INTERVIEW

川島海荷

「女優として自信を持てるように」川島海荷が突き詰めていきたいもの:舞台『きっとこれもリハーサル』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年09月07日

読了時間:約6分

 女優の川島海荷が、9月29日から新国立劇場・小劇場にてスタートする舞台『きっとこれもリハーサル』に出演。同作は家族が紡ぐハートフル“お葬式”コメディで、川島は父親とはずっと口をきいておらず、隠し事をしている太田家の長女・太田泉美を演じる。川島は芸能人が夫婦となり、期間限定の結婚生活を送る様子を届ける結婚モキュメンタリー番組『私たち結婚しました3』(ABEMA)で話題になり、注目を集めたのも記憶に新しい。インタビューでは、お葬式のリハーサルという一風変わった舞台『きっとこれもリハーサル』に臨む意気込みから、今どのような役者を目指していきたいのかなど、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

人間性を高めていきたい

村上順一

川島海荷

――石野真子さん、鈴木福さん、しゅはまはるみさん、羽場裕一さんと出演者も豪華ですね。稽古はもう始まりました?

 稽古はもうすぐ始まるんですけど、ポスター撮影の時に共演者の皆さんとはお会いしただけなので、まだお話はあまりできていないんです。でも今から一緒に舞台に立てることがすごく楽しみです。(※取材時)

――皆さんとは初共演ですよね?

 はい。初めてです。少ない人数でのお芝居になるので、すごく密度の濃い時間になるんじゃないかなと思っています。今から緊張感もあるのですが、ずっと出ずっぱりで休む暇もないので、緊張感を途切れさせずに頑張りたいです。

――この舞台への準備というのはどんなことをされているんですか。

 今は台本を読んで、イメージトレーニングをしています。徐々に舞台へのモードに入りたいという気持ちがあります。舞台の稽古が始まると、時間がすごくきっちりしているので、生活が規則正しくなるんです。なので、舞台が決まるとすごく身体にいいと思っていて、この期間に生活をちゃんと正していこうと思っています(笑)。

――そういうメリットもあるんですね。台本を拝見したのですが、すごく感動しました。

 本当にすごく素敵な脚本で、私も色んなことに気付かされ感動ました。お葬式のリハーサルというちょっと変わった舞台なので暗いイメージもあると思うのですが、テンポも良くてコメディチックなところもありつつ、家族の関係性がリアルに描かれているので、皆さんに共感してもらえる部分も沢山あるんじゃないかなと思います。

――川島さんが演じる太田泉美はどのような人物だと思いましたか。そして、どのように演じたいと思っていますか。

 活発で、パワフルな子だと思いました。家族に対しては少し反抗的だったり、見栄を張ってしまう部分があるのですが、やっぱり家族思いです。テンポ良くみなさんと家族の会話ができたらいいなと思います。私自身も長女で、兄弟(弟と妹)への接し方であったり、家族の中の立ち位置で共感できるところがあるので、それも活かしていきたいです。

――今回、お葬式のリハーサルを題材にした舞台で、川島さんは先日最終回を迎えた『私たち結婚しました』にも出演されていて、冠婚葬祭を網羅して行くような感じで面白いですね。

 確かに! お話をいただいたタイミングが違っていたので全然気付かなかったです。『私たち結婚しました』は、私の中でイレギュラーな番組で、逆に結婚が遠ざかりそうな気もしていて(笑)。自分も色々考えさせられましたし、注目してもらえているタイミングでの今回の舞台なので、本業の俳優業をより磨いていきたいと思いました。

――約6年前に俳優業に専念されると仰ってましたよね。

 朝番組の司会を務めさせていただいたり、最近は舞台のお仕事も増えてきたので、自分の人生は彩り豊かだなと感じています。まだまだここから突き詰めていきたいもの、挑戦したいこともありますし、それは永遠に尽きないだろうと思っていて、すごく充実感があります。

――突き詰めたいこととは?

 女優として自信を持てるようにしたいんです。自分を磨く、お芝居や人間性を高めていきたいという想いがあります。今のお仕事はすごく好きなので、いつまでも続けられるように頑張りたいです。

――心が折れても好きなことならば頑張れますよね。

 好きなことをやらせてもらえる環境が本当にありがたいなと思っています。人に見ていただいて影響を与えるお仕事でもあると思うので、人としても成長していきたいです。時間を無駄にせず過ごしていきたいという思いがあります。

――支えてくれる周りの存在も大きくて。

 本当にそうです。好きなことでも周りに誰も味方がいなかったら何もできないと思います。『私たち結婚しました』のオファーをいただいた時も、恥ずかしすぎて出演することを迷っていました。でも、マネージャーさんが色々提案してくれてやってみようと思えたりするんです。舞台もそうですけど、周りの人の影響があって、その役や立ち位置というのが出来上がってくるというのを最近すごく実感しています。

――ステップアップしている実感も?

 ステップを上がれているかは自分ではわからないんですけど、変化は感じています。とにかく今は毎日が楽しいです。過去には停滞してしまったり、葛藤していた時期もあって、このお仕事を本当に続けてもいいのかなと思ったこともありました。若い時にはできたことが出来なくなったり、自分の変化に追いついていけなかったり、他の人の演技を見て足りなさを実感することもあって落ち込みます。でも、その時間も決して無駄ではないと思っていて、逆にひたすら落ち込むんですけど、そういう時に周りの人の存在がよぎるんです。

――これ以上ないところまで落ちて、あとは上がるだけみたいな。

 そうなんです。なので、とことん落ち込むことにしています(笑)。

今の自分を知ってもらえているのはすごく嬉しい

村上順一

川島海荷

――この作品は登場人物が秘密にしていること、それは太田泉美にもあるのですが、川島さんが秘密にしていて、今なら言ってもいいと思うことはありますか。

 えー、難しい(笑)。私はプライベートでも隠し事ができなくて割と言ってしまうタイプなんです。なんだろう、酔っ払うと滑舌が悪くなることとかかな? そして、同じ話を5回ぐらいすると周りから言われるので、気をつけたいと思っています。あ、これは秘密でもなんでもないですね(笑)。

――お酒を飲みすぎなければ大丈夫そうですよね(笑)。この作品では伝えることの大切さみたいなテーマもあると思いました。川島さんがいま伝えたいことはありますか。

 私、思ったことは伝えてしまうんです。家族だったら父の日や母の日に思いを伝えたり、妹や弟にも思ったことは言ってしまいます。悪いことは考えてから伝えますけど、自分にとってプラスの感情はすぐ言えてしまうんです。でも、昔はそれがなかなかできなくて壁を作ってしまっていました。思ったことは言わない方がいいと、自分の感情はそっちのけみたいなところがあったんです。結果それで周りに迷惑をかけてしまうならば、吐き出した方がいいと思うようになりました。役者は感じたことや思ったことを表にだすものだと思っているので、感じたことは出すようにしています。

――最後にこの舞台を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

 いま、私の色んな姿を見ていただいていると思います。それもあって皆さんの中で私のイメージが変化していってる時期なのかなと思っていて、今の自分を知ってもらえているのはすごく嬉しいです。もっとお芝居を磨いていきたいですし、人としても成長していって、皆さんにいい影響を与えられるような人でいたいです。ぜひ舞台『きっとこれもリハーサル』で、今の私を観に来ていただけたら嬉しいです。

(おわり)

公演情報


舞台『きっとこれもリハーサル』
潤色・演出:土田英生 脚本:赤松新 
出演:石野真子、鈴木福、川島海荷、しゅはまはるみ、羽場裕一
9月29日~10月13日/新国立劇場 小劇場
10月22日/COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
公式HP<https://koreriha.com/>

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