraさんに歌詞を書いてもらったらもっと良くなるんじゃないかな?」という話になり、レーベルメイトでもあるTiaraさんに書いていただくことになりました。

――歌詞にリクエストはされたのでしょうか。

 具体的なリクエストは私からはしなかったです。私はTiaraさんの歌を好きで聴いていた側なので、書いていただけることがシンプルに嬉しくて。あと私の今までの楽曲を聴いてもらったうえで書いて頂きました。切なくて凄く素敵な歌詞だと思いました。実際にTiaraさんにお会いして、どういう経緯でこの歌詞が出来たのかお聞きしたんです。そしてら同性愛の人が同性愛ではない人のことを好きになってしまった、という背景があるとのことでした。それはどうしたって一方通行の恋じゃないですか? そこから出来上がった歌詞だと知って驚きました。

 でも最終的には、どんなに願っても叶えることができないという恋愛はあると思うし、それが男女だったとしても友達でいるという選択をすることはきっとありますよね。相手には別に好きな人がいたり、想いを伝えないで今まで通りでいることの方がお互いのためだと思ったり。一生懸命悩んで考えて、そして決意して、それを自分に言い聞かせてる歌詞だと思いました。

――前向きな考え方になっていて。

 一つの恋に執着してしまって前に進めない女性ってたくさんいると思うんです。私もそういう時がありました。でも勇気を持って苦しいけどその人を好きな気持ちを手放すこと。その選択には強い意志や決意が必要だと思うんです。<さよなら、わたし 昨日のわたし これ以上何も望まないから>と。そういう意味では『Still Alive』だと思いました。

――生きて行くことは、決意、選択の連続ですよね。

 そうですよね。この主人公は前に進もうとしているんです。だからただの切ない悲しいラブソングではなく、踏み出そうとしている曲なのでメッセージとしては力強いんです。

――「恋してた」は川村結花さんの世界観が出ていますね。

 はい、本当に素敵な歌をいただきました。恋愛をしている時は、周りが見えなくなるくらい大好きで、別れてしまった時は悲しくて仕方なかったけど、時が流れてその記憶を愛しいものとして見られるようになっていることに気づく瞬間ってあって。そんな目線で書かれていると思いました。大好きだったあの人が幸せになっていてほしいと願えるようになるって、なんかいいですよね。別れたばかりの時はなかなかそうはなれないですし(笑)自分の成長というか「あんな恋もあったけど別れも辛かったけど、乗り越えてきたんだな、私」みたいな感じで。

 主人公は大人の女性なんです。「さよなら、わたし」も「恋してた」も、40歳前後になって感じる想いなのかなと思います。

――楽曲「どさんこ」は、童歌のメロディが入ってますね。

 私の出身地である北海道らしさを出せる曲を作りたいなっていうのはいつもあって。子どもの頃、七夕の思い出で「ろうそく出せ」という歌があって、その歌を組み込んで、私の童謡みたいな感じのオリジナル曲ができないかなとずっと構想はあったんです。それでたばちゃん(多畠幸良)にピアノを弾いてもらいながら「ろうそく出せ」を歌ってみながら「これにコードをつけたらどうなる?」と、相談しながら私が歌詞を書いて一緒に作っていきました。

 「通りゃんせ」などとも似たメロディなので、歌詞は北海道弁が入っていて独特ですが、メロディを切り取っても聴く方それぞれのふるさとを感じられる曲になってくれたらいいなと思いながら作りました。

――曲の展開として、サビへの流れがすごいなと思いました。

 そうですか!サビのメロディの入り口は私が考えました。逆にたばちゃんが詩をアドバイスしてくれたり、お互い意見を出し合いながら楽しく一緒に作った1曲です。

――タイトルはストレートですね。

 ひらがなにしました。「ろうそく出せ」は七夕の催しで歌っていたんですが、やっている地域とやっていない地域があるので、北海道の中でも知らない人もいるんです。あと、歌詞が違ったりメロディが違ったりするみたいなので、タイトルは迷いました。「どさんこ」って言ったら北海道の人は全員「ろうそく出せ」を知っているみたいになっちゃうなと。だけどそこは周りから「どさんこ」というタイトルの方がいいよと言ってもらって…素直に受け止めて、私が歌っているからいいかなと思って。

――そもそも“ろうそく出せ”とは、どういう意味合いで使っているのでしょうか。

 諸説あって、調べても明確な答えはわからないんです。ただ私の住んでいたところは七夕が旧暦で8月7日なので、もともとはお盆にやっていたイベントかもしれないなと思ったりしました。近所のお家の玄関の前で「ろうそく出せ」を歌うと家主がお菓子をくれるんです。でも時々本当にろうそくをくれるおばあちゃんがいたんですよ。その時は子どもだったので「(ろうそくは)いらないんだけど…」って思ってました(笑)。

 あと、「ろうそく出せ」の歌を子どもの時に歌っていた!という人たちで1回集まってみたいです。どれくらいの人が知っているのかも知りたいし、仲間が集まる可能性がある歌なんです。

今の自分を見てほしい

「Still Alive」ジャケ写

――夢がある歌ですね。さて、「雨上がりのうた」は矢野まきさん作詞・作曲の楽曲ですが、『Still Alive』を体現していますね。

 1曲目の「泣きながら生きたって」と「雨上がりのうた」の2曲が『Still Alive』を引っ張ってくれています。まきさんとは今作品の制作中、環境の変化や自分の考えや想っていることなど色んな話をさせていただきました。様々な話をしていると涙ぐんでしまうことが多かったです。

――何かが解放されていくような感じがあって。

 そうですね。表に出せない想いって言葉にしようとすると泣けてきちゃうということが多くて。まきさんが「今のMILLEAちゃんがこういう曲を歌ったらきっと響くと思うよ」と言って作ってくださったんです。

 歌っていると歌詞一つひとつが自分にも染み渡るんです。やりたいことがあってチャレンジして、なかなか叶わなくて、挫折して、それでももうちょっと頑張ってみよう、自分らしくもうちょっと生きてみようって。そんな風に一生懸命に歩んできた人たちに聴いて欲しいです。

――<無傷の心なんてね、何処にも在りはしない 前に進むため今日も何かを許してこう>という部分は特に刺さります。

 私もここの歌詞とても好きなんです。この歌は生きてく決意や覚悟の歌なんです。

――最後に9月25日、10月2日に開催される『アルバム「Still Alive」リリースライブ』への意気込みをお願いします。

 やっぱり楽しむことを大事にしたいですし、このリリースまでの経験や歩みの中で感じた思いを、静かに熱く歌に乗せて届けたいと思います。そして今の自然な私の姿、生きている姿を見てもらえたらと思っています。とにかく久しぶりのライブなので、今はみなさんにお会いできるのがとても楽しみです。

(おわり)

村上順一

MILLEA

作品情報

MILLEA
DIGITALミニアルバム 「Still Alive」
2022年9月21日配信

<収録内容>

1. 泣きながら生きたって 作詞:MILLEA、矢野まき 作曲:松岡モトキ、MILLEA 編曲:松岡モトキ、宮田‘レフティ’リョウ
2. さよなら、わたし   作詞:Tiara 作曲:サイレンジ! 編曲:松岡モトキ、佐久間薫
3. 恋してた       作詞・作曲:川村結花 編曲:松岡モトキ、佐久間薫
4. 同じ星を見上げて   作詞:佐藤舞花、MILLEA 作曲:松岡モトキ 編曲:松岡モトキ、佐久間薫
5. どさんこ       作詞:MILLEA 作曲:多畠幸良 編曲:松岡モトキ、佐久間薫
6. 雨上がりのうた    作詞・作曲:矢野まき 編曲:松岡モトキ、佐久間薫

※配信サイトはこちら → https://millea.lnk.to/stillalive

【クラウン ミュージック ストア限定商品】

MILLEA
DIGITALミニアルバム 「Still Alive -Special Package-」
2022年9月21日配信
価格:¥2,000(税込)パッケージDL販売のみ

『Still Alive -Special Package-』ジャケ写

<収録内容>
DIGITALミニアルバム 「Still Alive」収録の6曲に加え、
・東京マリア    作詞・作曲:横田はるな、編曲:冨田恵一
・あなたが星になって -2022 Ver.-    作詞:MILLEA 作曲:秋野めぐみ 編曲:井上鑑
を収録。

<DL特典>
2022年9月21日~2022年10月20日の期間中に「Still Alive -Special Package-」を購入された方は、
もれなくMILLEA本人と話が出来るZoomトーク会にご招待いたします。
●Zoomトーク会実施日:2022年11月19日(土)予定

※クラウンミュージックストア→ https://crown.murket.jp/ 

ライブ情報

MILLEA NEW ALBUM RELEASE LIVE 「Still Alive」
9/25(日) 東京・神楽坂THE GLEE  開場18:15/開演19:00
※前売 4,800円(ドリンク代別途)イープラス、チケットぴあにて発売中

10/2(日) 名古屋・今池 BL cafe  開場17:00/開演17:30
※前売 5,500円(ドリンク代別途)各プレイガイドにて発売中 

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